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避難所の次の住まいについて知っっておきたいこと(ぼうさいペディア#6)

前回(第5回)のぼうさいペディアでは、避難所の生活のお話をしました。避難所の生活は大きな自然災害でも3ヶ月、最長でも6ヶ月で次の住まいに移ることになります。

今回は、この、避難所生活の次の住まいについて、詳しく説明していきます。

今回の説明のポイントは、避難所生活の次の住まいは、
①自宅が壊れた場合、すぐに住めない状態であれば応急仮設住宅に入ること
②修理すれば自宅に住むことができるようであれば、自宅を応急修理してもらい、その自宅に住むこと
③この2つを一緒にはできず、どちらかを選ぶということ

です。


イメージは下の図のとおりです。この絵の見方を含めてこれから説明します。

応急仮設と応急修理の関係図の最新の図

自分の住宅の被害認定を知ることが最初の一歩

上の図に示してあるとおり、住まいに対する支援は自宅の被害状況によってことなります。この自宅の被害状況を認定するのは市町村の仕事です。

これを住宅の被害認定といい、これらを証明する書類を罹災証明書といいます。

住宅の被害認定の区分は以下の4つです。表現は難しいですが、内閣府が定めた基準に基づいて市町村の職員が統一的に認定していきますので、みなさんは、細かな基準を知っておく必要はありません。しかし、この4つの区分があるということを覚えておきましょう。

被害認定の絵

実際の災害のときには、市町村も人手不足で、すぐには住宅の被害認定をしてもらえないことが多いです。

この場合、みなさんは、被害認定の前に、さっさと自宅を片付けたくなると思います。このときにも、自宅を片付ける前に、かならず住宅の外周全体の写真や内部の写真をとってください。写真がないと住宅の被害認定を市町村の職員ができなくなったり、実際の被害よりも軽く認定されてしまう可能性もあります。

この点は特に注意しておきましょう。

なお、最初の被害認定は、建物の外観中心になりますが、その認定に不満なときには市町村に再調査を依頼してください。再調査のときには建物の内部まで入るますので、認定が変更されることもあります。

応急仮設住宅は2つ種類があります

応急仮設住宅というのは、都道府県などが災害発生後、用地を確保して急いで建設する建設型応急住宅と、災害を免れた賃貸住宅を借り上げて提供する賃貸型応急住宅の二種類があります。

建設型応急住宅は、安普請でペラペラのプレハブ住宅というイメージがありますが、東日本大震災の際には一部で木造の応急仮設住宅も供給されるなど、相当に居住環境の改善には努力していました。

福島県三春町木造仮設の図

建設型応急住宅は、もちろん普通の住宅よりは居住環境は劣りますが、被災者がまとまって居住していることから、被災者向けの支援情報や様々な災害支援活動を受けやすいというメリットがあります。

これに対して、通常の民間賃貸住宅を借り上げる賃貸型応急住宅は、居住環境は普通の住宅ですので優れているというメリットがあります。しかし、まちのなかに被災者がぽつぽつと離れて住むことになるので、被災者向けの支援情報などが受けにくいというデメリットもあります。

応急仮設住宅に入居できる被災者はこんな方です

応急仮設住宅は自力ですぐには住宅を確保できない者のためのものなので、住宅被害の認定で全壊の方を対象にします。ただし、熊本地震では特別基準(ぼうさいペディア第5回で特別基準について説明しました)で、半壊であっても入居を認めました。

実際に災害が起きたときには、災害救助法を実際に実施する都道府県(第5回のぼうさいペディアで説明した一部の政令指定都市も含まれます)が、建設型応急住宅と賃貸型応急住宅の戸数を計画します。

その際には、地元の市町村役場の職員が、みなさんが避難所に避難している間に、応急仮設住宅入居の要望などを聞きに来るはずですので、その時に、自宅の被災状況を役場の職員に説明して、応急仮設住宅に入居できるかを相談してください。

また、賃貸型応急住宅は、原則は災害救助法を実施する都道府県などが自ら借り上げて被災者に提供するのですが、東日本大震災のときには、被災者が自ら賃貸住宅を見つけてきた場合にも、あとから県が借り上げた形に切り替える特例も認められました。被災した方で、自宅が全壊状態で、自分で賃貸住宅を見つける目処がある方は、先行して賃貸住宅の確保に動いても大丈夫です。

なお、建設型応急住宅、賃貸型応急住宅とも家賃は無料ですが、光熱費は被災した皆様の負担になります。

(被災した市町村の役場職員の皆様へ)

自宅が半壊の方が応急仮設住宅に入ることができるかは、内閣府(防災担当)と調整が必要になります。下に絵にある熊本地震の特別基準を頭に入れておいて、早めに都道府県を通じて、内閣府(防災担当)と調整をしてください。

熊本地震の半壊で応急仮設住宅要件

応急修理とはこんな制度です

応急修理とは、自宅が半壊(大規模半壊を含む)、一部損壊した場合に、日常生活に必要な修理を、市町村から業者さんに発注して行う仕組みです。

ここで注意してほしいのは、応急修理を受けた場合には、応急仮設住宅に住むことができないということです。

修理の範囲は住宅本体と住宅設備です。家電などは含まれません。

応急修理で実施する工事の金額は、2020年3月4日現在で、半壊では60万円弱、一部損壊では30万円です。これの範囲であれば被災者の負担はありませんが、これを超える部分を修理しようとすると被災者の自己負担になります。

なお、この一部損壊に対しても応急修理の対象とするのは、令和元年度に新しく設けられました。また、被災者の所得要件も令和元年度から撤廃されました。

このように応急修理の制度は最近大幅に拡充されていますので、地元の市町村役場の職員が応急修理の要望を被災したみなさんに聞いたときに、対象工事の金額や対象となる設備など、最新の情報を確認してください。

まとめ

今回のぼうさいペディアでは、避難所を出た次の住まいは、自宅の壊れ方によって、応急仮設住宅に住むか、応急修理で自宅を修理して自宅に住むかに分かれることを説明しました。

応急仮設住宅に住みながら、自宅を応急修理で修理することはできませんので、この点を注意しましょう。

ポイントとなる図を再掲しておきますね。

応急仮設と応急修理の関係図の最新の図

次回もまとめていますので、しばしお待ち下さい。

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