海外イラストレーターを取り巻く環境〜中南米発〜
今、僕が自身のギャラリーカフェを持ち、一年の大半を過ごすメキシコ・オアハカでは記録的な猛暑に見舞われています。とは言え湿気ジメジメで熱帯夜、夜も寝苦しいという日本のようなことはありませんが、それとは別にメキシコ全土『音』に寛容な国ゆえ別の寝苦しさは通年ついてまわります。
それにしても、最近も熱中症で農場で働いていた若い男の子が亡くなるなど厳しい暑さの理由として、全く雨が降らないということがあります。
きっと『え?メキシコって砂漠とサボテンのイメージだからそんな感じでしょ?』
と思われる方が大半かと思うのですが、そのイメージは半分合ってて半分違います。
というのも日本の約5倍の国土があるので、どこもかしこも同じ風景ということもありません。
現に僕が暮らすオアハカ中心部では、コロニアルな街並み地区、洗練された商業施設が立ち並ぶ地区と様々。
気候的には一年を通じて温暖適温で、本当に暑いなーと感じるのも6月の一週ぐらいなもんでした。
例年なら今の時期だともうとっくに雨季に入り、たとえ日中灼熱の太陽でも夕方にワーっとスコールが降り爽やかな風が街を吹き抜けているはずでした。
そんなわけで街中が参ってます。
僕はそこに加えて上の階の住人が夜遅くまで音を立てるので
寝不足もあいまって今日は意識もうろうとしています。
制作はというと意欲は依然旺盛なのですが
絶賛、筆がなかなか進まない時期に入っています。
産みの苦しみを味わっている期間とも言えますが目先にNYCでの展示という明らかな目的があるので先は希望に溢れてモチベーションも下がっていません。でもこの気候、環境、忙しさのトリプルパンチ!!
いつ切り抜けるターニングポイントがやってくるか、静かに状況を見ているところです。
話は変わりますが、日本という土地は制作環境としては100%パーフェクトなんだなと実感することがあります。
画材も揃えやすい、家に篭りやすい、静かで集中しやすい、都心部であれば本屋さんや展示会、勉強になる場所が多い。
唯一の問題が閉塞感、あまりにも統制された情報に支配されている。メディアの一部を担う職業ゆえ、それを気にしないでイラストレーターとして活動することはできないのではないか?
フリーのイラストレーターでも、会社を意識して同じように行動しなくてはならない。そして、立場は弱く低い収入の割に露出があるメディアなので、弱いものどうしの同業者で足の引っ張り合いなどがある。そして他からは色眼鏡で見られる機会が多い。悲しいですよね。
たとえ仕事が貰えるようになっても、外の要因によって状況はどんどん変わるところに個人経営の難しさがあります。
ここまでは絶望的なイメージですよね、そういったところばかりに目をやると本当に絶望的なんですが。。。
そこから抜け出すにはやっぱり『自分』に素直になって描く事の楽しさや作品が出来上がった事の喜びにフォーカスするしかないです。
イラストレーターとして例え仕事が減っても自分自身で立ち位置の確認がしっかりしていれば露頭に迷い筆を投げ捨てることはありません。
僕は、他から頂く賞にはあまりご縁がないイラストレーターではありますが、この職業のおかげで人生を本当に豊かにしてもらっています。大切な人達との出会い、行った事のない場所、見た事のない景色もこのイラストレーションを通じて出会うことができました。
だから、自分の立ち位置はイラストレーターです。ということを自分自身に言い聞かせることは本当に大事なことだと思います。
誰かに資格をもらって始まる仕事ではないからこその、社会での立場の弱さ、認知の低さは確かにあるけど、自分で決めて自分で成る職業というのは全てが自身の手に委ねられていてワクワクします。
自分で自分を裏切らない、飽きない限り、一生続けることができます。
だから、自分を卑下しない、信じてあげることを止めてはいけない職業なんだよね〜とずっと言い聞かせています。忙しい時は尚更です。
それがまさに今、雨が降らない灼熱に負けず、熱風にも負けず、命の危険を感じる日差しにも負けない…
南国で真っ黒に日焼けした宮沢賢治さんを思い浮かべて進む今日この頃です。。。ってね。
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