減価償却とはなんぞや?
独立間もない方にはなかなか理解の難しい減価償却について、今回は考えたいと思います。
最初に結論から言いますが、事業の投資活動を成功するために、また資産を拡大していくためには減価償却の知識、活用が必要不可欠です。
マネーリテラシーの向上とは減価償却を理解して初めてなされるものと思います。
事業で利益がでたら、その利益を減価償却が得られる投資にまわし、税金を抑えながら資産を拡大していく。
"利益の出る事業と減価償却で赤字が出る事業を組み合わせて「損益通算で節税メリットを得る」ということを絶えず意識して、事業を展開していく"
これはアパグループ代表の元谷外志雄氏のお言葉です。
まったくもってそのとおりであり、成功する可能性が高い戦略でもあります。
しっかりと理解していきましょう。
減価償却というのは読んで字のごとく、物の価値の減少に応じて、その減った分を経費とすることをいいます。
基本的には10万円以上で、耐用年数が一年間以上のものは減価償却する必要があります。
減価償却の仕方は三種類ありまして、通常の減価償却の他に、一括償却と少額減価償却資産の特例を利用した減価償却があります。
それぞれの償却の方法はGoogleで検索すると沢山でてきますので、そちらを参照してください。
一応簡単に説明しておきます。
[通常の減価償却]
国の定めた法定耐用年数による償却率という数字を乗じて、定額法により減価償却します。
『定額法の減価償却の計算方法』
【その年の減価償却費 = 取得価額(購入した値段) × 償却率 ÷ 12 × その年に使った月数】
法定耐用年数、償却率は国税庁のホームページに掲載されています。
ちなみに、減価償却の計算の仕方には定額法と定率法の二つありますが、個人事業者は定額法で計算します。
[一括償却]
10万円以上、20万円未満のものに使える償却方法で、三年で償却します。
買った日にちや法定耐用年数に関わらず、三年で均等に償却します。
一番簡単な償却方法です。
[少額償却資産の特例による償却]
青色申告を行っている者のみに適用される償却方法で、30万円未満のものは、一括でその事業年度に償却できるという特例があります。
償却資産の合計300万円までは一発で償却できます。(こちらの特例については期間が設定されていますので要確認です。)
ただし、事業者年度が1年未満の場合は
300万÷12月×事業月数
で計算してでた金額までとなってます。
以上3つの償却方法で、売上や将来の計画に応じて、事業主が自由に選択して減価償却ができることになっています。
さて、ここまでは大体理解できると思いますが、理解が難しいのはここからです。
例えば1月1日に25万円のシザーを買い、法定耐用年数の5年で定額法による減価償却をするとします。
一年に経費にできるのは5万円なのに、実際にはお金を25万円支払っています。
そうすると、現金と経費が20万円合わなくなるのでは。。。?
または、現金25万円使って、5万が経費になって、残り20万円はどこに行ってしまったの???
と疑問に思うかもしれません。
減価償却の会計処理でつまずくのは、大体がこれです。
独立仕立ての方にはさっぱりわからないと思います。
ではここで少し、減価償却によってお金がどのように流れ、処理されるのか?整理してみましょう。
まず現金25万円でシザーを購入しましたので現金25万円がなくなりました。
その代わりに、シザーという資産(償却資産)が手元にやってきました。
複式簿記では
1/1
借方 工具備品(シザー) 25万
貸方 現金 25万
このようになりますね。(借方、貸方についてよくわからない方は、借方とは自分のもとに入ってくるもの、貸方とは自分のもとから出ていくもの、と覚えておきましょう。)
まずは、シザーを資産計上しておくわけです。
固定資産台帳というものがありますので、それに固定資産として登録し、シザーとヒモ付けしておきます。
(会計ソフトを使用していれば、耐用年数、取得価格、購入日を入力すれば自動でその年度の減価償却費を計算してくれます。)
こうすることで、シザーは貸借対照表の左側、資産欄に記入されます。
これはどういうことか?というと、現金25万円がシザーという資産に変わって保存されている状態ということですね。
そして一年経ったとします。
シザーの切れ味が悪くなるので25万の価値がなくなりますね。
そこで一年使用して価値が減った分だけ経費とするわけです。
定額法で5年均等に減価償却します。
つまり、5万円分が経費となります。
この処理は決算の最終日にやります。
12/31
借方 減価償却費 50000
貸方 工具備品(シザー) 50000
この時点で5万円分が経費となり、シザーとなって保存されているお金は残り20万円となります。
減価償却による、現金や資産の増減の流れはこのような感じになります。
ここで???となると思います。
現金が25万出ていったのに、年間で5万しか経費にならないって、なんとなく損だし、なんなら「少額償却資産の特例による償却」を選択して一発で25万を経費としたほうがいいんじゃないの?!と思う方もいると思います。
もし、年間の利益が沢山あり、少しでも利益を圧迫したい場合は一発償却でもよいと思います。
しかし、こういう考えもあります。
今年は利益があまりなく、そこまで利益を圧迫しなくても、税金は多くない。
しかし、来年は利益が出るだろうし、経費を来年以降に回せば、来年は減価償却費という現金が出ていかない経費があるために、その分キャッシュが残り、利益も圧迫されて税金も抑えられる。
減価償却のメリットは経費計上のタイミングを経営状況によって選択できる、ということですね。
そうは言っても、経費を先送りできるとしても、始めに現金を支払ってるんだから、別に同じじゃね?そう思うと思います。
そこで活用するのが、金融機関からの借入です。
手元にある現金を支払いに回すのではなく、お金を借りてきて固定資産への投資を行います。
借入は資産の移動ですので、収入にはなりません。もちろん売上とも違います。
当然、お金を借りて返すだけでは経費にはなりません。
お金を借りて株に変えても経費になりません。
借りたお金をお金を稼いでくれる固定資産に変えるのです。
借金で固定資産を買うことで、手元の資金は減らさず、経費だけを積みまして節税メリットを生かしながら投資することができます。
結果、かなり有利に資産を増やしていくことができるんですね。
ですので、お勤めの方には片手間でできる不動産賃貸を、美容師の方には不動産賃貸はもちろん、シェアサロン運営をお勧めするのです。
独立してもフリーランスで美容の技術を売るだけでは資産を築くのが難しいことがわかって頂けたと思います。
いかがでしたでしょうか?
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