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堀之内聖と私⑧

卒業式の日、浦和市立高校サッカー部では、卒業生が後輩たちに1人ずつ話をする場が設けられていた。

堀之内は「これは、確かジーコが言っていたと思うのですが、サッカー選手にとって大切なのは、足が速いとか、体が大きいとかではなく、サッカーが好きなことだと思います。それから悔しいという気持ちを忘れなでください。僕は1年生の選手権一次予選で負けて悔しくて、翌日から7時に学校に来て朝練を始めました。最後に自己管理の大切さを覚えておいてください。僕は小・中学生時代に怪我をしていなかったので、自分はどんなに無理しても怪我をしないものだと思っていて、大怪我をしてしまいました」と話していた。

なぜ、彼が話した内容を覚えているかというと、聞いていた下級生が皆、号泣しながら聴いていたからだ。

私は「すごい先輩だ。教師をはるかに凌ぐ影響力がある」と思った。影響力といえば、彼が後輩たちに「どんなに疲れて帰っても、必ず1時間は勉強してから寝る」と話していたことがある。親や教師が「勉強しろ」と言っても、なかなかスイッチが入らないものだが、尊敬する先輩に言われると、後輩たちは勉強するようになる。堀之内の影響でサッカー部イコール勉強のできる集団になった。


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