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Qrioに4年間エンジニアとして携わって経験したこと #3

続きです。

Qrio Smart Lock (Q-SL1) スマートウォッチ

Q-SL1が発売されてからは、僕自身もユーザーとしてQ-SL1を使っており、また同時にApple Watchのユーザーでもあったことから、スマートウォッチからロックの操作ができないかを考えていました。

しかしながら、2015年時点のwatchOS(Apple WatchのOS)はBluetoothを直接扱うことができなかったため、リモコン方式(勝手に名付けた)を採用することにしました。

リモコン方式とは、ウォッチからスマホへ命令を送ると、スマホがロックの操作を行う方式で、このやり方であればApple WatchとAndroid Wearのどちらも比較的簡単に実装ができました。

当時、Qrioとしてはスマートウォッチに対応する計画は無かったのですが、2015年末の空き時間でApple WatchとAndroid Wearのプロトタイプを作ったところ、これがウケて2016年2月に追加機能としてリリースされました。

Qrio Hub (Q-H1)

2016年4月にQrioに正社員としてジョインしたあとは、外出先からロックを操作したいという話があり、Q-SL1の追加機能として開発がスタートしました。

Q-H1に対応する前のQ-SL1は、オーナー登録を行ったスマホが生成した電子キー以外でロックを操作することを想定していなかったため、セキュリティ仕様を根本から見直す必要がありましたが、幸いにもセキュリティの知識に長けた同僚が居たことで、これまでと同等のセキュリティを担保しつつも最小限の修正で実現できる仕組みを発案することができ、この案件で最も難しい課題をクリアすることができました。

アプリとしては遠隔操作のためのWebAPIを叩くだけで余裕で作れそうと思われますが、アプリ/サーバー/ハードウェアと登場人物の多いIoTでは、一筋縄では安定動作せず、アプリエンジニアでありながらも日常的にサーバーやハードウェアのデバッグも行っていました。

IoT製品の市場では、機能が期待通りに動作しないとECサイトやアプリストアでアプリがボロクソに叩かれるという性質があり、自分自身がユーザーとして納得のゆくまで、何度も他領域のエンジニアとデバッグやチューニングを繰り返したのは懐かしい思い出です。

そうして、色々ありながらも計画どおりに2016年12月に発売することができました。

Qrio Smart Tag (Q-ST1)

Q-H1の開発が走っていた2016年の夏、Q-ST1の開発も並行で走っていました。

当時、Qrioにはアプリエンジニアは僕も含めて2名在籍しており、僕はQ-H1を、もう1名はQ-ST1を担当していましたが、空き時間の傍らでQ-ST1のアプリを触ったところ色々と課題があることが判明し、片足を突っ込む形でプログラムのデバッグを手伝っていました。

特にiOSではアプリを起こす手段が限られていたため、ギリギリのタイミングでQ-ST1をiBeaconに対応することができたことは本当に運が良く、またAndroidに関しても、スマホの電池を異常消費してしまう問題の原因を突き止めて改善できたことは、片足を突っ込んだ甲斐があったと思っています。

つづく

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