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Day1_第1部_有効な人材戦略策定のための「オンラインセミナー」

この動画は、経済産業省東北経済産業局が主催するオンラインセミナー「有効な人材戦略策定のためのオンラインセミナー」のDay1の第1部です。

本動画の内容をかいつまんでお伝えしたいと思います。




セミナーの目的


○中小企業の人材不足に対応するため、経営戦略と連動した人材戦略の策定と実行を支援すること。
○中小企業庁が作成した「人材活用ガイドライン」の内容を解説し、企業が実践できるよう促すこと。

※人材活用ガイドラインに関連するサイトは以下のとおり↓
「中小企業・小規模事業者人材活用ガイドライン」及び事例集を公表します


人材不足の現状と課題


○少子高齢化や生産年齢人口の減少により、人手不足が深刻化している。
○特に東北地方では、少子高齢化と生産年齢人口の流出が深刻。
○中小企業の経営者は、人材の確保と育成を重要な経営課題として認識している。
○人材育成の体制や費用、早期離職の多さなど、人材の定着と活躍にも課題がある。
○日本の従業員エンゲージメントは世界的にみて低い水準にある。

少子高齢化が進む中、企業が直面する最も重要な経営課題は人材の確保と育成です。

動画によると、中小企業経営者にとって、人材の確保と育成は最重要経営課題として認識されています。

具体的には、少子高齢化生産年齢人口の減少により人手不足が深刻化しており、企業は事業の継続や成長のために必要な人材を確保することが困難になっています。

特に東北地方では、これらの問題に加えて生産年齢人口の流出も深刻化しており、人材不足がより深刻な状況となっています。

また、せっかく採用した人材も、育成体制の不足職場環境の問題などから早期に離職してしまうケースが多く、企業は人材の定着にも苦戦しています。


経営戦略との連動


企業は人材戦略を策定する際に、経営戦略と連動させることが重要となります。
そのために、まず経営課題と人材課題を明確にする必要があります。

経営課題の例
中小企業の経営者が重要と考える経営課題の上位には、人材不足、賃上げ、人材育成などが挙げられます。

動画内の講演によると、以下のような経営課題が挙げられています。
・売上減少
・技術力不足
・生産性向上
・新サービス開発
・新規事業創出
・イノベーションの推進
・従業員エンゲージメントの向上
・早期離職者の増加

これらの経営課題は、人材の課題と密接に関係しています。

人材課題の例
上記の経営課題を踏まえ、企業は以下のような人材課題を考慮する必要があります。

人材不足: どの部門でどのような人材が不足しているのか?
◯東北地方では、少子高齢化や生産年齢人口の流出が深刻化しており、人材不足が深刻化しています。
◯中小企業庁が公表した「人材活用ガイドライン」によると、中小企業の経営者の多くが人材不足を重要な経営課題として捉えています。

人材の質: 必要とされるスキルや経験を持つ人材が不足している。
◯中小企業では、人材育成の体制や費用が不足しているため、指導できる人材が不足したり、育成に時間がかかったり、コストが高くなるなどの課題があります。

人材の定着: 採用した人材が定着せず、早期に離職してしまう。
◯人材育成に取り組む企業は、人材定着率が高い傾向があります。

従業員エンゲージメント: 従業員の仕事に対する熱意や意欲が低い。
◯日本企業の従業員エンゲージメントは世界的に見ても低く、特に中小企業では従業員満足度を確認するための取り組みが不足しています。

経営課題と人材課題の関係性

例えば、「売上減少」という経営課題の裏には、「営業力不足」という人材課題が潜んでいる可能性があります。

「技術力不足」という経営課題は、「技術者の不足」や「技術者のスキル不足」という人材課題に繋がっていると考えられます。

このように、経営課題人材課題は密接に関係しており、人材戦略を策定する際には、両方を考慮することが重要となります。

経営課題と人材課題を見つめ直す方法

現状分析:
各種データやアンケートなどを活用し、自社の経営状況や人材の状況を客観的に分析します。
◯売上、利益率、従業員数、離職率、従業員満足度などのデータ分析
◯従業員へのアンケート調査、ヒアリング
将来予測:
今後、事業環境や顧客ニーズがどのように変化していくのか、そして、それに伴い、自社の事業はどのように変化していくのかを予測します。
ギャップ分析:
現状分析と将来予測を比較し、現状と将来の間にどのようなギャップがあるのかを分析します。
課題の特定:
ギャップ分析の結果を踏まえ、経営課題と人材課題を具体的に特定します。

人材戦略策定のポイント

経営戦略との整合性:
人材戦略は、経営戦略と整合性が取れている必要があります。経営戦略で目指す方向性を実現するために、どのような人材が必要なのかを明確にする必要があります。
中長期的な視点:
人材育成には時間がかかるため、短期的な視点ではなく、中長期的な視点で人材戦略を策定する必要があります。
全社的な取り組み:
人材戦略は、人事部門だけで取り組むのではなく、経営層を含め、全社員が共有し、参画する必要があります。
外部リソースの活用:
中小企業は大企業に比べて、人事部門の体制が整っていない場合が多いです。外部の専門家やコンサルタントの力を借りることも有効な手段です。

人材戦略を策定する際には、まず経営課題と人材課題を明確にすることが重要です。
そして、経営戦略と整合性の取れた、中長期的な視点に立った人材戦略を策定し、全社を挙げて取り組むことで、企業の持続的な成長を実現することができます。


求められる人材戦略


○「人材を選ぶ企業」から「人材から選ばれる企業」への転換が必要。
○経営戦略と人材戦略の一体的な推進が重要。
○自社の経営理念、ビジョン、ミッションを再認識し、社内に浸透させる。
○経営課題と人材課題を見つめ直し、自社にとって優先度の高い人材戦略を策定し、実行する。
○人材の採用、育成、環境整備を統合的・連動的に進める。
○従業員エンゲージメント向上に取り組む。
○中長期的な視点で人材戦略に取り組む。
○採用活動だけでなく、人材育成や働き方改革にも力を入れる。
○経営者自身が、自社の魅力や理念を語れるようになることが重要。

このような状況を打破し、持続的な成長を実現するためには、以下のポイントを踏まえた人材戦略が求められます。

1.「人材を選ぶ企業」から「人材から選ばれる企業」への転換:
従来の、企業が一方的に人材を選ぶという考え方から、人材からも選ばれる魅力的な企業へと転換していく必要があります。

2.経営戦略と人材戦略の一体的な推進:
人材戦略を単なる採用活動と捉えるのではなく、経営戦略と連動させて包括的に取り組むことが重要です。

3.自社の経営理念、ビジョン、ミッションの再認識と社内への浸透:
企業の存在意義や目指す方向性を明確化し、社員一人ひとりが共感し、モチベーション高く働ける環境を作る必要があります。

4.経営課題と人材課題を見つめ直し、優先度の高い人材戦略を策定し、実行する:
人材不足という漠然とした課題感ではなく、具体的な経営課題と人材課題を分析し、それに基づいた戦略を立案し、実行していく必要があります。

5.人材の採用、育成、環境整備を統合的・連動的に進める:
採用活動、人材育成、働き方改革など、個別の施策にとどまらず、全体を統合的に捉え、相乗効果を生み出すような取り組みが必要です。

6.従業員エンゲージメント向上への取り組み:
社員が仕事にやりがいを感じ、成長を実感できる環境を作ることで、生産性や創造性を高め、定着率向上や離職率低下につなげることが重要です。

7.中長期的な視点に立った人材戦略:
目先の課題解決だけでなく、将来を見据えた人材の確保と育成、働き方改革などを計画的に進めることが重要です。

8.採用活動だけでなく、人材育成や働き方改革にも注力:
採用活動に偏ることなく、採用した人材が活躍できる環境作り、育成体制の整備、働き方改革などを積極的に進める必要があります。

9.経営者自身が、自社の魅力や理念を語れるようになる:
社員や求職者に対して、自社の魅力や理念をしっかりと伝え、共感を得られるように、経営者自身が率先して発信していくことが重要です。

これらのポイントを踏まえ、人材を「コスト」ではなく「資産」と捉え、人材への投資を積極的に行うことが、少子高齢化時代において企業が持続的な成長を遂げるための鍵となります。


人材戦略の成功事例


○株式会社北三陸ファクトリー: 経営理念の情報発信により、理念に共感する人材の採用に成功。
○山本製作所: 外部研修の積極活用と経営計画策定の連動により、人材育成を強化。

本動画内の講演より、人材戦略の成功事例を2つ紹介します。

1. 株式会社北三陸ファクトリー:経営理念の情報発信による理念共感型人材の採用

岩手県にある従業員30名規模の農林水産加工物製造販売会社である株式会社北三陸ファクトリーは、創業の動機となった地域への思いや事業ビジョンを、社長自ら積極的に発信することで、理念に共感する人材の採用に成功しました。

取り組み内容】
◯社長が講演や取材を通して、地域への思いや事業ビジョンを発信
◯東北の復興リーダーから学ぶフィールドワークやプレゼンテーションの場に積極的に参加

取り組みの効果】
◯経営者の右腕となる人材や兼業・副業のプロ人材を採用
◯若者との積極的な地域活動やインターンシップの受け入れを通して、理念に共感する人材の確保
◯人材育成を担う一般社団法人moova(モーバ)を設立し、中高生向けの探求学習コーディネートやフィールドワークを実施
◯moova(モーバ)の活動を通して、接点を持った若者を新卒採用

成功のポイント】
◯社長自らが積極的に情報発信を行うことで、理念に共感する人材を集めることに成功
◯商品の価値を認識してもらうための情報発信が、共感する仲間を集めることに繋がった

2. 山本製作所:外部研修の積極活用と経営計画策定への参加

山形県にある従業員300名規模の穀物用乾燥機や生ごみ処理機、プラスチックリサイクル機の製造販売会社である山本製作所は、外部研修の積極活用と経営計画策定への参加を通して、人材育成に力を入れています。

取り組み内容】
◯中小企業大学校にオーダーメイド研修を依頼し、幹部候補人材を経営コースに派遣
◯従業員一律の教育研修システムではなく、部署内でのOJTを実施
◯上司と相談しながら、従業員が自ら学ぶ内容を提案し、職種やスキルに合わせてカスタマイズ

取り組みの効果】
◯従業員のスキルアップ、モチベーション向上
◯経営計画への参加を通して、従業員の経営参画意識向上

成功のポイント】
◯従業員が自ら学びたい内容を提案できる制度にすることで、学習意欲を高めている
◯中小企業大学校など外部機関の研修を積極的に活用することで、質の高い教育を提供
◯1on1を充実させることで、従業員一人ひとりのキャリアプランや成長をサポート

これらの事例から、人材戦略の成功には、経営理念を明確化し、それを従業員と共有すること、従業員のエンゲージメントを高めるような制度設計や取り組みを行うこと、そして、外部リソースを積極的に活用することなどが重要であると言えるでしょう。

加えて、成功事例を参考にする際には、その企業の経営目標や事業内容、従業員規模などを考慮し、自社にとって最適な人材戦略を策定することが重要です。


視聴者へのメッセージ


人材戦略の重要性
人材不足が深刻化する中、企業が持続的に成長するためには、労働生産性を向上させる人材の獲得が不可欠です。
人材を戦略的に確保・育成していくことがますます重要になってきています。
人材戦略は経営戦略と一体的に考え、策定・実行していくことが重要です。
「人材活用ガイドライン」は、中小企業の人材活用力の向上に向けて、標準的な手順を踏みながら経営課題の背景にある本質的な課題を見い出し、人材戦略を検討していくための手助けとなります。
人材戦略は、採用戦略だけでなく、育成、魅力的な職場作りなど、多岐にわたる取り組みが必要です。

行動の呼びかけ
人材の課題を抱きつつも、最初の第一歩をどう踏み出したらいいか悩む企業の皆様も多いのではないでしょうか。
自社が抱える経営課題の解決に役立つ人材の確保や、その能力を向上させることが必要です。
経営戦略と人材戦略を一体的に検討し、策定し、実行していくことが必要になります。
人材活用ガイドラインの考え方を知っていただき、実践していただきたいです。
伴奏型支援やマッチング支援など、無料の支援制度も活用してください。

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