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全っっ然ではないけど、あんまり知らない街に住んでみた話。 (ちゃきこ)

この『吹けよ春風』でクラフトビールのラベルの話をしたのは、
大学の同級生であるこちらの主宰が
仕事で運営しているECサイトを「宣伝していいよ」と言ってくれたからで、
それ以外、わたしには人様にお知らせするような大したネタがない。
ゆえに締切直前のいま、
とてもこのnoteに書くべきネタに困っていて、
安請け合いしてしまったことに後悔さえもしている。

とはいえ、約束は破りたくないので
クラフトビールを飲みながら、わたしの人生に
なにか興味を持ってもらえるようなネタがないか考えてみたが
特に思いつかなかった。
なので、私が8年間暮らしていた
全っっ然ではないけど、あんまり知らなかった街の話をしよう。

大学を卒業して、札幌のローカルテレビ局付きの制作会社に就職した。
私の地元は埼玉県だけど、
埼玉一の都市・大宮よりも
東京都北区赤羽や豊島区池袋のほうが近い埼玉県。

働くなら、地方で、と決めていて、
ご縁があったのは父の故郷・函館から車で5時間近く離れた札幌。
地方で働きたかった理由は、ずっと故郷に憧れがあったからだ。

埼玉にある地元は、埼玉!というほど埼玉の良さもなく、
徒歩10分くらいで荒川の河川敷に辿り着き、
川の向こうに金八先生が走っていた北区を望むような場所なので
なんとなく田舎感というか、故郷感というか
そういうものを感じたことがなくて、感じてみたくて、憧れていた。

卒業論文もそんな感じのテーマで書いたし、
腹は決まっていて、採用通知がきてから割とすぐに
サクッとあんまりよく知らない街・札幌へ飛んだ。

新千歳空港から1時間弱。
札幌はちょうどいい都会で、
とても過ごしやすいいい街だったので、
かなり※個人の感想 だけど、どんな街だったか紹介するね。


■札幌という街

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札幌市は10区から成り立っていて、
中心部は大都市なのにこぢんまりしているというか、
ぎゅっとまとまっているのに余白があるというか。

京都のような碁盤の目のつくりというのと、
雪国なので道が広かったり、
大通公園を中心に公園が点在していたり、
大きめの川が近かったりするのがそう見える一因かもしれない。

北の国からのようなド田舎感はなく、
かと言って人がわらわらと集まっているのはハイシーズンの札幌駅ぐらい。
中心の大通駅から地下鉄で2駅くらい離れれば、夜中にキツネが道路を渡ったりもしていて、自然に癒されることもしばしば。

流行は入ってくるが、
季節が発信地とずれるので、バッと盛り上がってすぐに冷めてしまうことが多いように感じた。
熱しやすく冷めやすいのは道民の気質のようで、
新商品のお試し販売は札幌で行われることが多いというのも良く聞いた。


■札幌での生活

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地下鉄駅2駅くらいの間に
大丸もパルコも三越も、東京で「ああ、新宿とか池袋とか渋谷に行けばあるな」
と想像するだいたいのお店がある。

家賃も少し離れるだけで、東京で聞くそれの半分くらい。
同じ職場でも10区それぞれに住んでいるひとがいて
交通手段は地下鉄か車。
暖房器具によって電気・ガス代はびっくりする額になる。

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街は雪の期間が長いからかなんとなくいつも淡いグレー。
新緑の季節になると埼玉の100倍くらい気持ち良く感じて、
理由なくたくさん歩いたりする。

雪が降る、というのが大きいかもしれないけど、
季節のルーティンがきちんとあって、
みんな天気や、空気や、匂いなどを感じ取りながら生活している。
天気の話がこんなにバリエーション豊かに、共通語としてあるとは知らなかった。

例えば、冬はみんないつも天気の話をしていて、
雪がどんな雪か、振り方がどんな感じかを話すのは挨拶以上に頻繁。
夏になればちょっと暑いだけで(東京だったら割と快適なほうだと思う)、眠れなかったとか
少し夜が涼しくなると、すぐ冬が来る、という話をし始める。

寒いけど、雪もまあまあ多いけど
慣れてしまえば大したことはない。
車を運転しているときは、ごくごくたまに死ぬかも、と思った。
特に中心部でデスクワーク、みたいな仕事なら、
ほとんど暖かい室内で過ごせるのでよさそう。

物価はそこまで安い!ということは無いが
関東よりは物によっては安い。
野菜は季節によって変動があり、雪国と島感をよく感じていた。
送料は高くなることが多いので、通販は注意。

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イベント盛りだくさんなのも最高なところ。
RSR(ライジングサンロックフェスティバル)はお隣石狩市で行われる夏フェス。歴史も長く楽しいがとんでもなく歩く。


■札幌の人


仕事柄、というのもあったかもしれないが、
札幌で出会うひとは東京並みに
札幌出身の人がいない。気がする。

道内の他の街から来ている人や、
私と同じ道外出身者がわんさか。
みんなよそ者に慣れているからか、
アレルギー反応もあまりなく、
みんな優しくしてくれる。
その分ややドライなところもあるので(地域にも依りそうだけど)
来る者拒まず去る者は追わず感はあったかも。

とにかく、よそ者たちも含めて
北海道に誇りを持っているというか、
北海道のものが好きだし、
おすすめされることもよくあった。


■札幌の食べもの

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スーパーで毛蟹がまるまる売られていたり
とにかく食べることが好きな人にとっては、
楽しくて仕方がないと思う。舌が肥える
外食もおなじく。

季節とともに生きていて、
素材に惹かれて
旬や変化に敏感な人たちが集まってくるから
東京でいただくよりも安くて、クオリティが高い。
行くまでが大変だけど。

味自体も、北海道だからこう、みたいなものがあまりないので
どこから来た人にも馴染みやすい。

ラーメンは、札幌味噌・旭川醤油・函館塩
みたいななんとなくの区分けが日本人の意識としてあるが、
それぞれお店によって推しは違うので、好きなものを食べたほうが良い。

お鮨は、回転寿司を含めてだいたいどこで食べても美味しいので、
予算と場所で選ぶべし。

世界的な感染症のせいで、本当に美味しくて人気がある飲食店でさえもつらい思いをしている。
この時期でも北海道に行く計画が有る方は、ぜひおいしいものをたくさん食べてきてほしい。

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渋谷のスープカレー屋さんの少なさに愕然としながら毎日を生きています。


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私の人生で唯一、
エレベーターに見知らぬ人と閉じ込められたときに話が膨らむかもしれない出来事は
縁もゆかりもそこまでない北海道に突然働きに行った、ということぐらいかもしれない。
何も成し遂げてないのに一旦故郷を感じに関東に戻ってきてしまったけど、
また近い将来札幌に住みたいな、と思っているくらい
あの街が好きだ。

そして何よりも、あんまり知らなかったけど素敵な都市に住んでみて、
自分の故郷を俯瞰して見られるようになったのは
本当によかった。
ドラマのように、東京ドリームを叶えに!みたいなことはなくても
知らない街に飛び込んで生活することで
帰る場所があり、昔から知っている誰かがいることが
こんなにも支えになるのだということを初めて知った。

なにもない、便利なだけの故郷も案外悪くない。
そう思うの、結構いい経験なので
全っっ然ではないけどあんまり知らない街に住んでみるの、おすすめです。

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書いた人 ちゃきこ

相馬先生とは中町ゼミ(テレビドラマおたくゼミ)の同級生。
札幌のテレビ局でのディレクターを経て
クラフトビールの通販サイトgoodbeer 
https://goodbeer.jp/
の運営などwebのお仕事の修行中。

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