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0を1にすることとハモネプと(うめすみ)

はじめまして、「うめすみ」と申します。
普段はラジオパーソナリティ、ナレーター、イベントMCといった喋る仕事を中心に活動しております。

この「吹けよ春風」主宰の相馬くんは学生時代の仲間であり、僕が担当しているラジオ番組のハガキ職人。
メッセージテーマ「家で楽しんでいること」に対し「WebZINEを作りました!」と教えてくれて、おもしろそうだなーとやりとりしていたら「うめさんも書いてみない?」と誘ってもらいました。

先週から配信されている「吹けよ春風」創刊号ことVol.1、みなさんいかがでしたでしょうか。

こういう情勢下でこれまでの生活ががらりと変わってしまった影響。
その中でもいつもと変わらず流れる時間。
そして暇をつぶそうとPSPを引っ張り出してきたら電池がパンパンに膨張していて「僕も先々週それなってたわ…」という非常に狭い範囲での共感。

様々な読み物が並ぶなかでふと思ったのは、立ち上げるということの労力と熱意のすごさ。

僕の周りでは今このご時世でラジオのコーナーが総崩れしておりまして、
「今週は◯◯さんにイベント情報をお伺いしまーす」
「イベントは中止か延期になりました」
「ですよね〜」
という状況なので、代わりとなるコーナーをいくつか立ち上げたりしているんですが、その作業の大変なこと。

これまで「1を2や3にする」という作業を得意としてきたので、「0を1にする」という発想や行動ができる人を本当に尊敬します。

0を1にといえば、中学生の頃に「ハモネプ」が流行りまして。
アカペラをテーマにした企画で、テレビ番組の1コーナーだったのが「全国大会!」とか「CDデビュー!」とか規模が大きくなり、1つの特番として成立するようなコンテンツになったわけです。

そんなハモネプに「俺も出たい!」と息巻いていたクラスメイトのAくん。「うめちゃん声低いしベースで参加してよ!」と声をかけられたわけです。
なんやかんやあって、男子3人、女子2人によるアカペラチームが誕生。

「昨日のハモネプ見た?」とテレビの話題がクラスを席巻していたあの当時でも校内で他にチームを作ったという話は聞かなかったので、実際にチームを立ち上げたAくんの行動力は今思い出しても尊敬できます。

練習場所はAくんのおばあさんがやっているという私設図書館の休館日にスペースをお借りしていました。
今思えばすごいな。中学生なんだから放課後の教室とかでやればいいのに。

吹奏楽部にも所属するメンバーがSMAPの「夜空ノムコウ」を採譜しアカペラ用に編曲。
他にも当時はブロードバンドが一般的になりはじめた時期で、ハモネプのホームページで練習用の楽譜がダウンロードできたような気も。

時代的にも環境的にもメンバー的にも恵まれたなか、僕らのチームは動き出しました。

そんな、何度目かの練習の日。
その日は機嫌が悪かったのか、練習しても上達しない壁に当たっていたからか、とにかくイライラしていたAくん。その怒りの矛先は、女子メンバーのひとりであるBさんへ。
まあ確かにBさんは音痴ではないけども歌声が細いというか、伴奏などのないアカペラにおいてはやや頼りなかったのかもしれない。とはいえ「そこまでする?」と思うほどキツく当たるわけです。

もちろんBさんも一生懸命にやっていて、そこまで言われたら腹が立つ。Aくんに言い返すんですが、「だったらもっとちゃんとやれよ!」的なことをさらに言われてしまい、険悪な雰囲気に。
ちゃんとやっているのにもっとちゃんとやれと言われる地獄。もういたたまれない。

十何年も経った今でこそ、多分AくんはBさんのことが好きだったんじゃないかな、と思うんですけれどもね。
普段から何かとBさんに突っかかっていたし、きっと好きな子にはちょっかい出しちゃう系男子だったのではないかと。

ただ当時はそんなこと知るよしもないし、ただただ彼のBさんへの叱責を見ていることしかできなかったんですよね。

で、その重い雰囲気の中、今度は「この矛先が僕に向いたらどうしよう…」と震えるわけです。
そんなことないんだけど。彼はBさんが好きだからいじめてるだけなんだけど。なんならその当時、声変わりが済んで安定して低音で歌えるのは学校で僕くらいだったんだけど。矛先が向く理由がないんだけれども。いまものすごく、作文をしながら当時の自分を肯定してあげてる。

僕が彼の圧政にビクビクしているうちに、Bさんもいよいよ付き合いきれんとなり、結局チームは解散。活動を終了し、やる側から観る側へと戻ったのでした。

ただ繰り返しにはなりますが、当時中学生ながら実際にチームを作り、練習場所の確保や楽譜の手配など環境を作り上げていった彼は、今振り返ってみてもやっぱりすごいと思うんですよね。

局のCDライブラリにある「夜空ノムコウ」のCDを見るたびに、そして編曲されたベースラインを口ずさむたびにこのことを思い出します。

ということで、0を1にできる人はすごい…という話を、最終的には0をかけて無にしてしまったエピソードとともにお送りしてしまいましたが。
この「吹けよ春風」にとって、また吹けよ春風をお読みの方にとって、1が1.1にでも1.2にでも、少しでもいい方向に影響するようなものをお届けできれば幸いです。

それでは最後に、パンパンに膨張しているPSPのバッテリーをご覧いただきながらお別れです。

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こうなってしまったバッテリーの安全な処分方法を誰か教えてください。僕と相馬くんに。

うめすみ

小さなラジオ局に勤めています。
ラジオパーソナリティ、ナレーター、イベントMCを中心に音響PAなど。
木曜夕方と土曜の午後に生放送をしているので、よろしければTwitter(@umesumi)をご確認ください。

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