タイ語が話せるまで 2
私がタイ語に出会い、生活の中でタイ語を覚えていった話の続き。
今回も耳で覚えた別のタイ語のお話しを・・・
「トックジャイ・モッ・ルーイ」
ตกใจหมดเลย
「わ!驚いた」「とてもショックを受けました」と翻訳ソフトで日本語に訳されますが、タイの皆さんの会話から私の耳で聞いたとき私の頭では、
「びっくりしたなぁーもぅ!」
昭和の時代の古いギャグ的にこの言葉をとらえたのでした。
当時はスマホもなく、タイ語の翻訳も出来ず、その意味も知らずに言葉を音として面白く感じた私は、タイの皆さんが言う通りに発音をマネをして覚え、私なりにかなり完璧な「トックジャイ・モッ・ルーイ」が完成しました。
あとはそれを言うタイミングを待つばかりです。
とは言え、私が覚えたタイ語の少ないボキャブラリーで成立するタイ語の会話では、なかなかそのチャンスがありません。
今思えば当たり前の話なのですが、普段の会話でいきなり「びっくりしたなぁーもぅ!」って言うことないですよね。
そんなある日、私が出張で来ていたバンコク郊外の工場で、野生のコブラが現れてちょっとした騒ぎになりました。
日本じゃあり得ない話ですが、バンコクの郊外の工場では、野生のコブラがそこら辺の草むらに生息しているのは珍しいことではありません。
とは言え、猛毒を持つコブラはタイの皆さんにとっても恐ろしい存在。
逃げ惑う皆さんもいましたが、工場の若い男の子たちはコブラを取り囲むようにして、捕獲しようと手近にあった竹の棒っきれやなんかでその機会を伺っています。
私もあっけに取られながらもその様子を見ていましたが、一人の勇敢な工員の男の子がコブラをデッキブラシで押さえつけることに成功し、なんと素手でコブラの頭を掴んで捕獲に成功したのでした。
その様子を遠巻きに見ていた工場のおばちゃんたちも安心してホッと胸をなでおろしていました。
そんなおばちゃんたちが、私に
「日本でもコブラが出るのか?」と訪ねました。
「トックジャイ・モッ・ルーイ」
ちょっと大げさに驚いた表情とともに言うと、おばちゃんたちは大ウケ。
「あんたはタイ語上手になったね」
と褒められて大満足。
無理して不自然に言葉を使うより、本当に心から思った瞬間に出る言葉って相手にもよく伝わりますね。
この時は相手のおばちゃんたちも「びっくりしたなーもぅ!」だったので、なおさら良かったのだと思います。
タイ語学校では5つあるというタイ語声調の発音方法など基礎から学ぶのですが、学校ではタイ語初心者に「トックジャイ・モッ・ルーイ」は教えないでしょうね。
こんな調子で私のタイ語は場当たり的に少しずつレベルアップしていったのでした。