バッド・キアリ症候群(指定難病91)

バット・キアリ(Budd-Chiari)症候群とは肝臓から流れ出る血液を運ぶ肝静脈か、あるいはその先の心臓へと連なっている肝部下大静脈の閉塞ないしは狭窄によって、肝臓から出る血液の流れが悪くなり、門脈の圧が上昇し、門脈圧亢進症等の症状を示す疾患をいう。年間約300人前後の人がこの病気で病院に通院あるいは入院している。また、人口100万人当たり2.4人の有病率であろうと推定されている。男性にやや多く、男女比は1.6:1。平均発症年齢は男性36歳、女性47歳と、男性の方が若い年齢で発症する傾向がある。肝静脈あるいは肝部下大静脈の先天的な血管形成異常や後天的な血栓等が原因として考えられているが、原因不明のものも約70%を占めており、何故この部分の血管が詰まりやすいのかはっきりしたことはわかっていない。また、基礎疾患として血液疾患、経口避妊薬の服用、妊娠・出産、腹腔内感染、血管炎、血液凝固異常等を合併している症例も多いといわれている。
最近、血液凝固異常に関する遺伝子異常の有無が注目されて、現在この点に関して重点的に研究が行われています。原則として遺伝しないものとされているが、遺伝子異常の有無が注目されているため、一部の患者では先天的な素因の関与が疑われており、この点に関しては現在研究の途上である。門脈の圧が上昇すると、門脈血の一部が肝臓に向かわずに他の方向に逃げるようになる。このようにしてできた新しい血液の流通 経路を側副血行路と総称する。この側副血行路のために脾臓が大きくなったり、腹壁の静脈が怒張したり、食道や胃に静脈瘤ができたり、腹水がたまったりする。脾臓が大きくなると脾機能亢進症という状態になり、貧血や血小板、白血球の減少をきたすようになる。また、静脈瘤の圧が上昇すると静脈の血管がその圧に耐えきれな くなり、破裂・出血し、吐血・下血等の症状が出る。バッド・キアリ症候群の主な症状として腹水、下腿浮腫・下肢静脈瘤、腹壁静脈怒張、門脈圧亢進症状としての食道静脈瘤・脾腫・貧血等がある。バッド・キアリ症候群では肝静脈や肝部下大静脈の閉塞ないし狭窄による症状と、門脈圧亢進症による症状が治療の対象となる。

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引用:希少難病ネットつながる理事長 香取久之



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