新EOS R7&R10 試してきました
5月24日に発表された、キヤノンの新型ミラーレス一眼「EOS R7」「EOS R10」。
ただいま、キヤノンフォトハウス(銀座・大阪)ならびに品川・名古屋で2機種15分のお試しが可能になっています。(事前にWebでの予約が必要)
EOS Rシリーズ初のAPS-Cサイズのセンサー搭載、現時点で最上位の「EOS R3」譲りといわれる動体AF性能など、どんな実力を持っているのか?
発表から1週間後、キヤノンフォトハウス大阪で15分だけのお試しをしてきました。
【ご覧の皆様へお願いとおことわり】
本記事で紹介のインプレッションやメリット/デメリットは、あくまで個人の感想です。
他の方の記事と合わせてお読みいただいた上で、購入・検討の参考にしていただければ幸いです。
「EOS R7」インプレッション
今回、RFマウント初のAPS-Cセンサー搭載。
かつEOS史上最高の解像性能を謳ったこのR7、果たしてどんな性能を見せてくれたのか。
そして、APS-Cセンサー最上位の一眼レフ機「EOS 7D Mark II」と比較しているが、その後継機と呼べるのか?そこが一番気になるところでした。
2機種合わせて15分間の体験だったので、R7については操作性とAF性能・高感度での画質を中心に試してみました。
高速で左右に振られる猫の写真で、サーボAFおよび顔AF・瞳AFを使用したが、
追従性が非常に優れていた。
3mほど離れても瞳AFが機能していた。
※AFメニューであらかじめ、被写体の対象を「動物」に設定する必要がある。
(人間/動物/乗り物など)メカシャッターで最高15コマ/秒は、流石に速かった。
ちなみに連写のドライブ設定は、高速+(最高15コマ/秒)、高速(7コマ/秒)、低速(3コマ/秒)と3モードが用意されている。
→モード別の連写速度の変更は出来なかった模様室内で1/2500秒、ISO12800で撮影してみたが、ぱっと見で目立ったノイズは見られなかった。
(さすがに拡張ISO25600では目立つかも、だが)ファインダー右側、ボディ上部に設けられたマルチコントローラーとサブ電子ダイヤルの操作性はまあまあよかった。
(初めての方にはいいのかもしれない)写真で見るよりもコンパクトで、しかも軽い
グリップが深いので、手に馴染み持ちやすい
AF性能については、文句のつけようがなかったです。
EOS R3譲りの動体追尾(サーボAF)とあって効きはかなり速く、どんな動きにもピタッと付いてきてました。
しかも、コンパクトなのにボディ内手ブレ補正が搭載されています。
初めての方も、乗り換えを検討している方も
スナップから動きものまで、コンパクトながらも幅広く対応できるものと思われます。
「EOS R10」インプレッション
R7から1ヶ月遅れの発売であるものの、RFマウントとしてコンパクトなAPS-Cセンサー搭載の機種。入門機(エントリークラス)といってもいいと思います。
R7とは違い、ボディ内手ブレ補正は非搭載。しかし、性能はR7に近いものとなっています。
R10については、操作性とAF性能、APS-Cセンサーに新しく対応させたRF-Sレンズを試してみました。
AF性能はR7とほぼ同じ。
サーボAFの効きが良く、顔AFや瞳AFも素速く反応してくれる。高速連写も早く、メカシャッターで最高12コマ/秒での撮影が可能。
ファインダー右側のマルチコントローラーで、メニュー操作がしやすい
(ただしR7のような電子ダイヤルはなし)RF-Sレンズが軽く、コンパクトにまとまっている。
使用しないときはレンズを完全に収納させ、自重落ちを防いでくれる。
(レンズ収納時に電源を入れると、レンズを出すよう画面に表示される)
本体の見た目がEOS Kissシリーズ並みのコンパクトながら、R7と遜色ない性能を実現したのは驚きでした。
ここが気になる
高画質、AF性能の進化、軽量コンパクトといいことづくめだった、R7とR10。
しかし、私がお仕事で使えるかどうか、という点でも見ていました。
結局、仕事で使うには以下のように、イマイチに思うことがありました。
メカシャッター音が大きい
R7は90D並み、R10はKissシリーズ並みのシャッター音(一眼レフのようなミラーのパタパタ音はないにしても)
R5 / R6が結構静かだと考えると、使うシーンが限られるかもしれない
特に式典など厳かな場面では、電子シャッターがいいのかもしれない
※メカシャッターの静音モードはなしバッテリーグリップ非対応
長時間撮影、及び重量バランスの面で厳しい従来のスピードライト(ストロボ)を装着の際、別途シューマウントアダプタが必要
→ EOS R3と同じシャッター耐久性能は20万回(R7の場合。R10は未確認)
R7はストロボなし(R10は内蔵ストロボあり)
ダイヤル類などの操作系は、一眼レフから移行の際は慣れが必要
親指が大きい人には、外側のサブダイヤルが回しにくいのかもしれない。ファインダー部のアイピースキャップ取り外し不可(固定式)
EOS Rシリーズでは、R3以外はすべて不可
メガネ着用時の撮影ではキャップにより視野が狭くなるため、ファインダーの隅々まで見えにくいR10は、従来型のバッテリー(LP-E6系)ではなく、小型化された別型式のもの
「メカシャッター音が大きい」と書きましたが、
「それじゃ、電子シャッターを使えばいいじゃない?」と反論があるでしょう。
しかし、電子シャッター使用時、以下の点で制限があります。
ストロボ使用不可
→人物など影を抑えての撮影ができない(バウンスなどを含む)フリッカーレス設定不可
→室内で蛍光灯などの光源の点滅で、露出やWBが変わる。他メーカーも同じ。
その他、中望遠〜超望遠レンズ、スピードライトなどの装着時において、重量バランスが悪くなるという点もあります。
バッテリーグリップに非対応なこともあり、重量バランスの他に長時間撮影にも影響が出るのは必至です。
(R3のようなバッテリーグリップ一体型の方が望ましいのだが)
また、今回APS-Cセンサー用に新しく登場させる「RF-Sレンズ」。
18−45mmと18−150mmの2本が出ますが、共通の部分を挙げておきます。
レンズのマウント部だけが太く、鏡筒が細いデザインなのでカッコ良くない。
EFレンズには必ずあった「AF/MF」スイッチがない。(R7/R10の本体にあるスイッチで設定する)
開放F値が意外に高く、ちょっと暗めのレンズ(ISO感度を上げれば問題ないが)
EFマウントのAPS-C対応である「EF-Sレンズ」がありますが、そもそも少ないのが現状。
RFマウントでもこの先、RF-Sレンズは揃えられていくのか?
また、マウント径が大きくなったと言えど、EF-Sレンズのような(装着時の)ボディとの一体性が欲しかったと思います。
RFレンズではデザインがいいだけに、安っぽく見えてしまうかも。
R7 / R10はどれの後継機種なのか?
2機種を軽く試してみましたが、結局のところ、どの機種の後継といえるのか?
自分で試したり、スタッフの方とお話してると「あぁ」という感じで見えてきました。それは、以下の通りです。
R7 → EOS 90Dの後継(ミドルクラス)
R10 → EOS KissシリーズのRF版(エントリークラスに近い)
いずれも軽量コンパクト、操作性や性能が高水準で完成されているように思いました。
しかし、仕事で使うとなれば話は別。
EOS 5D系や7D Mark IIからの移行の場合、操作の慣れに時間を要すること。
ボディが軽量なため、スピードライトなど装着した時のバランスが悪い。
そして、バッテリーグリップの非対応は痛かったです。(気になる方が多かった模様)
あと、ミラーレスならではのデメリットである「バッテリーの消耗が早い」こと。
充電時間の短縮と合わせ、これは早急に対応していただきたい。
モバイルバッテリーによる給電が可能とはいえ、配線が煩わしい。更に給電中における動きながらの撮影は、ケーブルが身体に絡まるなど事故の原因になるのでオススメできません。
ということで、(特にR7に対しての)結論は
趣味として使うなら、文句なしにオススメできる。
仕事として使うには、厳しい。
ということでした。
最後に
今回のR7とR10は、大方10万円台で発売されるようです。
R7ボディで19万円、R10ボディ12万円、R10+RF-S18-150mmレンズキットでも約18万円と安い価格設定されています(ビックカメラなんば店での予約価格)
R5で新品だと約50万円、R6でも約30万円していたキヤノンのミラーレスが、一気に敷居が低くなり、購入層も広くなると思います。
こうなると、他メーカーからの乗り換えが増える可能性もあります。
一眼レフに拘りたい人は別として…
ただ、個人的には一眼レフの良さが失われていく。
キヤノン全体としても一眼レフを縮小する傾向にあり、寂しさを感じずにはいられません。
仕事で使う人の立場で厳しめな感想となってしまいましたが、人気機種になるのは間違いないと思います。
キヤノンのこれからに要注目です。
お読みいただき、ありがとうございました!
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