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私がパイロットデンチャーシステムで義歯を作り続ける理由2)

総義歯(総入れ歯)を作るのはなかなかの職人技です。あまたの大学教授や大御所歯科医師が独自の奥義を披露する、一子相伝の体を奏しています。要は、教授といえども「俺の背中を見て覚えろ」の世界なのです。

普通に臨床で仕事を3年も続ければ、大体の歯科医師は80点の仕事がこなせるようになります。そして独立開業し、そこそこ収入を得て、そこそこ患者の信頼を得て、そこそこ良い車を買ったりするころ、開業したての頃に治療した患者さんが「先生が治したとこ壊れたよ~」と舞い戻ってくるのです。それから、自分の仕事の尻ぬぐいに追われる日々が始まります。

そこで感じる違和感..。「あれ........?教科書と違うぞ」

ましてや私は大学で100点を極めた男です。そうか、100点がゴールではないのか。

義歯作りはゴールではなくスタートだった

歯の治療とは、作ってセットして終わりではありません。そこからが新たな生活のスタートだったのです。教科書で教わったのは、ひとつのゴールまでの過程にすぎず、患者さんはそのゴールから新たな体を得て、今までと違う機能を獲得するのです。

例えば、ナイキのスニーカーを買ったとします。おそらくダルビッシュとマーくんでは同じピッチャーでもかかとの減り方は違うはずです。

義歯(入れ歯)はスニーカーと違って工業製品ではありません。もともとオーダーメイドでひとりひとり違うものです。違う人が違う義歯を違う食生活で使用すれば、1年後には違う姿になるのは当然です。

パイロットデンチャーシステムは患者さんの「生活」そのものを写し取ることによって完成されます。だからフィットが良く、よく噛めて、顔貌が回復され、若かったころの自然な自分に帰ることができるのです。

100点がスタートなら、200点を目指そう。そう思って取り入れたのがパイロットデンチャーシステムなのです。

教え子によく言われたのが「深水先生は環境に恵まれていたから100点を目指せた。普通は90点止まりです」

つまり、仕事を3年も続ければ80点は誰でも到達できる、そこから90点を目指したら3年の倍、更に6年が必要である、それ以上を目指すなら、自分の力だけじゃ到達できない、良い環境すなわち良い指導者や良いスタッフ、良い道具、もっと言うなら良い患者さんたち、に恵まれてようやく達成できるのではないか、と。

そう指摘されると、自分の歯科医師人生が悪いものでもなかったんだな、とご先祖様に少し感謝したくなります。今後は、後輩の歯科医師にパイロットデンチャーシステムを伝授し、患者さんにより良い義歯を作って差し上げることで貢献できれば幸いです。




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