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女中になりたい。

私が横溝正史の金田一耕助シリーズが好きだ。
もともと探偵モノがとても好きで、その中でも金田一耕助シリーズの世界観がとても好きだ。
昭和初期、中期の混沌としている感じや、なんとなくおどろおどろしい感じ、個性的な主人公や、登場人物。
私の中で全部がなんというか、カチッとハマっている感じがする作品だ。

この作品大体、お家柄がいいお宅には女中さんがいるし、旅館とかが舞台だと絶対にいる。

大体お着物を着ていて、夕飯の支度ができたりすると金田一耕助を呼びに行ったりする。
令嬢は「お嬢さま」と呼び、子息は「お坊ちゃま」と呼ぶ。
「旦那さま」「奥さま」「〇〇さま」
金田一耕助のことは「金田一先生」と呼ぶ。

ほとんど話の中に出てこないが、たまにとんでもないものを見たり、過去の出来事を口滑らせて話してしまったり、何気ない一言が事件を解決へ導いたりする。

うん、実に羨ましいポジションだ。
余程事件に関係が無ければ死ぬこともないし。
でも金田一耕助とは絡めるし。

「やあやあ、君。ちょっと聞きたいことがあるんだけれど。」

「なんですの、金田一先生。」

「昨夜の事なんだけど、ここを横切る人影を見なかったかい。」

「昨夜ですか。特にみてませんねえ。それより先生、私気になる事があるんです。」

「はあ、なんだい。」

「今朝、私の部屋の外にこれが落ちてまして。」

「な、なんだってえ!」

そんな妄想をして、本を開く。

無理なのは分かっているが、一度くらい重要なヒントを与えて、名探偵を驚かせて見たいのだ。

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