増殖する岐阜羽島
増殖する岐阜羽島
寄生虫の影響で岐阜羽島駅が消滅し、その後WGO(World Gifuhashima Organization)の人海戦術により復活し、勢い余って2つに増えてから5年。当初の予想を大幅に上回るペースで増え続けた岐阜羽島駅の数は12にも達し、「ひかり」利用者から大いにクレームが寄せられることとなった。
岐阜羽島駅は自我を持ち始め、JRに圧力をかけ、「ひかり」が岐阜羽島を通過できないようにしていた。それでもスピードを少しでも上げたいJRは、ひかりの全列車が静岡県の全駅を通過するダイヤを組んだので、同じく自我を持つ静岡県との間で対立が深まった。かつては一緒に酒を飲みに行く仲だった2人が、いまではノンアルコールビールしか飲みにいかない仲にまで落ち込んでしまった。日本の酒類の消費の半分を占めていた2人が酒を飲まなくなったことで、酒造業も苦境に立たされ、ますます岐阜羽島駅の増殖が社会問題化していった。
シゲさん大活躍
しびれを切らしたはす向かいの酒屋のシゲさんが30万の軍勢を率いて岐阜羽島駅に侵攻すると、第2~第5岐阜羽島駅も応戦したが、最終的にシゲさん軍が辛勝。こうして岐阜羽島を8つまで減らしたシゲさんは独立国家を樹立し、近江国の紫香楽宮(しがらきのみや、現在の滋賀県甲賀市)付近に建国。シゲさんの国家は面積が3LDKと小規模ながら五か年計画により急速に成長し、多くの植民地をもち、近江国一帯が「シゲ」と呼ばれるようになるほどにまで名声を高めたが、シゲさんの死後に跡を継いだティゲが酒屋の経営をサボり、豆腐屋を開業したことで一気に国力が衰退。ヤマト朝廷とJR東海の連合軍に倒され、ティゲは自分で作った豆腐の角に頭をぶつけて自害させられるという悲惨な最期を遂げた。このときのショックで母音が変わり、近江は「シガ」と呼ばれるようになったと、米国の生物学者ボブ博士は主張する。
ボブ博士は嫁に逃げられ、ひとり寂しくペルーへと旅立った。静岡空港発ペルー行の飛行機に乗っていた時、突如ベテルギウスが超新星爆発したとの知らせが入る。聞けば、第7岐阜羽島駅が「敷かれたレールに沿った人生なんて嫌だ」と言い張って家出し、JR東海の根拠地である地球にγ線バーストを当てて滅亡させることを決意。光速を超えて最寄りの巨大な星に突進し、ベテルギウスに衝突。大野伴睦の銅像が超新星爆発をおこし、宇宙のさまざまな天体が大野伴睦の銅像に置き換わりつつある。このままだと地球は例外的に橋本左内の銅像に置き換わってしまい、安政の大獄で惑星ごと処刑されてしまうという。こうして、アンドロメダの井伊直弼と、銀河系のJR東海&東海道新幹線利用者連合軍との直接対決が始まる。互いに竹やりや投石で攻撃するも、戦線は大マゼラン雲付近で膠着状態となってしまった。
銀河リセットボタン
そのとき、たまたま太陽系を通りかかったハンバーガー屋さんの屋台は、何を見ていたか?わらび餅の虐殺にほかならない。安倍川餅が罪のないわらび餅を虐げている現状に絶望したハンバーガー屋さんのおかみさんは、禁断のスイッチに手をかけた。銀河リセットボタン。これを押したならば、銀河系は誕生時の状態に戻る。実質、井伊直弼の勝利を認めることになる。しかし、おかみさんはもう耐えられなかった。無意味な「勝利」「敗北」の為に、多数のおもちが虐げられ、米菓の会社が悲鳴をあげている。その状況を打開し、越後製菓の経営を合理化すべく、ついに銀河系のリセットが遂行された。われわれは「勝った」のだ。
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