2024年7月11日(木)ゴッドハンドOTリハビリ⑨

ふくT:T
妻: P
ゴッドハンドOTさん: G
G:最近どうですか?
T:高い金出してマッサージ器を買い、左足のつま先に手が届くようになったり、効果はありましたが、僕のマッサージの方が効き目があるようです。人間には機械は勝てないんだと思いました。
G:トイレはどうです?
T:今までは左足を動かせなかったのが、自分で前に出せるようになっただけで、かなり楽に感じます。発症後半年過ぎてもこんなに機能が回復するものなのですね。
G:そうですね。徐々にですが。
P:先生、そこ気持ちいい。ふくTさん、見ておいて。
G:内側のハムストリングです。
P:ずっと車椅子に座っているからそこが気持ちいい。
T:随分と中央寄りですが、これが内側なのですか?
G:坐骨結節。からの内側のハムストリング。
T:ここにも緩みが必要なんですか?
G:ここが張っちゃって短くなっている。
T:ここも緩ませるということは足関節底屈させて緩ませるということですか?
G:そう。仰向けであんまり足を挙げない状態で、そんなに張ってない状態で筋肉を緩ませて。あんまりここ(ハム)が硬いと膝が伸びない。
T:内側のハムストリングが緩んでくると膝が伸びるようになるんですか?
G:膝の緩みが出るって言うんですかね?
G:膝が捻れる感じで膝が伸びるんです。
T:伸びるというのは膝のどこがのびるんですか?
G:膝の隙間が、靭帯が伸びてロックするんですね。ロックする時って、靭帯が張って、骨(こつ)を圧着させて、骨構造で、筋活動なく立てるんです。曲げている時は膝に隙間ができるので、筋肉で止める。
T:大腿骨と下腿骨で押し合って立つということ?
G:十字靭帯や側副靭帯などの靭帯と骨(こつ)で構造を作って筋肉を使わないで立てる。
T:密着すると靭帯が緩むイメージがありますが、、、
G:靭帯が伸びるんです。ある程度テンションがないと。テンションが張るように靭帯が捻れるんです。それで止まる。膝はそういう特殊な構造。
T:ロックしている時は靭帯が張っているんですね?
G:そうでないと構造をちゃんと止めておけない。
T:靭帯が緩んでいるとグラグラになっちゃうんですね。
G:靭帯が張って止まる。
T:靭帯は使っているけど、筋肉は使わないで立てるということですね。
G:膝が伸びている状態で体重をかけられれば。
T:筋肉を使わずに立てるんですね。
G:これが機能的かというと話は別。筋肉を使ってないで、つっかえ棒で立つので、緩んだ時にストンと落ちる。ただ、伸びる状態を作って、そこから曲がるのは必要。
G:このテンション(ハムの内側)が膝が伸びるのを邪魔している。
T:ハムストリングの内側が張っているから膝が伸びない?
G:そう。
T:腓腹筋の内側と長母趾屈筋と虫様筋が緩むだけでなくハムストリングの内側も緩まないと膝は伸びないということですね。
G:そう。
T:以前は長母趾屈筋や虫様筋を押すとクローヌスみたいな反射が出ていたんですが、最近なくなってきたんですが、、
G:緩んできたんですね。
G:足首がだいぶ背屈行くようになってきた。だいぶ動かしているなという感じ。
T:毎日30分やっている成果が出ているんですかね。
G:背屈が入れば、立っている時によりカカトが着きやすくなってくる。
G:賛否両論あるんです。時間が経っているところで、機能的リハビリをやることに対して。神経の回復は発症から6ヶ月だと。たがら動かない方の脚は諦めて、残存機能のある反対側の足でやればいいという意見がある。でも、自分は神経の回復はいつになっても起こると思っている。ちゃんと刺激を入れてちゃんと構造を作る。動かない所を動かす、関節を動かして筋肉の長さをちゃんと作れて情報が頭に入れば、いつだって頭は変われる。治る。
T:頭が変わったから動くのではなくて、末端から情報を入れて末端が変われば頭が変わる?
G:頭が繋がったから左足が出るようになったわけです。頭が変わるために何をするか。動かして情報を入れて、筋肉に対して刺激を入れて変化を起こす。起こす筋肉、動かす筋肉にちゃんと情報が入らないと直しようがない。ここ直してと工事の人に情報をあげないと、どこやっていいか分からない。ちょっとやればすぐ直るかというとそうではない。繰り返して情報を入れ続けないと。体重をかけ続ける、そういうことをやらないと。やる方も根気が必要なんです。限られた時間の中で効果が出せるかというと、自分だけじゃ限界がある。ご家族がこうやってくれると動くんですよ。
T:深いですね。スポーツに似てるなあ。ガンガン筋トレやれば、手っ取り早く目先の成績を変えられるけど、実は身体の動かし方をちゃんとやれば、ゆくゆくはいい選手になる。でも、だいたいの人は即時効果を求めますからね。
G:今のリハビリは即時効果を求められるんですよ。先月と比べてどう良くなったか。
T:スクールもそうです。Jリーグの下部組織に何人入ったか。そうじゃなくて、その先、中3、高1くらいになってどうなっているかが大事。結局、Jリーグ下部組織に何人入ったかの資料を見て判断される。
G:短期の結果ばかり気にされるとね。
T:そういう流れになっていると組織の中でG先生は居づらくないですか?
G:私は強情ですから^_^、柔軟に見えて強情ですから。自分は異端でもいいと思っていますから。治療の中では、皆んなが皆んな王道にいたって面白くないじゃないですか。そんな気持ちでいます。自分は自分のやり方で勝負すればいい。実際、やって良くなっているという自分なりの実感はあるんですよ(これを評価するのが難しい。サッカーも同じ。明らかに動きが変わっても、それを示すデータはない。でも教えた私と動きが変わった本人にはわかる。でも、それを数値化するのは難しい。私が教えて50mのタイムが速くなった生徒はたくさんいるが、他の何かが影響を与えているかもしれないと言われたらそれまで)。皆んなが皆んな自分のやり方でも困るけど。色んなやり方があっていい(まさにそう思う。私も他の人が教えられないことを教えられる唯一無二でいればいいと思っているが、組織に属していたら、誰が教えても私が教えるのと同じ効果が出ることを求められる。でも、難しい。教えて身につけた子が将来コーチになってくれるのが一番と思って、今まで指導してきたが、、、)。自分は末梢から入って行くけど、今のリハビリの流れは中枢から。
T:中枢からとはどういうことですか?
G:体幹から。末梢が動かないから中枢からが今のセオリー。それはそれで私もそういう勉強はしましたけど。自分の実感として、抹消が動かないと「末梢が動かないと」いう情報を中枢が持っている以上は、末梢は動かない。動かないものを動かそうとは中枢は思わない。いくらエンジン直してもタイヤが回らないんじゃ。
T:今の主流はエンジンをとにかく直して。
G:エンジン直すと末梢が入ってくるという考え。姿勢制御とか凄く重要なんですけど。それは間違いないけど。
T:カカト踏めば体幹にスイッチ入るんですよね。
G:カカトがついていなければ体幹にスイッチが入らないのは間違いない。じゃあ、カカトをどう着けるのかということを勝負しないと。ちゃんとタイヤが着いてなければトラクション(タイヤと路面の間で、滑らずに引っ張る力。エンジンパワーを有効に地面に伝えれれている状態が「トラクションがかかる」ということ)がかからない。
T:トラクション?
G:駆動力。路面に対してサスペンションが追従しないと。タイヤが路面から浮いちゃうと走らない。だから猫の足のように、どんなに動いても路面をソフトに包み込むように。そういう足。固い足回りで速く走れない。サーキットを走るわけではないから。石畳の上を走るフランス車とアウトバーンを200キロで走るドイツ車は足回りが違う。どっちを選ぶかは個性。
T:サッカー界でもタータンの上を走る陸上の人が走りの指導をするようになってきたんですけど、芝の上を走るんですけどね。
G:ただ蹴ればいいわけではない。地面に対してどう加重をかければ、滑らないで。雨の日でも芝の上でも走る足回り。
G:スキーやります?スキーは板が雪面に食いついてないとダメ。膝を柔軟に使って吸収しないと。頭がブレると視線がブレてわかんなくなる。
T:以前、オランダのコーチが「旧ユーゴのサッカー選手はスキーで足裏感覚を磨く」と話していました。その時は何を言っているか分からなかったけど、今思うと、膝の使い方を学ぶということだったんだと思う。
G:色んな雪面にどう対応するか。エッジを切りながら調整する。エッジが流れたらタイムロス。そのためには、脚力だけでなく柔軟な足捌きが必要。何事も足をどう使うか、車もスキーも同じ。患者さんの足も。
G:一歩出るようになったのは相当なこと。アンクルの装具は使わなくてもいいかも。
T:前に出せて膝のロックがかけられれば、その瞬間、体重をかけられるということですね。
G:そう。
T:それができるようになればもの凄く世界が変わりますね。
G:膝を伸ばす力が出てます。
T:何がどう変わったから伸ばす力が出てきたんですか?
G:完全に脚を伸ばすイメージが出てきて、各筋肉が協調的に働いてきた。前より1段階上がってきた。脚を出す時に膝が前に出るでしょう。それが真っ直ぐ出るようになるといいんですけどね。
T:確かに膝が曲がって脚が前に出ますね。大腿四頭筋に電気が走ってないんですね。
G:膝曲げないで足を挙げてみて。
P:行かない。
T:この時に頭はどう命令出してる?
G:膝を伸ばせと命令出している。
T:頭が上がるのはなんで?
P:お腹に力が入るから。
G:私がここ(大腿直筋)使うんだよと刺激入れている。かかってないエンジンのスターターを引いている感じ。
T:プルーンというやつですか?
G:イメージでどこに力を入れればいいか。感じてもらう。情報として、どこに力を入れればいいか入れている。後は寝ている間に少し繋いでくれる。
T:寝ている間にやったことを復習していると。
G:全く反応がない人にはやらない。Pさんには反応があるので。少なくとも自分には感じる。
T:まだまだ可能性があるということですね。
G:そう。

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