先輩教師①

教師になりたての頃(おそらく2年目)、部活では、練習を見てるだけ、担任もせず、「教師に自分は向いてないのでは?」と思い悩み、中学時代のサッカー部の顧問であり、社会科の先生としても尊敬していたK先生(当時は校長先生)に相談に行った。先生のお宅にお邪魔して昼から夕方まで6時間、ずっと話を聞いていただいた。

以前、私の中一時代の担任(おそらくその時は臨時的任用教諭教諭)にお会いした時、彼はK先生に「先生がいらっしゃらなかったら、僕は一年持ちませんでした」と話されたそう。K先生は「そう。そう思ったら、ぜひ、将来若手の先生に同じことをしてあげて」とおっしゃたそう(それをお聞きして自分もそうしようと思った。先輩教師にされて嫌だったことは後輩にしないし、良かったことは若手に伝える)。

K先生は「守・破・離」の話をしてくださって、私はまだ「守」の時だから言われたことを一所懸命やっていればいいとアドバイスしてくださった。また「教師にとって一番のやり甲斐はクラス担任だから、担任をしたら楽しくなると思う」と言ってくださった。

K先生は呼び捨てどころか「ふくT君」とも私のことを呼ばなかった。常に「ふくT先生」または「ふくTさん」と呼んでくださった。一人前の大人として扱っていただいている気がした。その後、後輩教師ができた時、彼らを呼び捨てにしなかったり、敬語を使って話すようにしたのはK先生の影響だ。

K先生が、ある中学校で講演をされた際、その学校の教員の中に教え子さんがいて「先生、今日の話、すごく良かったです。感動しました」と言ってきたそう。それに対し、K先生は「大人が聞いていい話なら生徒もきっと聞く」と答えたそう。本当にそう思う。校長がつまらない話をしているのに「静かに聞け!」と怒鳴っている体育教師に「あれだと。『校長先生の話がつまんないですよ』と大声で言っているようなもんだよ」と言う私に「じゃあ、どうすればいい?」と言う彼に「校長がもうちょっと考えて、聞かせる話をすればいい」と答えた。

その後、K先生の言うとおり、初めて担任した時は、サッカー部顧問でいるよりも担任業に夢中になっていた。

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