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蕗ノート 一粒の生き方がやがて世界を変える

山形県朝日町に移り住んで一番世話を焼いて貰ったトシコさんの家に、トシコさんの退職祝いに遊びに行った。
 
 
家に着くと、すぐに風呂上がりの赤子を渡されたのでオムツを履かせて、服を着せる。

3か月合わなかっただけでも赤ちゃんはあっという間に大きくなる。「ちょーだい!」を言うようになっていた。

すでに食事が終わっている食卓でご飯、サラダ、おかず、ピザ、春巻きともてなされお腹いっぱいになったところで一心堂のアップルパイまで頂いてウィスキーで乾杯していた。

じゃ、私たち寝るから
ということで
お風呂をお借りし
高級マッサージ機でグデグテして
柔らかいお布団で眠りにつく。

明け方、トシコさんが焼いたパンの香りで目が覚める。

朝も食べきれないほどのおかずが並び
お土産には野菜やらパンやら海苔やら沢山持たせてくれる。

3月、連日連夜トシコさんの送別会が行われていたという。

トシコさんとは同じ職場で働いていた。トシコさんは、町の人達の作ったお肉や野菜、果物などを職場で販売している不思議な人だった。

良く職場では敏子さんから「先着10名、チャーシュー受け付けます」というメールが来ていたし、時には肉のいい香りが漂っていた。気がつくと敏子さんが色んな町の人とやりとりをしていた。町の人が頑張って作っているものを職場の人にも知って貰いたかったのだと敏子さんはいう。

そんな人が退職したら職場の雰囲気は変わりそうだなと思う。


一声かける人、多少うざったがられても、そんな大人が職場には大勢いた。

漬物くれる人、果物くれる人、お昼連れていってくれる人、家に招いてくれる人

そういう人達がどんどん退職していき、だんだんと余裕が無くなっていく感じがした。

トシコさんから言われたことがある
「家がなかったら一緒に住んだっていいけどお互いに気を使うだろう」

ありがたいなと思う。
当たり前のことになってしまいそうだけど、これはちっとも当たり前のことじゃないとも分かっている。

引っ越しで忙しくてろくにご飯を食べれなかった日に頂いたご飯が
仕事が終わらなくて温泉に入れない時に借りたお風呂が
自分一人ではままならないし、私はすぐショートしてしまうけどトシコさんという助けを求められる存在のおかげでなんとかやってこれた。

気持ちを尽くすこと
目の前の人に出来ることをすること
自分を、家族を大事にしているから他人も大事に出来る

それだけで人と人との関係が変わる。
いっこ、私とトシコさんの関係。

波紋のように、こういうお互い様がわーと広がったらあなたはあなたでそれでいい世界にきっとなる。

一粒の生き方はやがて世界を変える。
だからマイニチどう生きるかは大切。

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