またきっといつかどこかで 5
約束の日
僕はランランの働くバイト先へと向かった。
「えと、確かこの店だったな…アパレルでバイトしてんのか…」
店内をキョロキョロ見回すと、接客途中のランランを見つけた。
「へー、働いてる姿を見るのはなんか新鮮だなぁ」
「いらっしゃいませー、どうぞご覧くださいませー!」
「お客様、なにかお探しですか?プレゼントですか?」
「あ、いえ、え、大丈夫です!」
僕は一目散に店から逃げた。
(まごうことなき不審者ムーブをしてしまった…終わる時間まで大人しく待ってよう)
終わったよー、どこいる?
2階の珈琲館
わかった今行くー
「おまたせ」
「ああ、お疲れ様」
「さっき逃げてたよねぇ」
「バレてた?」
(何話せばいいんだっけ…部活に来やすいように…どう話せば…)
「そういや、最近談話室来てないね、みんな寂しがってるよ」
(自分でも分かるぐらいに白々しいセリフだ)
「うーん、まぁ、そうだね」
「森下先輩は元気?」
(踏み込み過ぎか…?)
「あの人、先輩たちのことよく思ってないの」
「そうなのか」
「ほら、新歓コンパとかあったじゃん?ああいう新歓活動を森下先輩とか宮島先輩とか2回生の先輩が頑張ってやってたみたいなの、それで今年はいっぱい私達新入生が入った、で、実際に入部したら3回とか4回の先輩が幅を利かせてるのが気に入らないらしくて」
「なるほどなぁ、でもその先輩たちも優しくしてくれてるだけだし、幅を利かせてるとかそんなんじゃないと思うけどなぁ」
「そうなんよねー、私が部室に行こうとすると、お前はそっちの味方なんかとか言われるし、顔出しづらくてね、いっつもお酒のんで部の文句言ってる。子供なんよ、あの人」
「みんなランランが談話室に戻ってきてほしいって。内辺さんなんか、取り戻してこい!なんて言うんだよ」
「ははは、んで、やまもっちゃんは取り戻しに来たと」
「いや、えーと、なんていうか、そんな大層な話じゃないんだけど、
せっかく仲良くなったのに、いないってのはなんか寂しいなって」
「優しいな山本氏!フゥー!」
「なんだそれ」
「でも、森下さんの言うことも分かるの、だからほっとけなくてね」
「そっか、うん、まぁ無理にとは言わないし、来れたらね。みんな待ってる」
「ありがとね、なんか元気出たよ」
じゃ、またね。
またねー。
(うまくいったんだろうか、まぁ来てねとは言えたし良しとしよう)
いないのはなんか寂しい、か。
変なこと言っちゃったかなあ。
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