大分県の離島「深島」とは?
大分県の離島と聞いて思い浮かべる島はどこでしょうか。「姫島!」という方が多いのではないかと思います。大分の姫島はきつね踊りや車海老、幻の2日ひじきなどが有名ですよね。実は大分県には姫島を含め7つ有人島があります。その中でも一番南にある離島、深島(ふかしま)をご紹介します。
深島とは?(概要・歴史)
深島は大分県最南端、佐伯市にあります。面積は1.1㎢、周囲4kmの小さな島で、ひょうたんのような形をしています。ひょうたんのくびれた部分に人が住んでおり、2024年現在の住民は11人です。九州本土の佐伯市蒲江(さいきしかまえ)から1日3便(と朝のスクール便)の定期船が就航しており、およそ9kmの距離を途中に浮かぶ屋形島を経由して約30分で結んでいます。
残っている文献や情報が少ないものの、深島の始まりは流刑地だったようです。土地もやせ、潮風で作物が育ちにくい島では生活が厳しかったのでしょう。長い間、流刑地として百姓一揆などの首謀者が連れて来られていたようです。その後は廃藩置県ののち、延岡に取られてしまうことを危惧した佐伯藩が、蒲江の人々に深島行きを打診し、それに応え移住した松下さんたちが今深島に住む人たちのルーツです。
深島の自然
全域が国定公園に指定されている深島は豊かな自然に囲まれています。黒潮のあたる海には豊後水道の魚たちと熱帯魚がとも泳ぎ、大きなテーブルサンゴや綺麗なイソギンチャクも見られます。植生も独特で、アオノクマタケランやキキョウラン、ハカマカズラなどが自生しています。国の天然記念物であるカラスバトやムラサキオカヤドカリが生息しており、固有種であるフカシマコベソマイマイというカタツムリもいます。秋にはツワブキの黄色い花にアサギマダラがやってきます。また、渡り鳥たちの中継地ともされ、シーズンになるとキビタキやサンコウチョウ、オオルリなどの声を聞くことができます。
深島の猫
深島には60匹ほどの猫が暮らしています(2024年現在)。かつて農業や漁業で栄えた深島ではお蚕さんや麦、漁で使う網をネズミから守るための大切な仲間として猫が飼われていました。昔はそれぞれ家の中にねこを飼っており可愛がっていたそうですが、それがだんだんと増え、外で暮らす猫たちが増えていったと考えられています。人は島から減る一方でも猫たちは増え、一番多い時で200匹以上いたのではないかと思います。
現在、島の猫は全頭TNR(外で暮らす猫を捕まえて、不妊手術をし、元の場所に返す活動)されており、不妊手術はもちろん、1年に1回の予防接種やノミダニの駆除薬の投与もされています。
これまではただ島にいる猫として暮らしてしましたが、現在は島の猫(地域猫)としてキャットフードをもらい島の人たちにもお客さんにも可愛がってもらいながら島の人と一緒に暮らしています。なお、ねこたちの健康を維持するために来島者の餌やりは禁止されています。
深島の特産
深島といえば「深島みそ」。小さな島に代々伝わる独特な麦味噌が有名です。島の中央付近にある小さな工房で、かまどを使った昔ながらの製法で作られる深島みそは、アサリやえびなどの海の幸によく合うお味噌です。
深島みそは全て手作業で作られるため、ほとんどが佐伯市内での販売です。道の駅や大分のデパート「トキハ」で販売されているほか、オンラインショップでも購入することができます。テレビなどで取り上げられることもあり、そんな時はなかなか手に入らなくなってしまうことも。
独特な香りの白い麦みそで、お魚のあら汁や豚汁、海鮮鍋にもよく合います。ぜひご賞味ください。
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見どころ
深島はとても小さな島で、観光地というよりも島民が暮らす島にお邪魔する感覚で訪れてもらうのが良いと思います。灯台や小学校跡地、大明神などがありますが、それぞれあまり時間をかけずに巡れてしまいます。なお、島内の移動手段は徒歩だけ。歩きやすい靴と服装でお出かけしましょう。
何も知らないとただ見るだけになってしまいがちですが、深島では音声ガイドが整備されていて、これがとってもおすすめ!「まるっと楽しむ深島旅!」と書かれたチラシが定期船乗り場にあり、QRコードを読み込んで定期船内や深島島内で音声ガイドを楽しむことができます。スマホがあればブラウザ上から聴くことができ、旅のおともにぴったりの機能です。深島の歴史やちょっとしたうんちく、ばあちゃんたちの声も聞くことができます。ねこたちを見つけて楽しめる機能もあり、3つのミッションがあるのでクリアを目指してください。深島でしか体験できない特別な体験で、深島のことがもっと愛おしくなると思います。
島内の音声ガイドは位置情報を使うため、現地でないと利用できませんが、デジタルねこ図鑑はお家でも楽しむことができますよ。
↓こちらからご覧ください
こちらのYouTubeにも音声ガイドの詳しい説明があります。
深島は泊まれる?
住民11人の小さな離島深島ですが、泊まれる施設があります。それも、島をゆっくり堪能できる特別なお部屋です。
窓を開ければ風が通り、季節を感じることができます。木がふんだんに使われたお部屋はとても気持ちが良く、はだしで過ごすのもおすすめ。自然の中で心地よく過ごすことができます。
宿「innえびすねこ」
でぃーぷまりんの運営する深島唯一の宿innえびすねこは、自然にも人にも優しいを心がけた1日に1組だけ泊まることのできる特別なお部屋です。深島の中心部に位置し、海に面しているためお部屋からは海が一望できます。海から朝日が上がってくるのが見えるので、コーヒーを片手にウッドデッキでのんびり過ごす朝がおすすめ。大人7名まで泊まることができますが、1名様でのご利用も可能です。全てのプランが1泊2食付きです。
チェックインは15:00〜ですが、前日に宿泊がなくお部屋の準備が終わっていれば、早めに入れることも。チェックアウトは〜10:00です。チェックアウトもその日の宿泊予定がなければ、お昼ごろまでゆっくり過ごしていただけることもありますので、現地に到着してから何時まで大丈夫ですか?と聞いてみてください。
お部屋
お部屋はinnえびすねこの1部屋のみ。大きな窓からは海が一望できます。遠くに四国が見えることも。大きな窓のそばにはテーブルがあり、こちらで食事をとることもできます。1階にはセミダブルベッドがふたつと、ソファーがあり、ソファーをベッドとして利用することも可能です。
広々としたロフトにはお布団を4組敷くことができ、小さなお子様連れの方も安心です。ロフトの窓から眺める景色はまるで絵画のよう。
寝具に使われているシーツやカバーなどのリネンは全てダブルガーゼで柔らかく温かみがあります。パリッとした真っ白のシーツも気持ちがいいけれど、ガーゼのシーツは冬にお布団に入った時のひんやり感がなく、ゆっくりお休みいただけると思います。掛け布団に合わせて、毛布があるのも嬉しいポイント。夏場はしっかりとしたガーゼケットでお休みください。
ちなみにパジャマもガーゼ素材でとっても柔らかく、1年中気持ちよく着ることができます。
お風呂とトイレはもちろん別々で、どちらも窓があり窓からの自然光がとっても優しく灯りをつけなくても大丈夫なことも。
家族みんなでゆったりご利用いただけますよ。
Youtubeに内覧ツアー動画がありますのでぜひこちらもご覧くださいね!
ご飯・カフェ
深島の宿innえびすねこにご宿泊の方限定のディナーメニューです。
深島の幸をふんだんに使った、優しいお料理の数々です。監修は湯布院のフレンチ「ラ・ヴェルヴェンヌ」の渡辺シェフ。JR九州の観光列車「ななつ星」でもお料理を提供している大分県を代表するシェフです。
深島のお魚の美味しさを活かした調理法で季節によって様々なお魚を楽しむことができます。
一緒に来た人との会話を楽しんでほしいという思いと、食べたい量を食べられるように、お刺身やメインのお料理は大皿での取り分け方式です。おいしいね、をたくさん共有してください。
お客さまの食べる量に応じておだしするため、ソテーか揚げ物のはずなのに両方出てきたり、ごはんのおかわりができたりもします。日によってはお刺身のおかわりができることも。ぜひお腹を空かせて夕飯をお待ちください。
ごはんは、基本的に10月ごろ〜4月ごろまでがリゾット、5月ごろ〜9月ごろまでがお茶漬けですが、ご希望があれば変更できます。
ちなみに連泊した際、同じものが出てくることはほぼないため、お気に入りがあれば「また明日も食べたいです!!」とお伝えしてくださいね。
cafe
innえびすねこに併設されているcafeむぎは、ランチやカフェ利用ができます。
ランチメニューは深島みそをつかったパスタや大分和牛カレー、その日のお魚が色々のったワンプレートランチ、おしゃれなうどんなど。
海を眺めながらゆっくりお食事ができます。また、外にはデッキもあり、夏は泳いだ後にそのままご飯を食べられるのも嬉しいポイントです。
席数はあまり多くないため、大人数のご利用は事前にお問い合わせしておくと安心です。
カフェメニューやドリンクメニューも充実しており、深島で遊んだり散策したあとに、ゆっくり休憩することができます。店内にはお土産コーナーもあり、深島でしか手に入らないお土産も。もちろん、ねこグッズや深島みそもありますよ。
cafeは不定休なので、利用予定の方は事前予約をしておいてください。
深島のプラン・予約方法・アクセス
宿泊プラン
プランは全て1泊2食付きで、プランによって食事の内容が変わることはほとんどありません。こちらではおすすめプランの一部をご紹介しますので、詳細は公式サイトをご覧くださいね。
島の暮らし体験プラン
島の親戚のお家に来たような過ごし方ができる島の暮らし体験プラン。プランの内容は決まっておらず、その日その時できることやしたいことをどんどん追加してください。夕方には、その日の夕飯にいただくお魚や貝をいけすにとりに行きます。道すがら、木の実や野草を詰んだり、海や鳥や虫たちを観察したり。島の子どもたちがいつもしている島の暮らしを体験してください。
朝早く起きて猫たちのごはんを一緒にあげたり、畑の野菜を収穫したり、海に貝をとりに行ったりもできます。やってみたい!と思ったことは予約時や当日に伝えておくとスムーズです。何ができるかな?と思った時も、ぜひ相談してくださいね。
※魚釣り、魚捌き体験、クラフト体験、野草つみなどは料金内ですが、マリンアクティビティと味噌づくり体験は別途料金がかかります。
ファミリープラン
深島のinnえびすねこは家族旅行にとってもおすすめです。
小さなお子様連れの方には子ども用のアメニティやトイレの踏み台、子ども用パジャマ、泡のボディーソープなどのご用意があります。お食事はお子さまの食べる量に応じてお作りします。「大人と一緒のやつがいい!!!」という時期の子たちには大人と同じものを食べられるようにもできます。
深島の暮らしや風景、雰囲気をたくさんの人に体感してほしいのですが、中でも子どもさんや小さなこのお父さんお母さんにぜひ、この暮らしを味わってもらいたいと考えています。子どもが小さなうちは旅行に行くのも大変だし、子どもが大きくなると大人料金になってお金がかかる、、、。その気持ちを少しでも減らし、深島で自然と共に、親以外の大人と共に育っている島の子たちとの交流を楽しんでほしいと願っています。
ほとんどの場合小学生までが子ども料金で中学生からは大人料金だと思いますが、ファミリープランでは18歳まで割引料金です。中学生や高校生といえど、子どもは子ども。(お子さまという意味ではなくて、我が子という意味で)お金を払う側になった時にほんの少しでも嬉しいなと思うかなと、ファミリープランの設定をしました。お料理の内容は小学校高学年くらいから大人と同じです。
子どもの好奇心ややりたい!という気持ちを大切に、深島だからこそ体験できることや子どもの可能性を感じることができると思います。大人はホッと一息ついてリラックスする時間に。ぜひ深島のお宿をご利用ください。
予約方法
予約は公式サイトからオンラインで可能です。
プランと日にち、人数を選ぶと料金が表示され、オプションなどが選択できます。現地決済と事前決済が選べ、事前決済はクレジットカードがご利用可能です。なお、現地決済では現金のほかクレジットカードやQRコード決済、クイックペイなどさまざまな決済が使えて便利です。
ご予約のページはこちらにありますので、プランなどもこちらでご確認ください。
インターネット予約が煩わしいという方はお電話やメールでも予約が可能です。
公式サイトをみて、プランやオプションをあらかじめ決めておき、大体の金額も把握して連絡をするとスムーズです。
メール deepmarine33@gmail.com
電話 080−5289−2280
でぃーぷまりん 安部
楽天やじゃらんなどには掲載されていない隠れ家的な知る人ぞ知るお宿です。
大分県の離島のホームページや個人ブログなどにもさまざまな情報が載っているかと思いますが、情報が古かったりもするので一度公式サイトをご確認ください。
アクセス
深島へは、佐伯市蒲江(かまえ)の港から船に乗ります。船はフェリーではなく定期船で、車は乗せられません。8:00・11:50・16:00に蒲江を出発しおよそ35分で深島へ到着。定期船はその後すぐに蒲江へ向けて深島を出港します。
蒲江までは、大分空港からはレンタカーや公共交通機関を利用し、約2時間で到着可能です。「佐臼ライナー」という高速バスが便利で、空港から直通で佐伯駅まで行けます。宮崎空港からもJRを利用して佐伯駅までアクセスができ、便利です。佐伯駅からはレンタカーかバスがおすすめです。バスの本数がとても少ないので必ず事前に時間を調べてから行きましょう。
飛行機の便を予約する前に、船の時間とバスの時間を調べ、逆算してから飛行機の時間を決めるとスムーズです。
また、関西からはフェリーで別府・大分まで行く船旅ルートもおすすめです。
深島へのアクセス詳細についてはこちらの記事をご覧ください。
まとめ
深島(ふかしま)は大分県最南端の小さな離島です。九州本土の佐伯市蒲江から1日3便の定期船でアクセスでき、美しく豊かな自然に恵まれています。特にサンゴ礁や多様な熱帯魚が魅力で、春秋には渡り鳥も訪れます。島の人たちは昔から自然と共に自然の恵みを享受しながら暮らし、小さいながらもとても暖かく心落ち着く場所です。
深島は自然体験や、猫たちとのふれあいが楽しめます。マリンアクティビティや味噌作り体験、クラフト体験など日帰りでもさまざまな体験を楽しめ、家族旅行やゆっくり一人旅にもおすすめ。島民との交流を通じて、島の文化や生活を体験することも深島での楽しみの一つです。
宿泊施設「innえびすねこ」は、1日1組限定で、新鮮な深島の幸を使った食事を堪能できるのはもちろん、島の暮らしを体験できるプランもあり、家族連れや自然の中に身を置きたい方におすすめ。深島は、静かな環境で心を癒したい人や、自然とのふれあいを楽しみたい方、リフレッシュしたい方に訪れて欲しい場所です。ぜひ、深島を訪れて、その魅力を体感してみてください。自然と共に過ごす特別なひとときをお楽しみいただけることでしょう。
でぃーぷまりん あべあづみ
深島に嫁いで8年。島出身の夫と、3人の子どもたちと毎日小さな島でたのしくわいわい暮らしています。なぜか深島への愛が深島の人より強く、ちょっと突っ走ってしまうところも。尊敬する人は深島のばあちゃんたち。