デジタル書斎3 情報収集の習慣
デジタル書斎の構築の基本的なハードウエア、ソフトウェア、紙資料の電子化について1と2で解説しましたので、今回はいよいよ本質的な知的作業について話しましょう。
知的創造で最も重要な事は、興味の対象、即ち研究対象を明確に持つ事です。学術研究者にとって、研究テーマとの出会いが運命を決めると言ってもいいでしょう。それが金鉱脈であれば、結果も出ます。其の為に、数多くの論文を読みます。その時間が長い。特に博士号収得後、次の目標を見つける時間が、研究者として独り立ちする時間です。これはプロフェショナルの世界です。
学術研究者でなくても、あることに強い興味を持てば、その時から、猛烈に知的活動が活発化します。知的活動は基本的に、情報の収集、分析、編集の3プロセスです。
先に述べた様な明確な探究心があると、この情報の収集のプロセスが活性化するのです。例えば、再生エネルギーとか、リサイクル、健康、中国、映画、料理、古代史などに特別な興味を持った時には、頭の中にその情報ファイルのフォルダが出来ます。そして新聞を読んでも、雑誌を見ても、テレビを見ても情報の方から声を掛けて来るようになるのです。
まず情報の収集ですが、情報源は無数に有りますが、まず新聞、雑誌、ネット情報です。とんでもなく良質の情報が、毎日届けられるのです。朝時間を掛けて新聞を読み、自分のテーマに関連する記事を切り抜く作業を何十年も、習慣としてやって来ましたが、このスクラップの作業は、電子版で極めて効率的に出来るように成りました。日経新聞を購読している方には、1000円追加して電子版の購読を強くお薦めします。記事の保存ができ、検索が出来ますので、紙のスクラップとは全く違う次元です。更に、記事だけマウスで選択して、前回紹介したEvernoteでクリップしておくと最先端技術による、デジタル書斎の作業の世界に入ります。クラウドのEvernoteに放り込んで置いた記事は、通常のGoogle検索した時、GoogleはEvernoteの中の情報も一緒に検索対象にするので、ある時突然スクラップした記事が飛び出して来ます。これは紙のスクラップブックでは出来ません。会議資料も電子データでもらいます。基本、紙の会議資料は持って帰りません。紙の会議資料はデジタル情報をわざわざ最終工程でプリンターという、デジタル-アナログ変換器(DAコンバーター)に掛けた恐ろしく無駄で環境破壊の代物です。
ネット情報の収集はTwitter フォローが効率的です。いくつかメディアの情報源をフォローして隙間時間で読んでいます。国際的な情報はBBCのニュースサイトが圧倒的に良いですね。ロイター、ブルンバーグ、ニューヨークタイムズなど信用度の高い情報源を複数読む必要があります。結果としてフェイクニュースをつかみますから。
日本のメディアは、日経新聞はかなり政権より、産経新聞、読売新聞は自民党の機関誌で、毎日新聞は中立リベラル、朝日新聞は反政府系で“容共”と云うことを理解した上で読む必要があります。テレビ局は系列の新聞社と同じです。
国際的な情報の元ネタは英語です。CSでBBC,CNNも放送されています。日本語で提供される国際ニュースもかなりいいです。これ等もEvernoteのクリップで、デジタル書斎の情報庫にいれて置きます。英語のウェブ情報を読むなら、Google ChromeまたはIEの拡張機能にある、Weblioのアドオンを入れる事をお薦めします。知らない単語の上にマウスを移動するだけで、研究社の英和辞典がポップアップされて、辞書引くという作業が自動化されます。紙の世界とは異次元の知的生産性です。Weblioは、Google Chromeのツール⇒拡張機能⇒Weblio英語エクステンションで(有効)を確認して、さらにそのオプションで、「英単語にマウスカーソルを合わせると検索」を確認して下さい。ネットの翻訳もかなりのモノです。英語の資料を読むときに有効です。
テクノロジーの情報はwired、MIT Technology Reviewなどフォローすれば良いでしょう。Wired日本語でも良いでしょう。他にもいくつかあります。