見出し画像

Day1_第2部_有効な人材戦略策定のための「オンラインセミナー」

この動画は、株式会社ベアレン醸造所の代表取締役社長である嶌田洋一氏が、地元人材の採用と育成について講演を行ったものです。

講演では、ベアレン醸造所がどのようにブランド戦略を徹底し、自然と人材が集まる環境を構築しているのか、具体的な事例を交えながら解説しています。

嶌田氏は、採用においては、ブランドイメージの浸透を図り、会社理念に共感する人材を採用することを重要視しており、そのため、採用費用はほとんどかけておらず、ホームページ掲載のみで十分な応募を得ていると説明しています。

また、育成においては、ブランドガイドラインを用いた新人教育や、ビジョンに基づいた社内ミーティングを実施することで、社員全員がブランドイメージを共有し、一体感を醸成しているとのことです。

さらに、社内活動を通して、社員一人ひとりが会社の理念やビジョンを実践し、成長を促す取り組みを紹介しています。




ベアレン醸造所の採用戦略:ブランド構築で人材を引き寄せる


ベアレン醸造所は、徹底したブランド戦略によって、採用費用をかけずに自然と人が集まる仕組みを構築しています。
「ブランド」を明確化し、社内外に統一感を出すことが根本にあるということです。


ベアレン醸造所のブランド戦略


ベアレン醸造所は、「岩手に根ざしたビール文化を創造する」ブランドガイドラインを作成しています。

●このガイドラインには、ロゴや色の使い方といった基本的なルールだけでなく、社員の行動規範も細かく規定されています。

●例えば、電話対応の仕方やメールの書き方、さらにはお酒の席での振る舞い方まで、統一感を出すためのルールが定められています。

※このブランドガイドラインは、採用活動においても重要な役割を果たしています。
ベアレン醸造所は、自社のミッションやブランドイメージに共感してくれる人材を求めており、そのために採用活動では、自社のブランドを明確に伝えることに力を入れています。

※ベアレン醸造所の従業員行動規範
ベアレン醸造所では、従業員向けに詳細な行動規範を定めたブランドガイドラインを策定し、ブランドイメージの統一を図っています。このガイドラインは、ロゴや色の使い方といった基本的なルールだけでなく、従業員の行動規範も細かく規定している点が特徴です。
具体的な行動規範の例
●電話対応時の言葉遣い
●メール作成時のルール (例: 敬称の「様」はひらがなで表記)
●お酒の席での振る舞い方 (例: 個人的な携帯電話の操作禁止、グラスにビールを残さないなど)

※ブランドガイドラインの改訂プロセス
ベアレン醸造所のブランドガイドラインは、以下のようなプロセスを経て改訂されています。
●初期バージョン: 創業当時からの古参幹部と社長が中心となって作成しました。
●バージョンアップ: ブランドガイドライン改訂のためのプロジェクトチームを結成し、バージョンアップを行っています。
○チームメンバーは、ブランドやガイドラインに対する理解度が高いスタッフから選出されます。
○古い情報や運用とルールがずれている箇所などを修正したり、SDGs などの新しい取り組みを追加したりするなど、時代の変化に合わせて内容を更新しています。

【議論における注意点】
●幅広い層の意見を反映できるように、特定の社員の声が大きくなりすぎたり、若手社員が意見を言いにくい状況にならないように配慮しています。

【その他】
●ガイドラインの内容を評価基準に落とし込んだり、ペーパーテストなどで理解度を測ることは、現状では行われていません。
○これは、点数化することによって社員が評価を意識しすぎるあまり、本来の目的であるブランドイメージの統一から離れてしまうことを懸念しているためです。
●ブランドガイドラインは、社員の行動規範だけでなく、エコ推進委員会の活動指針など、様々な活動にも影響を与えています。

●ホームページやハローワークへの掲載のみで十分な応募が集まっており、採用費用はほぼゼロです。

●特にUIターン希望者からの応募が多く、岩手を元気にする企業で働きたいという思いを持つ人が集まっています。


ブランド浸透のための社員教育


採用後も、ブランドガイドラインを用いた新人教育を行い、ブランドイメージの浸透を図っています。

●新入社員は、まず「ブランディングチーム」に所属し、ベアレンのブランドについて深く学びます。

●これは新卒・中途採用者ともに共通で、ブランドガイドラインを通して、会社が大切にしていることを理解し、統一感を図っています。

※ブランドガイドライン学習の目的
●ブランドの統一徹底:
ブランドガイドラインを通して、ベテラン社員と新入社員の間、また部署間の認識のずれをなくし、会社全体で統一感のあるブランドイメージを発信できるようにします。
●ミッションの共有:
ベアレン醸造所のミッションである「岩手に根ざしたビール文化を創造する」ことを理解し、共感してもらうことで、従業員一人ひとりがその実現に向けて主体的に行動できる環境を育みます。
●企業文化の継承:
ブランドガイドラインには、ベアレン醸造所が創業以来大切にしてきた価値観や行動規範が凝縮されています。新入社員は、このガイドラインを学ぶことで、企業文化を理解し、スムーズに組織に溶け込むことができます。


ベアレン醸造所のビジョン


ベアレン醸造所では、近い将来なりたい姿として「ビジョン」を掲げ、社員育成に活用しています。
このビジョンは、単なる目標数値ではなく、社員一人ひとりの行動指針となるような具体的な内容となっています。

ビジョンの内容

ビジョンは、以下の5つの項目から構成されています。

①飲むプラスα ビール力:
ビールは飲むだけでなく、学ぶことも大切であるという考え方。
きつくても笑顔を:
辛い時こそ、明るく振る舞うことを重視する姿勢。
まずやってみよう:
チャレンジすることだけが、成功への道であるという信念。
環境はすぐに変えられない。でも自分はすぐに変えられる:
周囲の環境に左右されず、自らを変えていくことの重要性を強調。
ビールに関わる全ての人は仲間:
顧客、取引先、従業員など、ビールに関わる全ての人々を大切にするという価値観。

ビジョンの浸透と活用

◯毎週のミーティング:
4~5人のグループで、ビジョンの項目について、各社員が自身の取り組みや考えを発表し、共有するミーティングを毎週開催しています。 このミーティングは10年以上継続されており、ビジョン浸透の重要な役割を担っています。
日々の業務への反映:
ミーティングでの議論や共有を通して、社員一人ひとりがビジョンを意識し、日々の業務に取り組むことができるように促しています。
行動規範との関連性:
ビジョンの各項目は、ブランドガイドラインに記載されている行動規範と密接に関連しています。 ビジョンを達成するためには、ブランドガイドラインに沿った行動をとることが重要となります。

ビジョンの効果

  • 社員のモチベーション向上: 目指すべき方向性を明確にすることで、社員のモチベーション向上に繋がっています。

  • 一体感の醸成: 共通のビジョンを共有することで、社員間に一体感が生まれ、組織としての結束力が高まります。

  • 顧客満足度の向上: ビジョンに基づいた行動をとることで、顧客満足度向上に繋がり、企業の成長に貢献します。



まとめ


ベアレン醸造所の成功事例から、ブランドを明確化し、社内外に統一感を出すことが、採用活動の成功、ひいては企業の成長に大きく貢献することが分かります。
中小企業こそ、自社の存在意義や目指す方向性を明確に示すことが重要と言えるでしょう。


いいなと思ったら応援しよう!