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Day2_第3部_有効な人材戦略策定のための「オンラインセミナー」

この YouTube 動画は、東北経済産業局が主催する「人材活用ガイドライン」に基づいた人材戦略策定のためのオンラインセミナーの第2部です。

セミナーでは、株式会社パソナ東北創生の林氏とMOMIJI株式会社の藤原氏が、地域企業における副業人材の有効活用について解説しています。

林氏は、副業の現状とメリットを説明し、具体的な事例を交えながら副業人材の採用・育成方法について解説する一方、藤原氏は、自社のジビエビジネスにおける副業人材の活用事例を紹介し、副業人材との連携方法や内製化の成功事例、失敗事例を説明されています。




副業の現状とメリット


現在、副業は大きな盛り上がりを見せており、特に地方での副業に関心を持つ人が増えています。
その背景には、働き方改革や100年時代といった社会の変化、そして企業側の副業解禁の動きがあります。

副業が注目される背景

  • 働き方改革: 大企業を中心に労働時間規制が進み、従業員は自由になる時間が増加しました。この時間を有効活用したいという思いから、副業への関心が高まっています。

  • 地方創生: 地方への関心が高まる一方で、移住にはハードルがあるため、副業という形で地方に関わりたいと考える人が増えています。

  • 100年時代: 長寿化に伴い、定年まで一社で働く従来のキャリアモデルへの不安が高まり、副業を通じて新たなスキルや経験を積みたいという人が増えています。

  • 企業側の副業解禁: 2018年頃から、企業が副業を解禁する動きが加速しています。特にIT業界を中心に、副業をプラスに捉える企業が増えています。

  • コロナ禍におけるテレワーク普及: テレワークの普及により、場所に捉われない働き方が可能となり、副業に取り組みやすくなりました。

副業のメリット

企業にとって、副業人材の活用は、以下のようなメリットがあります。

  • コストメリット: スキルを持った人材を比較的低コストで活用できます。

  • 高度専門人材の採用: 専門性の高いスキルや知識を持った人材を、副業という形で採用できます。これは、地域企業にとって特に大きなメリットと言えるでしょう。

  • 依頼内容の柔軟な調整: 業務量や期間を柔軟に調整できます。

  • 社内人材の育成: 副業人材と働くことで、社内の人材が刺激を受け、スキルアップにつながります。

副業人材活用を成功させるためのポイント

  • 明確なニーズ: どのようなスキルや経験を持った人材が必要なのかを明確にすることが重要です。

  • 適切なマッチング: 単にスキルだけでなく、企業理念への共感、コミュニケーション能力、地域への関心なども考慮した上で、適切な人材を選定することが重要です。

  • 密なコミュニケーション: 副業人材とのコミュニケーション不足は、誤解やトラブルにつながりかねません。定期的なミーティングや報告会などを実施し、密な情報共有を心がける必要があります。

  • 社内体制の整備: 副業人材を受け入れるための社内体制を整え、スムーズな業務遂行を支援することが重要です。

  • 内製化を前提とした人材育成: 副業人材からノウハウを吸収し、将来的に社内で業務を遂行できる体制を構築することを目指すことが重要です。

副業人材の活用は、地域企業にとって、人材不足を解消し、新たな成長を遂げるための有効な手段となります。副業人材の特性を理解し、適切な戦略と体制を構築することで、地域社会の発展にも貢献できる可能性を秘めています。


副業人材の採用・育成方法


副業人材の採用・育成方法について、具体的な事例を交えながら説明します。

1.採用方法

◯地域に不足しているリソース・専門性の明確化:
まず、自社に必要なスキルや経験を明確化することが重要です。
例えば、ECサイトの構築、SEO対策、商品開発など、地域に不足している専門性を持つ人材を探すことから始めます。

◯適切なマッチング:
副業人材の募集サービスやマッチングサービスなどを活用し、自社の理念に共感し必要なスキルを持った人材を探します。
MOMIJI株式会社では、ECサイト構築のためにカナダ在住のWeb構築専門家、SEO対策にはITベンチャー企業でキュレーター経験を持つ人材、革製品製作には都市部の職人など、様々な副業人材と契約しています。

◯相性確認:
スキルだけでなく、コミュニケーション能力や企業理念への共感も重視し、面談などを通じて相性を確認します。
藤原氏は、副業人材とのコミュニケーション能力の高さ、そして自社の経営理念への共感が重要だと述べています。

※副業人材の採用方法は、大きく分けて直接募集副業人材向けサービスの利用の2つがあります。
1.直接募集
人脈を活かす: 経営者や従業員の人脈を通じて、副業人材を探します。信頼できる人からの紹介であれば、スキルや人柄もある程度見極めやすいため、ミスマッチを防ぐことができます。
自社サイトやSNSで募集: 自社のウェブサイトやFacebook、TwitterなどのSNSで、副業人材の募集情報を発信します。自社の魅力や求める人物像を具体的に伝えることで、共感してくれる人材を集めやすくなります。
イベントやセミナーで告知: 業界関連のイベントやセミナーに参加し、副業人材を探します。直接会って話をすることで、より深いコミュニケーションを取ることができ、相互理解を深めることができます。

2.副業人材向けサービスの利用
副業マッチングサービス: 多くの副業マッチングサービスが存在し、スキルや経験、希望する働き方などを入力することで、条件に合う副業案件を探すことができます。 一方で、サービスによって手数料や掲載費用などが異なるため、事前に確認しておく必要があります。
地方自治体の副業支援制度: 地方自治体の中には、副業人材の受け入れを支援する制度を設けているところがあります。助成金やマッチングイベントなどの支援を受けることで、採用コストを抑えたり、地域に貢献意欲のある人材と出会う機会を増やすことができます。

3.採用方法を選ぶ上でのポイント
求める人材像: どのようなスキルや経験、人柄を持った人材を求めているのかを明確にする。
募集にかけるコスト: 時間や費用など、採用活動にかけることができるコストを考慮する。
募集の緊急度: すぐに人材が必要なのか、時間をかけて探すことができるのかを考慮する。

上記を踏まえ、自社の状況に合わせて最適な方法を選ぶことが重要です。

2.育成方法

◯密なコミュニケーション:
定期的なミーティングや報告会などを実施し、副業人材と密な情報共有を図ります。
MOMIJI株式会社では、副業人材を「内部リソース」と捉え、密なコミュニケーションを図ることで円滑な業務遂行を実現しています

◯内製化を前提としたOJT:
副業人材からノウハウを吸収し、将来的に社内で業務を遂行できる体制を構築します。
MOMIJI株式会社では、副業人材との契約時に、内製化を前提としたOJTを実施する合意をしています。

◯社内体制の整備:
副業人材を受け入れるための社内体制を整え、スムーズな業務遂行を支援します。
副業人材からノウハウを学ぶ担当者を決め、積極的に質問できる環境を作るなど、円滑なコミュニケーションを促進する体制が重要です。

◯継続的な関係構築:
契約終了後も、良好な関係を維持することで、再契約や新たな人材の紹介など、将来的なメリットに繋がります。
MOMIJI株式会社では、取締役を退任した副業人材とも、革製品作家としての良好なパートナーシップを継続しています。

3.留意点

◯明確な役割分担と目標設定:
副業人材に期待する役割や責任範囲、達成目標を明確に伝え、相互理解を深めることが重要です。

◯適切な契約形態の選択:
業務内容、責任範囲、期間、報酬などを考慮し、業務委託契約、短期的な契約社員、取締役など、状況に応じて適切な契約形態を選択する必要があります。

◯費用対効果の検証:
副業人材を活用することで期待できる効果と、それに伴う費用を比較検討し、自社にとって適切かどうかを判断することが重要です。


副業人材との連携方法、内製化の成功事例と失敗事例


副業人材との連携方法、内製化の成功事例と失敗事例について、説明します。

内製化の成功事例

MOMIJI株式会社は、SEO対策業務において、副業人材との連携により内製化に成功しました。

  • ITベンチャー企業でキュレーター業務の経験を持つ副業人材にSEO対策を依頼。

  • 副業人材は自社の理念に共感し、密なコミュニケーションを取りながら業務を遂行。

  • 2年目からは取締役として参画し、3年後には社内にノウハウが蓄積され、内製化に成功。

  • 副業人材は取締役を退任後も、革製品作家として良好な関係を継続。

この事例から、副業人材と密なコミュニケーションを取り、理念への共感を深めながら、内製化を前提としたOJTを実施することで、成功に繋がる可能性が高いことがわかります。

内製化の失敗事例

MOMIJI株式会社は、ECサイト構築において、副業人材からのノウハウの吸収がうまくいかず、内製化に苦労しました。

  • カナダ在住のWeb構築専門家にECサイト構築を依頼。

  • 専門性の高い副業人材は、専門用語を多用し、担当者への説明が不足。

  • 時差やコミュニケーション不足により、担当者は指示に従うだけで、ノウハウを吸収できなかった。

  • 結果として、ECサイトは構築できたものの、担当者へのノウハウの移転は行われず、その後の運用が困難に。

この事例から、副業人材の専門性が高すぎる場合、担当者との間で知識や経験のギャップが生じ、ノウハウの吸収が困難になる可能性があることがわかります。

失敗事例を踏まえた対策

  • 専門用語を分かりやすく説明するなど、担当者への丁寧な指導が必要。

  • 担当者も積極的に質問し、理解を深める努力が重要。

  • 時差を考慮したコミュニケーション体制の構築、オンライン会議ツールの活用などが有効。

  • 内製化をスムーズに進めるために、副業人材の選定段階から、コミュニケーション能力や指導力も重視する必要がある。


副業人材との契約形態


副業人材との契約形態は、業務内容や責任範囲、期間、報酬などを考慮し、ケースバイケースで決定されます。 本動画で出ている具体的な契約形態として、以下の3つが挙げられます。

◯業務委託契約:
特定の業務を委託する場合に用いられる契約形態です。
ECサイト構築やSEO対策など、専門性の高い業務を外部に委託する際に適しています。

◯短期的な契約社員:
一定期間、会社と雇用契約を結ぶ形態です。
比較的長期的なプロジェクトや、社内でのOJTを伴う場合に適しています。

◯取締役:
会社の経営に参画する役員としての契約形態です。
事業全体への貢献が期待される場合や、高度な専門知識や経験を活かしたい副業人材に適しています。

重要なのは、雇用形態に関わらず、副業人材を「外部」と捉えるのではなく、「内部リソース」として積極的に連携していくことです。 そのためには、事前の合意形成、明確な役割分担、密なコミュニケーション体制の構築などが重要となります。

契約形態別の特徴

それぞれの契約形態には、以下のような特徴があります。
◯業務委託契約:
→労働時間や勤務場所などの制約が少なく、自由度が高い。
→成果物に対する責任を負う。
→社会保険や福利厚生などの適用がない場合が多い。

◯短期的な契約社員:
→会社の指揮命令に従って業務を行う。
→労働時間や勤務場所などが定められる。
→社会保険や福利厚生などが適用される場合が多い。

◯取締役:
→会社の経営に責任を負う。
→経営戦略や意思決定に関与する。
→報酬は、役員報酬として支給される。


まとめ:地域における副業人材を活用したビジネスモデルの成功要因


地域における副業人材を活用したビジネスモデルを成功させる要因は、以下の点が挙げられます。

◯地域企業側のニーズと課題を明確化すること
具体的にどのような専門性を持つ人材が不足しているのか、どのような課題を解決するために副業人材を必要としているのかを明確にする必要があります。

◯副業人材との適切なマッチング
単に専門スキルだけでなく、企業理念への共感、コミュニケーション能力、地域への関心など、相性も考慮することが重要です。
→副業人材と良好な関係を築き、長期的なパートナーシップを構築できる関係性を重視することが大切です。

◯明確な役割分担と目標設定
副業人材に求める役割、責任範囲、目標を明確に伝え、相互理解を深めることが重要です。

◯円滑なコミュニケーション体制の構築
コミュニケーション不足は、誤解やトラブルを生み出す可能性があります。
→定期的なミーティングや報告会などを実施し、密な情報共有を心がける必要があります。
→時差がある場合や専門用語が多い場合は、特に注意が必要です。

◯社内体制の整備
→副業人材を受け入れるための社内体制を整え、スムーズな業務遂行を支援することが重要です。
→特に、副業人材からノウハウを学ぶ担当者を決め、内製化を前提としたOJTを実施することで、中長期的な人材育成にも繋げることが可能です。

◯適切な契約形態の選択
→業務委託契約、短期的な契約社員、取締役など、状況に応じて適切な契約形態を選択する必要があります。
→契約形態に関わらず、副業人材を内部リソースとして捉え、責任と権限を明確にすることが重要です。

◯費用対効果の検証
→副業人材を活用することで、どのような効果が期待できるのか、費用対効果を事前に検証しておくことが重要です。
→特に、ECサイト運営など、外部委託よりもコストを抑えられる分野では、副業人材の活用が有効な手段となりえます。

副業人材の活用は、地域企業にとって、専門性の高い人材を獲得し、課題解決を図る有効な手段となりえます。
成功要因を踏まえ、適切な体制を構築することで、地域におけるビジネスモデルの成功に繋げることが期待されます。



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