[アケヤマメモ 3 続秋山記行編纂室]
アケヤマで僕が実施しているプロジェクトは、半分以上アケヤマの機能と重なっているようなところがあるのであまり一つの作品という感じではないのですが、今回は《続秋山記行編纂室》と題して進めています。
鈴木牧之は江戸後期に1828年に秋山を訪れ『秋山記行』を書き上げました。それは民俗学成立以前の日本において辺境と位置付けられていた雪国そして山の民の生活文化を記録発信するという点で極めて革新的なものでした。
秋山には、生きるための原初的な生活技術が残されており、それらを原始的で遅れた生活として無視するのではなく、むしろ生きる上で必要不可欠な根源的なものとして捉える最初のきっかけに『秋山記行』はなったのではないでしょうか。そして『秋山記行』に触発され、多くの研究者や住民が研究や調査、記録、実践を現在まで続けています。そうした研究や実践を全て『秋山記行』の続編と勝手に位置付けて、同時に新たに続編を編むための場所を開きます。と同時に鈴木牧之の『秋山記行』の続編を勝手に編纂するための場所を開こうというものです。
ひとまず現時点の展示はこんな感じです。
①鈴木牧之の秋山記行の続編と呼べる秋山郷について編まれた本たちを網羅的に陳列した本棚。
②秋山の映像資料を閲覧できる場所。黒電話の装置から映像を選んで見ることができる。
③「続秋山記行」と題して、僕自身が綴った、現代の「秋山記行」の文章と展示物のインスタレーション
・続秋山記行「秋山郷の熊猟」
・続秋山記行 「見倉の山田平二家の民具と家族写真」
・続秋山記行 「藤ノ木サカ家に朝鮮人労働者から送られた庭石、または慰霊碑」
・続秋山記行 「廣田幸子の民主主義とアンギン」
・続秋山記行 「山田正道の[生業と遊びの混然]の生活」
山の素材の知恵と技術、信仰・年中行事、狩猟文化という、秋山を発信する上で最も重要だと感じたこの三つの要素は選ばせていただいた3作家(井上さん、内田さん、永沢さん)に思い切って振ってお願いし、(それはとてもよく、それぞれ自分ごととして学び、再演するアプローチをとってくださっている)
僕は直接、地域の人たちや秋山に関わってきた人たちが作家と同じように、というよりもそれ以上に学び、自分の生と深く結びついて行ってきた活動を直接紹介するようなものになっているのかなと思います。
詳しくは、また現地で見ていただければ嬉しいです。
(写真 木奥 惠三)
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