中小PMIガイドライン⑤:基礎編(詳細編)
以下は、ふかや経営サポートブログより、転載しています。
****************************
今回は、「動画⑤:中小PMIガイドライン講座 基礎編(詳細編)」です。
M&Aに関わる実務担当者の方々を対象に、M&Aが成立してから約100日から1年の間に、どんな取り組みが大切で、どんなことに気をつければいいのかについて、解説していきます。
この期間は、買う側と売る側の会社が力を合わせて、M&Aの目標を達成するための土台作りです。
※実際の動画の内容
[出典]動画⑤:中小PMIガイドライン講座 基礎編(詳細編)(metichannel/経済産業省)
※以下、『中小PMIガイドライン~中小M&Aを成功に導くために~』も参考にしながら、動画を解説していきます。
概要
本動画は、M&A成立後100日から約1年間のPMI基礎編について、実務担当者向けに詳細な解説です。
この時期は、買収側と譲渡側が一体となりM&Aの目的実現のための基礎固めを行う重要な期間です。
主要テーマ
本動画では、PMI基礎編における3つの主要テーマについて解説しています。
・経営統合: M&A後の企業/事業の経営方針を明確化し、社内外の関係者に安心感を与え、信頼関係構築の基盤とする。
・信頼関係の構築: 譲渡側の経営者、従業員、取引先、地域との良好な関係を築き、円滑な事業運営とM&Aへの協力を得る。
・業務統合: 事業の円滑な引継ぎを行い、安定的な事業運営と改善点への対応を実施する。
1. 経営統合
・ゴール
M&Aを通して達成したいことを経営の方向性として言語化し、説明できる状態にする。
経営の方向性を伝えることで、社内外の関係者に対して安心感を与え、信頼関係を構築する。
・具体的な取り組み
・失敗例
◯買収側が提示した経営の方向性が、譲渡側のこれまでを否定するような内容となり、譲渡側の経営者と従業員からの信頼を失ってしまう。
◯経営の方向性を何も示さないことで、逆に不安を与えてしまう。
・ポイント
◯譲渡側のこれまでの努力や感情を損なわないコミュニケーションを心がける。
◯適度な配慮を持って対応することが重要。
2. 信頼関係の構築
・対象
◯譲渡側の経営者、従業員、取引先、地域
・ゴール
◯M&Aによって生じる譲渡側従業員の不安や不信感を払拭する。
◯M&Aについて譲渡側従業員の納得感や共感を得て、協力を得る。
◯事業継続に重要な取引について、取引先の信頼を得て取引を継続する。
◯継続する取引について、取引条件等を正確に把握する。
・具体的な取り組み
①譲渡側経営者
②譲渡側従業員
③取引先
④取引先以外の外部関係者
・失敗例
・譲渡側経営者との関係が悪化し、十分な協力が得られない。
・従業員とのコミュニケーション不足により、不信感が増幅し、退職者が増加する。
・取引先への適切なコミュニケーション不足により、取引の縮小や停止が発生する。
・ポイント
・これまで経営されてきた譲渡側経営者に敬意を払い、信頼関係を深める。
・従業員の不安や不信感を払拭するために、丁寧かつ迅速なコミュニケーションを心がける。
・取引先との関係を継続し、円滑な事業運営を確保するために、早期の訪問と情報共有が重要。
・地域における事業運営を円滑に進めるために、外部関係者との良好な関係構築を重視する。
3. 業務統合
・ゴール
・引き継いだ事業を安定的に運営する。
・改善すべき点を改善する。
・具体的な取り組み
・ポイント
・限られた期間で実施されたデューデリジェンスでは、全ての情報が把握できないことを認識する。
・譲渡側経営者や担当者から、属人的な内容や資料化されていない情報などを丁寧に聞き取る。
・リスクの高いものから優先的に対応し、事業の安定運営を図る。
まとめ(中小PMIガイドライン⑤)
本動画では、PMI基礎編として、M&A成立後100日から約1年間の重要な取り組みについて解説しています。
M&A後の統合プロセスを成功させるために、経営統合、信頼関係の構築、業務統合という3つの重要な取り組みについて解説しています。
これらの取り組みを着実に行うことで、M&Aの目的を実現し、統合効果を高めることができます。
【PR】関連書籍
本書は、中堅・中小企業向けのPMIに焦点を当てた実践的な指南書。
著者の豊富な経験に基づき、日本の企業文化に適したPMIの方法論を展開している。
特筆すべきは、PMIを単なる統合作業ではなく、買収後の成長プロセスとして捉える視点。
人的要素の重要性を強調し、企業文化の違いを問題視せず、むしろ活かす方法を提案している。
M&Aを検討する中堅・中小企業の経営者や実務担当者にとって、貴重な指針となる一冊といえるだろう。