紙の葉っぱ交換 in Tokyo/Taipei 〜手紙のような作品を交換しよう!〜
こんにちは、おもちゃ作家の佐藤蕗です。この記事でご紹介するのは、『東京と台北の両方で同じワークショップを開催し、違いを比べてみよう!どうせなら両都市の作品を交換しよう!』という企画です。
やってみたら、準備や告知から開催まで人の優しさ・親切心に触れまくる最高の体験となりました。「東京と台北の違い」や「思いがけずエモかった」という感想もまとめていきます。
紙の葉っぱを作ろう!in Tokyo&Taipei を開催
2023年11月から12月にかけて、東京と台北でワークショップを開催しました。両都市で日にちをずらして開催し、完成した参加者の作品を国際間で交換するという企画です。
★紙の葉っぱとは?
葉っぱのかたちを画用紙にうつしとり、色や模様を模写して作る「葉っぱの紙標本」です。作り方がシンプルで、子どもでも制作を楽しむことができます。絵画制作の楽しみと、植物観察という理科的な楽しみの両方があります。
ワークショップでは、参加者に事前に葉っぱを採集し当日持参してもらいました。
【11/11】 まず先に、東京で開催
まず最初に、東京のFabcafe Tokyoでワークショップを開催しました。参加者の年齢は4歳〜大人まで。大人は、制作しているうちに集中し始め、よりリアルに書き込みをする方が多くみられました。
計画段階では「11/11ならもう紅葉しているだろう」と思っていたのですが、都心部ではまださほど紅葉が進んでいませんでした。桜、柿の葉などがようやく色づき始めたくらい。
最初に「上手に完成させることではなく、制作を通して葉っぱを観察することと制作過程を楽しむことが今日の目的だよ」というレクチャーをしました。そのためか、お子さんの中には自由な色を使い素敵な作品を完成させる子も。
・ 植物検疫輸出検査の説明
今回は東京と台北で『葉っぱみたいな作品』を交換するのですが、本物の葉っぱの方は気軽に交換することができません。植物の病気とか、虫の卵とか付いていることがあるからです。制作中に、そんなお話もしました。
・ 植物標本の「標本交換」について
「標本交換」についての話もしました。もともと標本を交換するってことがあるんですね。紙の葉っぱも、遠く離れた国の誰かの家に自分の作品のバックアップがあると思うとなんだか面白いよね…!
・ 完成した作品を預かって終了!
「交換用作品」を台紙に貼り、採集場所などの情報とメッセージを書き込みます。日本語なので、台北で交換する際は翻訳した紙を添付しました。これは功を奏して、台北での交換時に皆さんがじっとMEMOを読んで楽しんでくれていました。
【12/2】台北で開催
東京で制作した作品や絵の具、台紙、紙や色鉛筆などを国際小包で丸ごと郵送して、3週間後の12月2日に台北でワークショップを開催しました。
この日も参加者にあらかじめ葉っぱを採集してもらい、持参する方式にしました。私も台北の公園に落ちている葉っぱを採集。台北では早朝に街中の清掃があるので落ち葉がなかなか拾えないという情報があったのですが、運良く落ち葉の多い公園を見つけてゲット。台北と東京の植物の差は、後半の方でご紹介しますね。
・マメィさんによる、台湾と世界の植物のレクチャー
台湾で活躍している日本人のマメィさんにゲスト講師として来ていただき、植物についての面白いお話をしてもらいました。世界各地を旅しながら植物に触れている様子を写真を交えながらレクチャー。大人の方が特に面白そうに聞き入っていました。
・ついに作品交換!
作品が完成したらメッセージやラベルを書き込み、ついに作品交換。あらかじめ台紙にナンバリングしてあるので、東京と台北の同じ人同士で作品交換ができる仕組みになっています。
作品の交換はとても楽しくて、参加者のみなさんもとても喜んでくれました。「メッセージ・イン・ア・ボトル」みたいで、意外性があって面白かった!というような感想をいただきました。
・12/4〜12/21まで、参加者の作品を展示中
Fabcafe Taipei にて、東京と台北の参加者の作品を展示しています。実はこの展示のために、みなさんには交換用作品のほかに「展示用の作品」も作ってもらっていたのでした。展示では両都市の作品を自由に手に取って見ることができます。東京にしかない植物や台北にしかない葉の作品を見ることができます。今回の企画を一緒にすすめた、Loftwork.Incの作品と共に展示中。お近くの方はぜひ訪れてみてくださいね。
【台北の交換作品を持って帰国】
今この記事を書いているのがこの段階です。来週、台北の作品を東京の参加者に郵送でお送りする予定。(このために、東京開催の際にあらかじめ送付先の住所をお聞きしていたのでした。)
・思いがけずエモかった!
台北作品の裏側のメッセージは当然中国語で書かれています。(日本人で台湾に移住した方やそのお子さんは日本語でした)これをgoogle翻訳の「画像翻訳」機能を使うと、大まかに意味を読み取ることができます。手書きの文字なので画像翻訳時にミスがおこりますが、誤字を少し修正すると綺麗な翻訳文に。この作業がとても楽しかった!
温かみのある手書きの(でも意味がわからない)文章が、しっかりと意味のわかるメッセージに変わる瞬間に大きな感動がありました。ああー、あの参加者は幼稚園の先生だったんだ!と判明したり、「いつか一緒にあそぼうね」と書かれていたり…。この感動は実際に試していただきたいので、翻訳文とともにgoogleの画像翻訳の手順を添付しようと思っています。
そして細かい気づきですが、台北作品の裏のメッセージには文章の最後に相手の幸せを願う文面が書かれていることが多くありました。これを台湾生まれの方に聞くと、特に意識はしていないが自分もそう書く、とのこと。
「とても幸運なことが起きることを願っています!」
「みんなに幸福をもたらすことを願っています!」
「毎日が幸せでありますように。」
とても素敵な習慣だなと思いました。
【参加者の感想】
東京(作品交換のあと追記予定です)
台北
★台北と東京の植物の違い
この企画の計画中にひとつ懸念していたのが「台北でも落ち葉が拾えるのか?」ということです。そこで台北に住んでいる友人や、台湾に友達がいる友人などツテを辿ってたくさんの方に聞き込みをすることに。そして実際に東京と台北で落ち葉を探してみて、気づいたことをまとめてみました。
・台北/東京でしか見ない植物
この2種類の植物は、初めて見た葉っぱでした!当然といえば当然ですが東京にも台北にも、同じ樹木がたくさんありました。欅や楠、プラタナスなど。逆に、台北で全く見かけなかったのが、イチョウやソメイヨシノ、柿。
・台湾では紅葉しないというのは本当か?
リサーチ段階でよく出た意見で、「台湾では樹木が紅葉しない」というもの。台北と東京では、緯度が10度も違います。台北の方がずいぶん南にあり暖かいので、紅葉しないのは当然かもしれません。実際、確かに台北の街では樹木はほとんど紅葉していませんでした。
ただ、台北で紅葉する木が全く無いというわけでは無かったな。東京では樹木の葉全体が黄色や赤色に色づき、色づいてから落葉する感じですが、台北の樹木の中には緑の葉の中にちらほらと赤く色づいた葉があるような感じ。東京では楠なんかもそんな感じですよね。
・早朝に清掃がある台北と、住民が掃除する東京
台北では早朝に街を清掃するお仕事があって、落ち葉やゴミは朝のうちに消えていきます。夕方に公園に行けばまた落ち葉が落ちている、という感じ。
東京では、路上の落ち葉は近隣住民や商店の方が清掃していますよね。住民が清掃しない場合は写真のように落ち葉が溜まっていきます。私はこの光景は嫌いじゃないけど、困っている方もいるかもしれません。
また、もしかしたら東京の方がそもそも落葉樹が多いのかも??紅葉する木をわざわざ街路樹にして、「銀杏並木」や「桜並木」として名所を作っているケースも多いと思いました。
・イベントをきっかけに台湾のことを学んだ
台湾でワークショップを開催しようと決心してから、台湾のことを学ばなくてはと数冊の本を読みました。
日本と台湾に深い関わりがあること。もともと住んでいた民族が多くて、多民族国家であること。年齢によっていろいろな物事の捉え方が違う(これは歴史背景が大いに関係ありそうです)ということを知りました。それから、、台北の皆さん本当に優しかった!!!リサーチでも告知でも、当日も、とても優しく手伝って下さいました。「葉っぱ」という切り口があったため、軸を持って台湾を知ることができた気がします。でもたった1回では…分からないな!!ぜひまた台湾でイベントを開催したいです。(台中や台南にも行きたいな…)
【一緒に開催したい方、ご連絡ください】
・世界中で開催したい!
このワークショップ、とても楽しくて参加者のみなさんの満足度も大変高いものでした。展示用の作品として、参加者から譲渡してもらった作品は、今後の展示にも使わせてもらえることになっています。今回は東京と台北だったのですが、世界中いろんなところで開催できるプログラムだと思います。世界中の紙の葉っぱ作品が集まったら、壁一面に貼って展示をしたい!!
一緒に開催したい、という方がいらしたら、ぜひご連絡ください。fuki.sato@gmail.com
・Special thanks to
この企画は、最初から最後までLoftwork.Incの皆さんに多大なるご協力をいただいて実現しました。もともと「紙の葉っぱ」という作品は私のお気に入りなのですが、それをどう膨らませるか、皆さんのお力がなければここまで素敵なプログラムにはならなかったと思います。
台北でワークショップをやらせて欲しいというお願いを心よく受け入れてくれた Fabcafe Taipeiの堤大樹さん、Mr. PaulYun Yeh、Ms. Yvonne Chen、王帕布さん、 LAYOUT Y TeamのNojima Toshikiさん、星安澄さん、Koshimoto Harukaさん、そして翻訳を手伝ってくれた友人の河合誠子さん、ゲストに来てくれたマメィさん、お名前は伏せますが、告知に協力してくれた皆様。また繋いでくださった木下浩佑さん 皆さまありがとうございした!