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またきっといつかどこかで 2
2005年 4月
新入生のみなさーん、テニス部ですー!
飲み会やりまーす、タダでーす!
とりあえず来てくださーい!
ねえねえ?新入生?
今日新歓コンパやるんだけど来ない?
友達沢山できるよー?
「いえ...すみません...入る部活決めてるので...」
大学入学────
初めての一人暮らし、初めての土地。
そんな事より僕には不安があった。
「男子校で3年気楽にやってきたから女子と何喋っていいかわかんねえ...」
「深夜番組とお笑いと概ね一般女子には通用しなさそうな音楽の話しかしてきてねえ…」
(何喋ったらいいんだ…とりあえず軽音楽部だな…あそこのベンチにギター持った人いるな…)
「あの、すみません」
「何?どうしたん?」
「軽音楽部の方ですか?」
「ええ!入ってくれるの?なんか今年は凄いなあ、なあ宮島?」
「ねー、多いですねー、君はどんな音楽を聞くの?」
「なんでも聞きます、メタルとかも聞きます・・・」
「すごい!メタル!うれしいなぁ!俺もメタル好きなんだ!」
(…何でも聞く、という意味で答えたメタルがめちゃくちゃハマったみたいだ…)
「あの…入りたいんですけど、どうすればいいですか?」
「ああ、じゃあ今日飲み会やるから17時に部室に来て。生協の2階」
「わかりました」
言われたとおり、生協の2階に向かうと、そこには重々しい鉄の扉があった。
(…ええ、これ開けるの?マジで?開けづら!すげえ怖そうな人ばっかいたらどうしよ!)
───ガコン!ギィィ・・・
「お!新入生!そこ座って!」
「この子メタル好きらしいんですよ!」
「よかったなー、宮島!仲間ができて!」
「ねえねえ!スパルタローカルズ!スパルタローカルズ知ってる?」
「すいません、分からないです…」
「知らないかー」
「それにしても凄いなーいつも5人ぐらいしか入らないし、男ばっかのはずなのに、女の子もめっちゃいるじゃん、みんな入る部活間違えてない?大丈夫?」
(確かにざっと15人ぐらいいた。女の子もちらほらいる)
「…えー、新入生の皆さん、集まっていただいて有難うございます。
部長の野渕です、これから飲み会会場に移動しまーす」
「ねえねえ、君は楽器なにやるの?」
「ベースです」
「へー!メタルは何聞くの?」
「えっと、ハロウィンとか…」
「いいねー!今度やろうよ!」
(こうして、とっさに出た「メタルとかも聞く」という言葉で、しばらくの間「メタルが好き」というキャラで、僕の大学生活は始まった)