ご近所の騒音の解決手段(海外編)
メキシコ・オアハカの爆音騒音被害について、どのように対策を講じてきたか、ここまでの経緯は前の記事をご覧ください。
あらゆるカードを用意してきましたが、残されたカードは『直接対決』しか無くなってしまいました。
しかしこちらが完全武装で戦う気満々で出向いたら相手の印象はどうでしょうか?
騒音被害で眠れない夜を過ごしてきたこちら側は、もう相手に対する印象が固まってしまっていますが、その音の出どころの隣人は自分が流しているステレオの音楽が誰かの迷惑になっているなんて寝耳に水かもしれません。
ここはまず、落ち着いて相手がどんな人達なのかを確認する必要があります。特に、海外や新しい土地に住みはじめた人にとってはこの最初に落ち着いて相手方の様子を伺うことは重要なプロセスになります。挨拶がてらぐらいがいいです。
さて、そこで私の話に戻しますと、ここオアハカに活動拠点を持ってから8年目になる私にはある種の自信のようなものがありました。
おそらく隣人は典型的なお祭りパーティー好きではあるが、話は聞いてくれる人の人達に違いないという事です。
というのもメキシコ、特にオアハカで感じたことは例え言葉が喋れなくてもこちらが何を表現したいのか感じ取ろうとしてくれたり、言葉に詰まろうとも待ってくれる寛容さを持った人たちが比較的多からです。
その寛容さを育むのはおそらくメキシコ人の家族多さ。
いつも側には誰かがいることが当たり前の環境で育ってきているので、心も部屋のドアも開けっ放しです。要するに、色々な意見を持った人たちがいる事が当たり前で、それぞれの人の話に耳を傾けるべきという共通概念があるように思います。
未だ語り継がれる、オアハカ出身のメキシコ初の先住民出身大統領べニート・フアレスの言葉にも『El respeto al derecho ajeno es la paz 』「他者の権利の尊重こそが平和である」にも象徴されています。
前置きが長くなりましたが、その自信を元に騒音の苦情を言いに行くのではなく、挨拶をしがてらの意識で隣人宅を訪れました。
家の前まで来ると、トタン造りの塀に囲まれた開けた土地にリビングスペースがあり奥にキッチンの古屋があるようなたたずまいで、こんな開けっ広げの空き地同然の場所にステレオ置いたらそりゃ響くだろうといった感じです。玄関ごしに隣人に話しかけました。
すると丁度知り合いと何人かで晩酌をしていた様子で
『おぉ、入って入って、コーヒーでもどうだい?甘いパンもあるあるよ。』とフレンドリーに招き入れてもらいました。
その後は至って友好的に世間話をして(するように努めて)日本の話などをした後、本題を切り出しました。
あなたたちは平日とか週末に明け方までフィエスタ(パーティー)をやってませんか?と聞くと悪びれるどころか、逆に自慢するように『もちろんだよ!クリスマスイブのパーティーは夕方4時から次の日の朝8時までやっちゃたもんね』
!!正にそれでこっちはノイローゼになってるんだよ!!
という気持ちをグッとこらえて、少し神妙な面持ちで伝えました。
実はステレオの音や叫び声が僕のアパートまで響いている、夜中は11時には寝るからその頃にはせめて音楽だけは止めてもらえないかな?
一同に『???』マークが灯ったところ、その家族を訪れていた知り合いが少しは外国人の習慣に理解があったようで、そうかそうかといった具合に話を理解してくれました。
『そのことを伝えてくれてありがとう、そして迷惑をかけてすまなかったね。』
あまりにすんなり聞き入れてくれて逆にびっくりしたのと、気持ちがいくばくか軽くなりました。ホッとしていると、最後に、、、と続けて
『今度うるさい時があったら遠慮せずに言ってくれ、そうしたらさらにボリュームを上げてあげるからね(草』
おぉぉぉ〜い!!冗談になってませんから!!!
そんなこんな、色々ありましたが、結局この後少し音には気を付けてくれるようになりました。でも、残念ながら音楽付きな人達故、完全に日本のような静かな環境を手に入れることはできず、それ以上彼らに好きな音楽に気をつけて我慢してもらうのも気が引けたので、最終的には引っ越しとなりました。
騒音問題、せっかく引っ越した場所で遭遇してしまうのは本当に残念な気持ちになります。そして、中々完全解決とはいかない事が多いような気がします。
僕の場合は今回の件で、だいぶメキシコの騒音や物音に慣れることができたのと、新しい引っ越し先は大家さんが同じ建物に住んでいる物件だったので、オアハカの人と接する機会も増え、そういった面では良かったように思います。
健康を害したままよりは、そういったプラスの面も考えて、費用や労力はかかりますが速やかに引っ越しを決めてしまうことをおすすめしてこの話題を締めくくらせて頂きたいと思います。