移りゆく時代、過去の遺物になりつつある自分と被写体たちへ
先日、仲間からYOUTUBEのURLが送られてきた。
それは、歌舞伎町のドキュメンタリーだった。
20年以上歌舞伎町の写真を撮り続けた男、Yangさん。彼の写真と動向と共に歌舞伎町のこれまでを振り返る20分弱のドキュメンタリー動画だった。まずは動画を観てほしい。
生命力にあふれた写真の数々は、私の心をくすぐり刺激させる。彼の写真は、理屈や技術よりももっと大事なものをつきつける。
歌舞伎町を撮り続けた「継続力」だ。
20年以上・・・膨大な時間、膨大な写真の数・・・並ぶためには少なくとも20年は必要だ。そう考えただけですごいと思う。
彼のホームページもあったので掲載しておく。
動画を見て思ったことを書いていこう。
■使っていた機材
動画の中で彼が使用していたカメラは2種類あった。ひとつは、ライカみたいなのだった(多分)。もう一つは、eos6dだった。レンズはたぶん24-105mm f4だと思う。
つまり、わたしとほぼ同じレンズだった。撮っているものも似ているし、機材も似ている。何かのシンパシーを感じた。
このシーンの壁中に貼っているレイアウト、かっこよすぎ。私のスタジオもこうしてしまおうかな・・・
おもにフラッシュ直光が多かったので、きっとかつてはクリップオンをつけているのかもしれない。
■私にとってのごんた
動画後半で登場する「ごんた」という浮浪者との話が印象的だった。彼のホームページでも別枠で写真とポエムが掲載されていることから気持ちが強いんだろう。たしかに見るからに魅力があふれていた。
写真集にもなっている「君はあっちがわ、僕はこっちがわ」のタイトルのページに数枚彼の写真とポエムが載っているので動画の次はこちらも見てほしい。
きっと20年近く撮り続けているのだろう。関係性の親密さをうかがえる。
ごんたを見ていると、私はあるひとりの男を思い出す。私の友人の「我楽夢」(がらむ)だ。
以前の日記でも書いたが、彼とは今年で19年の付き合いとなる。(2020/07/07に記載)
この男は、現在歌舞伎町やゴールデン街などの路上で絵を売って生活している。私の友人の中でもひときわ変わった男だし、良くも悪くも一貫性のある男だ。守れる約束と守れない約束がはっきりしていてわかりやすい。その点はわたしと似ているので把握さえしていれば付き合いやすい人間だ。
絵は、なんとも言えない味わい深いというのかなんというのかあまり好みではないが嫌いになれない絵だ。というか、私は彼の絵よりも表現に対する姿勢が好きなのだろう。
この写真は、早朝の新宿東口前(アルタ前)で撮影した。彼のペースと世の中のペースの違いを表現できていて好きだ。たぶん、iso100 1/15,f10くらいだろう。カメラバックに置いて高さをつけて撮影した。
彼がいつまで続けるのかわからないが、体調崩さず死ぬまでやり通してほしいと自分のためにも願う。
■感性を躊躇ってはいけない
やんさんが、言っていた。「一晩歩いても撮りたいものがない日がある。」
正直に告白すると、私も同じ体験をした。福岡のインディーズバンドシーンを中心に撮影しはじめたのが2007年。いろいろなものを撮らせてもらったが、2014年頃から徐々に不安の片鱗が見えていた。
「だんだん撮ってて興奮しない」
2015年、さらにそう感じることが増えたが、幸運なことに次々に新たな被写体に出会えたおかげで今日まで感覚の鮮度を保てている。
しかし、仮にバンドのみを撮っていたら・・・私も早々に撮り飽きて下手したら今頃撮っていないかもしれない。この場を借りて、すべての被写体にありがとうと感謝の意を述べる。
「感性を躊躇ってはいけない。」
2015年以来、このスローガンをずっと掲げて実行している。
いいと思ったら、必ずカメラを構えてシャッターを切る。そしてちゃんと現像してレタッチをする。これを繰り返すことで感性の目減りを防いでいるし、新たな感性の扉が開くべく模索している。それの最たる例が風景写真だ。
突然だが、何枚かその法則に則って撮った風景写真を掲載する。
2015年から1年ごとに無作為に選んでみた。どれも自分らしさが出ている。誇らしい。どれもよいリズム感が走っていて私は気持ちがいい。
そして、これらの練習のおかげでおかげで人間を撮るときに新しい感性の閃きが生まれる時がある。きっとこれの繰り返しである。
それは、例えるなら筋トレだ。
人物の写真も数枚掲載しておく。
どれもわたしらしくて、誇らしい。
■さいごに
時代は進み続けている。私も被写体も気づけばいい年齢になってきた。私がよく撮る親不孝通りにも知らない人がどんどん増えてきた。私は、ちゃんと彼らの面白さを気づく感性は残っているだろうか。
そして、臆せず撮る姿勢は持ち合わせているだろうか。
感性を躊躇ってはいけない。
これは、私へのサポート機能です。 次の撮影、次の次の撮影のための資金として使わせていただきます。