常歩と私③
浦和南高校から熊谷高校に異動して、サッカー部の3年生に二軸動作(にじくどうさ)を教えて大会前に動きに迷(まよ)いが出てもかわいそうなので、とりあえず、1年生だけに二軸(にじく)トレーニングをしました。
4月末から教え、7月末頃になると1年生の二軸動作(にじくどうさ)は、かなり良くなり、1年生vs2年生の試合をすると1年生が勝つようになりました。
その後、熊谷高校サッカー部は、高校サッカー選手権二次予選に進出しました。10月の二次予選の試合を迎(むか)える前のある日、2年生の担任(たんにん)の先生が私のところにやって来て「ふくT先生、2年生に二軸動作(にじくどうさ)を教えてもらえませんか?クラスのサッカー部員が泣きながら『僕たちも二軸教わりたいんです』と訴(うった)えてきたので」と伝えてくれました。私は「じゃあ、二次予選が終わったら2年生に私が教えます」と答えました。
10月末から2年生を教え始めたのですが、横で1年生が二軸動作を教わってどんどん成長しているのを半年間見ていた彼らは「二軸(にじく)」に飢(う)えていましたので、今まで教えたどの学年よりも成長が早かったです。
後日、そのときの2年生(※現在さいたま市内でサッカー部の顧問をしていますが、彼はいい選手を育てると期待しています)の保護者からいただいたお手紙の一部をご紹介します。
「入部以来、楽しいけれども強い目標を見つけられずに過ごしていた多くの子どもたちは、先生の指導法に触れ、心が大きく揺さぶられたに違いありません。最初に先生の指導を受けた日、帰宅後、興奮しながら二軸について熱(あつ)く語っていた我が子を今もはっきりと思い出すことができます。こうして個人的(こじんてき)な目標(もくひょう)を持つことができたおかげで、試合の結果(けっか)に左右されずに努力し続けることができたのでしょう(この状態になると生徒は勝手に成長して行きます)。先生のおかげで、最後まで各自がサッカーに対して向上心(こうじょうしん)を持ち続けることができたと思います」
結果に一喜一憂(いっきいちゆう)せずに努力を続けられることが大切なのかもしれませんね。選手も指導者も。