2024年6月9日(日) ゴッドハンドOTリハビリ④

ゴッドハンドOTさん:G
ふくT:T
G:つま先が下向いている。これを上に向けたい。体重が乗れば(足首が)90°になる。今はこれを上に向けた瞬間に膝が曲がっちゃう。カカトが接地すると膝が伸びずに止まってしまう(車椅子から車に移乗する際は介助者が膝の下を押し上げて膝をロックする必要がある)。なぜかと言うと、ここに付いている筋肉が1本はヒラメ筋といって腓骨に付いているんですけど、腓腹筋というメインの2本が膝を通り越して大腿骨に付いているんです。これが伸びずに縮むと、つま先を下に下げて膝を曲げてきちゃうんです。膝を伸ばすとつま先は下に向いちゃうし、カカトで長さを作ろうと思うと膝が曲がっちゃう。この腓腹筋の長さが足りない。膝が伸びてカカトが(仰向けに寝ている状態で)上に入ってくるのに必要な腓腹筋の長さが足りないんです。
T:それは、使わないから縮んだんですか?
G:それがまず一つ。寝てる時って、足関節が底屈してる。これで放っておかれると腓腹筋が短縮しちゃうんです。
T:なるほど。
G:あと、運動麻痺が起きると、筋肉って短くなる。短縮しやすくなる。この筋肉をなるべく長くしてやらないと膝が抜けてしまう。これを緩めてもまだ膝が10°くらい曲がっている。これはなんの問題かというと、膝関節の問題。関節の中の靭帯。骨の脛骨と大腿骨のところで最後滑るんだけど、そのクリアランス(骨と骨の間)が狭くて引っかかる。
T:関節は壊れてないけど、錆びているんですか?
G:靭帯というベルトで色んな方向に引っ張っているけど、比較的強固な関節で抜けないんだけど、それがベルトが短くなると、ここ(クリアランス?)が狭くなる。最後の滑りが出なくなる。ここの靭帯の緩みとか、関節包という包んでいる膜が縮んでいる。そういうところの問題で最後の滑りがない。ここを変えたい。筋肉も直したい。
T:腿前の電気信号が来てないと以前おっしゃっていましたが。仰向けで膝伸展したまま足を上げられないのは腿前の電気信号がないからとおっしゃっていたと思うのですが。
G:この大腿四頭筋に筋力が入ってこないんですよ。腿裏には入っているんですよ。腿前1の腿裏5くらいです。腿裏は膝を曲げる方で、腿前の出力が弱すぎて伸ばそうと思っても曲がってしまう。ただ、膝はある程度伸びていれば棒のように使える。
T:真っ直ぐ伸びてなくてもですか?
G:そうすれば、少し体重かけても構造で支えられる。もう少し膝が伸びれば体重を乗せられる。
T:以前、G先生がカカトを踏まないと股関節にスイッチが入らないとおっしゃっていましたが。それは具体的にどういうことですか?
G:カカトがセンサーなんです。カカトにスイッチが入ると、体重が乗ったと脳に命令が行く。そうすると身体が伸びる。
T:いい選手はカカトを踏んで動いているように感じているんですが。スイッチが上手く入っているのかと思ったのですが。
G:カカトをバネのように浮かせてやることも、もちろん、できるんですけど、ただ、もっと原始的な行動として、カカトが着くと伸びる。子どもの発達見ても、初めはカカトで歩いているんです。カカトで立って。カカトで立って足底が着くと身体が起きてくる。赤ちゃんはつま先立ちしてない。逆につま先をあまり使ってない。カカトで歩いている。ドンドンドンて歩いている。あれはカカトで歩いているんです。カカトがドンと着いた瞬間に伸びる。それは神経的な反射。
T:伸びるというのは股関節が伸展するということですか?
G:股関節というか体幹ですね。体幹全体にスイッチが入るんです。
T:今、特別支援学校で働いているんですが、なんかつま先に体重を乗せている子が多い気がするんですけど。
G:多分、腓腹筋が短いんじゃないかな。寝てる時間が長いと、子どもでも背屈の可動域制限が起きちゃうと、そういう風にカカトを着けないで歩くようになる。カカトを着けないで歩いてしまうと、体幹のスイッチが入らないので、抗重力伸展反応が入らないで、少し身体を丸めた状態の姿勢をとるようになる。
T:つま先荷重の子が凄く多い気がするんです。何でかなと思って。
G:歩く時にカカトから入ってつま先で抜ける感覚が入らないと背中は丸くなる。構造的な問題で簡単に直すのは難しい。色んな足の使い方をするのが重要。しゃがみ込むとか、足関節背屈できないと倒れてしまう。遊びの中で、床に手を伸ばしたりとか、ボールを拾って下から上にボールを乗っけるとか。保育園なんかでそういう活動を入れていると思う。遊びの中で可動域を出して行くのが必要だと思う。子どものうちにゴロゴロしたりとか遊び回るのは大事。そういうのが必要。
G:足底筋も短い。
T:それはいつの間にか足底筋が短くなったんですか?
G:底屈したまま寝ていると、そうなる。
G:足関節ってバランスを取る(なかなかこの発想にならない)。
G:足関節が使えないと膝や股関節を使ってバランスを取る。そこで間に合わないと、今度は頭も使ってバランスを取る。そうすると転倒しやすい。
G:3歳、4歳は足関節が使えない。だから手を広げてバランスを取る。歩く時、そうやるでしょ(確かに。息子のその歩き方が可愛かった)。
T:それは発達の段階で自然に身につけるものなんですか?
G:足関節が動いてバランスが取れるようになってくるのは小学校高学年からですね。平均台の上を歩いたりして足関節が使えるようになると転ばなくなる。
T:クッションの上を走らせていたのですが、あれは意味あったんでしょうか?
M:いいと思います。
M:不安定な中で足関節を使わざるを得ない状況を作るのは大事。
F:不整地をグランドの周りに作ってほしいと言ったことあるんですが。
M:不整地を走るのはとてもいいですよ(ちなみにレッズJr.ユースvs FC東京むさしの試合を観戦した際、むさしの子で抜群に体の操り方の上手い子がいたので、監督に「あの子何か他のスポーツやってませんか?」と聞きに行ったら「実はトレイルランニングの大会に出ている子でして、トレイルランニングの大会がある時はそっちを優先させています」との回答だった。トレイルランニングは不整地を走る。我が意を得たり)。


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