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「パワポ動画で分かる フリーランス・事業者間取引適正化等法」の概要

この動画は、公正取引委員会チャンネルが作成した、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」、通称「フリーランス・事業者間取引適正化等法」または「フリーランス新法」の内容を解説するものです。

動画はパワーポイントのスライドを用いた解説形式で、法律の背景・目的、対象となる当事者と取引、規制内容、違反した場合の対応、フリーランス・トラブル100番窓口について説明しています。




法律制定の背景と目的


◯近年、働き方の多様化が進み、フリーランスという働き方が社会に普及している一方で、フリーランスが取引先との関係で報酬の不払い、ハラスメントなどの様々な問題やトラブルを経験していることが明らかになってきています。

◯問題が生じている要因としては、個人で業務委託を受けているフリーランスと組織として事業を行っている発注事業者の間には、交渉力や情報収集力の格差が生じやすいことが挙げられます。

◯このため、個人であるフリーランスと組織である発注事業者の間の交渉力などの格差、それに伴うフリーランスの取引上の弱い立場に着目し、業種横断的に共通する最低限のルールを設けるためにこの法律は作られました。


法律の対象者と取引


◯この法律は、事業者間取引、つまりBtoBにおける業務委託が対象となります。

◯特定受託事業者であるフリーランスの取引について、取引の相手方が事業者なのか消費者なのか、取引の内容が業務委託なのかという点を踏まえて、この法律の対象となるのかが決まります。

特定受託事業者:
業務委託の相手方である事業者であって従業員を使用しないもの。個人でも法人でも、一人で仕事を受けて業務を行っているような方を指します。

特定業務委託事業者:
特定受託事業者に業務委託をする事業者であって従業員を使用するもの。組織として事業を行っていることを示す定義となっています。

従業員を使用の考え方
・この法律は従業員を使用せず一人の個人として業務委託を受けているフリーランス従業員を使用して組織として事業を行っている発注事業者との間における業務委託にかかる取引に適用されます。
雇用保険の対象者の範囲を参考に、週所定労働時間が20時間以上かつ継続して31日以上の雇用が見込まれる労働者を雇用している場合には、この法律における従業員を使用に該当します。

※フリーランスの定義における「従業員を使用しない」の意味

フリーランス保護法では、「従業員を使用しない」フリーランスを保護の対象としています。これは、組織としての事業者ではなく、個人として業務を受託しているフリーランスを保護するためです。
従業員を使用しているかどうかは、組織として事業を行っているかどうかの判断基準となります。
「従業員を使用する」ということは、継続的な雇用関係があることを前提としており、一時的な雇用は該当しません。
具体的には、雇用保険の加入対象者を参考に判断されます。
週の所定労働時間が20時間以上かつ31日以上の継続的な雇用が見込まれる労働者を雇用している場合は、「従業員を使用する」とみなされます。
つまり、短時間・短期間のアルバイトなどを雇用している場合は、従業員を使用しているとみなされず、フリーランス保護法の対象となる可能性があります。

しかし、従業員を少しでも使用していれば、フリーランス保護法の対象外となるわけではありません
従業員の有無は、あくまでフリーランス保護法の適用を判断する要素の一つであり、取引の内容や期間、発注事業者の規模などを総合的に考慮して判断されます。

重要なのは、「従業員を使用しない」という定義は、フリーランスと組織的な事業者との間の力関係の差を考慮した上で、保護が必要なフリーランスを特定するための基準であるということです。


法律の規制内容


大きく分けて取引の適正化と就業環境の整備の二つから構成されています。

◯取引の適正化
・取引条件の明示義務(第3条)
・書面における報酬支払い義務(第4条)
・発注事業者の禁止行為(第5条)

◯就業環境の整備:
・募集情報の的確表示義務(第12条)
・育児介護等と業務の両立に対する配慮義務(第13条)
・ハラスメント対策に係る体制整備義務(第14条)
・中途解除等の事前予告理由開示義務(第16条)


違反した場合の対応


違反行為を受けたフリーランスは、関係省庁(公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省)に申し出ることができます。

◯関係省庁は、申し出内容に応じて報告徴収、立入検査といった必要な調査を行い、申し出の内容が事実である場合、本法律の規定に則って発注事業者に対して指導助言、勧告を行います。
勧告に従わない場合には命令、公表を行います。

命令違反には50万円以下の罰金が課せられます。


フリーランス・トラブル100番


フリーランス・トラブル100番ウェブサイト

◯フリーランスと発注事業者等との取引上のトラブルについて、フリーランスが弁護士にワンストップで相談できる窓口として、令和2年11月から設置されています。

◯この窓口では、フリーランス保護法に関するトラブルだけでなく、法律の適用対象外となるトラブルについても相談し、アドバイスを受けることができます。


報酬支払い義務の例外規定:再委託の場合


フリーランス保護法では、発注事業者はフリーランスに対して、原則として業務の完了から60日以内に報酬を支払わなければなりません。
しかし、再委託の場合には、この原則に例外が認められています。

具体的には、発注事業者が元請け事業者から委託された業務をフリーランスに再委託する場合は、以下の条件を満たせば、元請け事業者からの報酬支払い期日から30日以内という短い期間内での支払いが認められます。

  • 再委託であることを明示する。

  • 元請け事業者の名称等を明示する。

  • 元請け事業者からの報酬の支払い期日を明示する。

この例外規定において注意すべき点は、フリーランスへの報酬支払期日は、実際に元請け事業者から発注事業者へ報酬が支払われた日ではなく、あらかじめ定められた元請け事業者からの支払い予定期日を基準として計算されるということです。
つまり、元請け事業者からの支払いが予定より早まったり遅れたりした場合でも、フリーランスへの支払期日は変更されないことになります。

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