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【もの書きの香水棚 2】ディプティック『フルール ドゥ ポー』

 2022年9月に香水ブログを立ち上げ、新しく出会った香りの備忘録を綴っています。
 その中でフルボトルの購入を決めたほど惹かれたお気に入り香水をご紹介します。

 今回はディプティック『フルール ドゥ ポー』です。


【香りのキーワード】

『フローラル』『ムスク』『アイリス』
『パウダリー』『ピンクペッパー』

【使用した感想、口コミ】

 フルール ドゥ ポーとは『肌に咲く花』という意味。その名の通り、肌にのせると愉悦におぼれそうなほど耽美的な香りが肌を覆うのです。

 ビロードのごとく滑らかなアイリスとムスクの中にピンクペッパーなどのスパイシーさがかすかにあり、ただ柔らかいだけではない洗練された印象です。

 初めてこの香りをまとった瞬間、「これだ!」と興奮したものです。求めていた理想がここにあったからでした。

 穏やかで優しい表情の奥に刺激のかけらを秘める『フルール ドゥ ポー』の香りに、私は母を見たのです。

 私の母は物静かで物腰柔らかく、怒る顔なんてほとんど見たことがありません。だけど、おとなしいだけじゃなく、意外なほどアクティブかつハングリーで好きなことへの情熱があり、実は家族の誰よりも肝が据わっています。

 その頃の私は育児で理想と現実の間でもがいていました。いつしか自分の『好き』が何かもわからなるほどに。『好き』は『自分が感じ、選び取るもの』であり、他ならぬ『自分自身の心臓』なのに。

 この香りは私の理想の母親像であり、同時に『好き』とはどんな感情かを思い出させてくれたものでした。

 香りに何を見るか。景色でしょうか。温度、色、人物、人によっては図形かもしれません。
 あなたには香りの向こうに何が見えますか?

【今日の香りの本棚】

『ALEXANDRITE』
成田美名子著
白泉社

主人公が意中の幼馴染にニナリッチの『フルール・ド・フルール』という香水をプレゼントするエピソードがあります。香水選びに同行した親友は、主人公にとって彼女はこういうイメージなのかと微笑ましく見守ります。その人にはどう映っているかを香りで知るのも粋なものです。

『フルール ドゥ ポー』のブログ記事

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