
Dr.による脳出血の説明
血の出た出た量が問題ではなく、頭蓋骨という限られたエリアの中で、出た血の分容積が広がるので、ぎゅっと圧迫されるのが問題なんです。頭蓋内圧が上がると言って頭蓋骨の中の圧力が上がるのが問題で、血が出た分、圧迫されて左側にぎゅっと寄っている(CT画像を見ながら)。2020年8月のCT(かかりつけ病院で撮影されたもの)と比べて、ハの字型の水を指しながら(医師の友人曰く「脳は髄液という水に浮いているようになっている。その一部がハの字に見えている」)、タッパーの中の豆腐が脳、水がこれ。右側の水の通路が見えなくなっている(私が「右側の水がなくなってしまった?」と質問したところ、「押されてなくなったように見えている。これぐらい圧力が強いということ」とDr.)。放っておくと出血した時にこの部分の脳は壊れていって、右側(医師の友人曰く首で交差しているから脳の右側は左の手足に通じている)の運動神経だとか、一部、視床というところにも出血。被殻というところと視床というところの混合出血。手術中、ここの出血でよくあるのだけど、レンズ核線条体動脈という1mm満たないくらいの細い動脈、元々血圧が高かったので、高血圧が脳出血の大きな原因。レンズ核線条体動脈を止血して血を取って手術を終了した(私が「穴を開けて吸い取る手術をしたのか」と聞いたところ「穴というより7cm×7cmくらい開頭した。頭蓋骨に穴を開けて、穴同士を下で剥がして繋げて穴同士をカッターで切りポコっと取って、戻した」とDr.)。
出血は(CT画像を見ながら)、これだけあったのが、これくらいまで戻って、圧力は正常になっているが、依然と高いという状態です。
予想し得ることだけど、絶対に脳出血の後は浮腫(むく)んでくる。浮腫(むくみ)が来るピークが4日から1週間。
透析されている方は、水の出し入れが難しい。普通は脳の浮腫を取るのには利尿剤を使うのだけど、利尿できない。一説には透析の前に利尿剤を使って透析で出してあげたら効くという話もあるが、あんまり効く印象はなくてコンセンサスはないので、浸透圧利尿剤(脳浮腫に対する薬)は使えてない。これを使えない限定的な状況で、脳の浮腫は予想通り。慎重に経過を見ているが、CTを見て浮腫のピークは越えた(31日くらいが一番強かった)。
1週間を越えているし、再出血はない。ジワーっと滲んだりするのはある。まだ多少浮腫んではいるが、ここから酷くなりケースはあまり考えにくい。そもそものダメージが、かなり大きい出血だった(Dr.が「発見時に受け答えできた?」と聞いたので「ロレツが回ってないのですぐに脳卒中だと思った」と私)。手術に入る前に出血が格段に広がっていることはないが炎症とか浮腫(ふしゅ)とかそういうので、手術室に入る前は結構悪くなっていた。ご家族を全く責めることじゃない。むしろよく急いで救急車を呼ばれたと思う(※でもあと15分は早く救急車を呼べた。後悔が残る)。そこで放っておく家族もいっぱいいるわけだから。ご主人に責はないと思う。
イニシャルダメージ(最初のダメージ?)が結構強い。視床と被殻、運動神経が走っているルートが完全に出血で傷んでいるので、麻痺が必ず残る。左の手足は動かない可能性は高いと思うが、それに加えて、最初の時点で、視床とか一部出血が脳幹という中脳にも近づきつつあった(私が「脳幹に近づきつつあるということは脳幹に触れてはいない?」と質問したところ、「脳幹に一部触れている。そのせんい(線維?)は」とDr.)。どの程度触れているかはさておき、意識の中枢にダメージを負っている可能性大。現在は浮腫(ふしゅ)をなるべく抑えて脳の活動を鎮静化するために鎮静剤を使って経過を見ていた。浮腫(むくみ)の心配がもうないので、鎮静を切っていこうと思う。鎮静とは寝かしているわけだから、鎮静を解除された状態でどのくらい覚醒するか見る必要がある。しっかりと受け答えができるというところまで戻るかわからない。コミュニケーションが取れるか分からないし、目で見えることを理解できるかはわからない。だが、若いので回復の余力は年寄りに比べてあるから、リハビリに期待したいが、かなり重度介助が必要で、寝たきりに近いような状態になるかもしれない。
ここからの看護は、リハビリしていただくフェーズに入る。寝かしていて鎮静を使っていたので、呼吸器で環流しないと呼吸が促迫(息などが詰まり苦しくなること)してしまう状態だった。透析する人は水が溜まる。水が溜まると呼吸が上手くできないが、透析すると、それが良くなる。透析をしてる方は非常に水のバランスを取るのが難しい。
覚醒がどれくらい良くなるか分からない。自分で呼吸しているから、人口呼吸器は必要ないが、意識がないと舌が落ちる。舌根が落ちると気道閉塞になる。今は気管の管が入っていて、気道が確保されている。チューブを通じて空気が通るので、大丈夫だが、チューブを抜いたら、意識の状態が良くないから、おそらく窒息に近い状態になる可能性がある。チューブを抜いてみると意外と大丈夫なこともあるが、窒息してしまうかもしれない。そうすると、また気管にチューブを入れることを繰り返さなければならなくなる。チューブが入っていた後の気道は結構浮腫んでいる。抜いて次入れるのが難しいことがある。だから、一つの手として気管切開をしておくと安全だ。透析する人は水が溜まる。痰も溜まる。痰をサクションという吸引機で吸う。気管切開をしておいた方が痰も取りやすいし、本人の呼吸も楽だしメリットが多い。元気になった時に閉じられる。その処置をさせてもらった方が安全だと思う。
まだ1週間だが、例えば、鎮静を解除して本人がこっちの言うことが分かっているという状況になれば、試しに(チューブを?)抜いてみてもいいかもしれない。首に傷ができないことに越したことはないので。まだ鎮静を解除してない状況なので、具体的なことは言えないが、おそらく気管切開した方がいいと思う。週明けすぐとは言わないが、来週どこかで30分くらいの病棟でやる処置。手術の立ち会いは息子さんでもご主人でもどちらでも構わない。日程は6日か10日、もしかしたら再来週の13日になるかも。そんなに急がない。2、3週間はチューブが詰まったりしないので。日程は前もって伝える。定まった術式なので基本的に安定だと思ってもらっていい。声帯のないところから切る。
Q1、血小板の数値が低いと手術後の説明で言われたが?
ー血小板の数値は低いが手術できないほどではない。5万8千だったが現在も正常値の半分くらい。血小板が低い理由は改めて検査した方がいいが、気管切開できないほどではない。
Q2、低血糖についての説明があったが?
ー手術中に、低血糖の状態があった。状況的に考えられるのが血糖低下が続く場合、副腎不全と言って、血糖値をコントロールする重要なコルチゾールというホルモンを作っている場所が副腎だけど、重度のストレスに晒されると、副腎は働きが弱くなる。その可能性があった。今はステロイド無しで保たれているので大丈夫。
Q3、出血した血を吸い取った際に血以外の別物があったので病理検査に出したと説明を受けたが?
ー手術中に血液の塊みたいなものがあって、通常の血腫というものより硬くてという初見があった。まだ病理検査の結果は出ていないが、例えば、出血の原因として、高血圧性じゃなくて血管の奇形という可能性もあるので病理検査に出したが、あまり可能性は高くないと思う。
生きるか死ぬかの峠は離れつつあるが、予断は許さない。意識が悪くて唾を誤嚥して少し肺炎になっている。
先週より危ない状況は離れている。リハビリ頑張ってもらって、気管切開終わって2、3週間したらリハビリの病院に転院していただくのが通常コース。本当はもっと早く行った方がいい。リハビリの病院はリハビリの時間が長い。リハビリできて透析のできる病院がいい。リハビリ病院になるべく速やかに移動できるのが目標とするところ。本人のため。
気管切開手術はやらないに越したことはないが、一応署名だけしてほしい(幸い、気管切開手術はやらずに済んだ)。