「いい天気ですね」から始まる吹屋の物語を
タカハシシナリワチョウフキヤ。
漢字だと、高梁市成羽町吹屋。
岡山県の中西部に位置する小さな町で、かなり、いや、めちゃくちゃおもしろい場所だ。と、今回2泊3日で訪れた際に思い知らされた。
吹屋の中心はこの「吹屋ふるさと村」。国の「重要伝統的建造物群保存地区」であり、2020年には「日本遺産」にも認定された。
建物の外壁や瓦、店先の暖簾など、至るところが「ベンガラ」という吹屋の特産品である顔料で彩られた美しい町並み。写真映えするし、歩いてまわるだけで、観光地としての魅力は十分に感じられる。
だが、誤解をおそれずに言うなら、
「吹屋がおもしろいの、そこだけじゃない!」
もちろん、ふるさと村が吹屋のメインの見どころではある。が、今回僕が実際に訪れて感じた“いまの“吹屋のおもしろさは、もう少し奥にあった。ただ、そのおもしろさを表現するのに、正直言葉だけでは足りない気がしている。
実際に吹屋に来て体験してもらう方が早い。その時には町を歩くだけではなく、ぜひお店に入って吹屋の人と話をしてみてほしい。
ベンガラについて聞くもよし、吹屋ふるさと村の魅力を語ってもらうのもいい。なんなら、「今日はいい天気ですね」という何気ない会話から、話が盛り上がるかもしれない。と、そんな風に個人的には思っている。
つまりは、見てほしいのは吹屋の「人たち」であり、吹屋全体を包んでいる空気感だ。
僕自身、友人が一人いるから遊びに行ったクチだったが、気づいた頃には知人がいっぱいる土地になっていた。
なんで?笑
おもしろすぎでしょ。
これ以上書いても、何かを伝えられる気がしないので、あとは撮った写真を並べさせていただく。3日という短い間で僕が出会った吹屋のおもしろい物語が少しでも伝われば幸いです。
他にも、スープカレーの名店やら、ベンガラ色に染まったソフトクリーム、ネパール人の店主さんが出してくれるチャイ、などなど、書ききれないくらいの“いいもの”に出会い、ひとつの出会いが新しい次の出会いを連れてきてくれた3日間だった。
数日間の滞在を通じて感じたのは、みんな吹屋という場所が好きなんだな、ということ。
結構な山奥だし、もちろん課題はあると思う。
でも、いろんな人がいろんなことを考え、吹屋のために行動している。そんな想いのカケラのようなものをたくさん拾わせてもらったような、帰りのバスに乗り込んだ時は、そんな気分だった。
さて、今回の滞在はここまで。
またそのうち来ます。どうぞよろしく
(文・写真 岡本大樹さん
本人の了承を得て、フキヤビト通信へ記事を載せています。)