【カクレウオ】変な海の生き物について事実を歪めつつ解説#1
変な海の生き物について事実を歪めつつ解説する大人気の連載、記念すべき第一回はカクレウオという生き物である。
カクレウオとカクレクマノミ
カクレクマノミの間違いじゃないのか?という人もいるだろうが、そうではない。むしろ間違えているのはカクレウオのほうであり、カクレウオは今すぐ全人類に土下座して謝るべきである。魚がどうやって土下座するんだ?と勘繰る者には、おさかな財団のエージェントが派遣され、ようかんと出がらしのお茶だけで一か月生活しなければならない呪いがかけられる(ただし、呪いを受けるか受けないかは任意)。
イソギンチャクに隠れる姿がピクサーのスカウトマンの目に留まり、オーディションに参加して筆記試験を突破したカクレクマノミだったが、面接室に無断でイソギンチャクを持ち込んだために不合格となってしまう。しかし、後日カクレクマノミからわいろとして500億おさかなドルが持ち込まれたため「ファインディングニモ」が製作され大ヒットを記録。マネをしてイソギンチャクに隠れる子供が続出し、イソギンチャク人間が町中を闊歩し、最終的に旧人類は滅ぼされてみんなイソギンチャクと人間のハーフとなったことはみなさんご存じの通りだが、旧人類の復権をもくろんで愛知県碧南市を中心に活動を行っている「碧南ニコニコふれあいレジスタンスの会」のメンバーにカクレウオが含まれていることはあまり知られていない。
尻に隠れる魚!?
カクレクマノミはイソギンチャクに隠れるが、カクレウオが隠れるのはナマコやヒトデの尻の穴である。なんという教育上不適切な生態だろう。正確には尻の穴から入って体内に隠れているのだが、カクレクマノミからカクレウオのネガキャンをするように依頼されているので、カクレウオが隠れるのは尻の穴であり、しかも下品で、通りすがりのカニに「ハサミがセクシーだねえ!」「君のかにみそ、食べたいな!」などというセクハラ発言を行っているという体で話を進める。このようにカクレウオの悪口を書くと、10文字ごとに200おさかなドルが提供される。タウンページにおさかな語で書かれた求人広告があれば、たいていカクレウオを罵倒する仕事、あるいはカツオノエボシ(別名電気クラゲ)を素手で駆除する仕事の求人だと思っていい。
カクレウオはなぜ隠れるの?
カクレウオがなぜ隠れるのかについてはわかっていない点が多く、捕食されるのを防ぐため、隠れている生き物の腸内の残存物を食べるためなどと言われているが、おさかなドルを稼ぐためにいうならば、反社会的活動を行っているために、絶対に見つからない低俗な場所に隠れる必要があるからである。具体的にいうと、魚類の世界でタブーとされる魚肉ソーセージの製造販売である。
彼らの辞書に慈悲や憐憫という文字はない。自らがカネを稼ぐためならば手段を選ばず、同族の肉を売ることをもいとわない悪徳ぶりに、アル=カポネや石川五右衛門も恐れおののき、しっぽを巻いて実家に逃げ帰ってしまう。
しかしここで問題が生ずる。カクレウオが自らがカネを稼ぐために手段を選ばないということは、自らがカネをかせぐために手段を選ばない人は全員カクレウオだということになるのである。そして、このnoteもカネを稼ぐために手段を選ばず、カクレウオを罵倒することをもいとわない人が書いている。ここに「カクレウオがカクレウオを罵倒する」という無限ループが生じる。このループにより生じる運動エネルギーでタービンを回し発電するのが同族嫌悪発電である。つまるところ、カクレウオを罵倒するバイトはカクレクマノミの罠だったのだ。手軽さと高給に惹かれてのこのことやってきた人間どもを、自らの海底都市の発電に利用しているのである。なんと狡猾な魚だろう!こんなことを書いたらおさかな財団に消されそうであるが、私は真実を伝えるためならばようかんとお茶で生活することをもいとわない。
こうして真実に気づいてしまい、カクレウオを罵倒するバイトに出禁になった人々には、もはやカツオノエボシを素手で駆除する以外の選択肢が残されておらず、危険を承知で砂浜へ通勤していく。そしてみごとに刺される。毎年のようにカツオノエボシによる事故が発生しているのは、こういうわけなのである。