北家は鳴くな
「もうちょっとゆったり構えればいいのに、ちょっとホンイツが見えるからといって(鳴いてしまった)。北家のくせに。理論的にもそうだと思いますけれども、北家ってあんまりポンポコポンポコやらないほうがいいんですよね。親のツモ番が増えちゃうから。親が何回でもツモれるじゃないですか。」
Mリーグ12/16、トップ者へのインタビューでの近藤選手のセリフである。
麻雀の格言に「北家は鳴くな」というのがある。あるけど…
いつの時代の話だ? いくら何でも時代遅れすぎる。
中でも「北家のくせに」「ポンポコポンポコやらないほうが」などは、まるで北家は鳴かないのが本筋であるかのような印象を与える言葉だ。
1半荘目 近藤は3回、北家で親からポンをした。
ここから↓
8mをポン↓
ここから↓
連続で発南をポン↓
確かに北家は親からポンした場合、南家と西家を飛ばすから親のツモが増える。
でも、ポンすることで北家の和了率が高まるから、そんなもん誤差だ。
北家が親からはスルーして西家(あるいは南家)からポンするべき手牌・局面なんてものは99%存在しない。1%あるとしても、レアケースすぎる。
そしてポンした結果で親のツモ番が増えたとして、親が押し返してくるかどうかもわからない。これは「親か子か」よりも、圧倒的に「手牌の良し悪し」で決まるから。
こんなもん本来は解説の必要もない。
こういうのを見ると、麻雀界での戦術の進歩の遅さにがっかりしてしまう。
将棋界だと、どんどん最新形・流行形というのが現れる。1年程度将棋の勉強を怠ると、もう最新の形に対応できないなんてのはザラにある。
3年ほど前、矢倉が使われなくなった時は本当にたまげた。そんなことがあるのかと。
一方で麻雀界では未だに「北家は鳴くな」の格言が使われる。真っ当な戦術であるかのように語られる。 この進歩の遅さ。
ちなみに、近藤は2半荘目で5切りリーチ→2和了りをしたことについてこう語った↓
「いわゆるモロヒッカケというやつで、一昔前だとちょっと恥ずかしいとか、ちょっと騙しやがってみたいなね。最近は、そうは言ってもリーチ宣言牌の筋はむしろ無筋と同じくらい危ないんだぞ、という認識が割と皆さんにされつつある時代なので。まあいいかなと思いますけどね」
これは本当にその通りだ。完全に正しい。
であれば、北家は鳴くなについても古くて間違った戦術だと語って欲しかった。その上で、レアケースとして今回の場合はそうすべきだった、と言うのであればまだ良かった。
でないと、間違った事を視聴者に伝えることになる。
それは麻雀界にとってマイナスだ。
まあ土田の解説も無茶苦茶なんだけど。あれはもうそういうもんだと思って諦めている。
最後に、北家の件についての近藤のセリフを書き出しました↓
「運よく18000なんかも和了れて、かなり点棒も持ちました。(たしか)50000点超えたんですよね。
もうちょっとその時点(東4局時点)ではゆったり構えればいいのに、ちょっとホンイツが見えるからといって、北家のくせに。
理論的にもそうだと思いますけれども、北家ってあんまりポンポコポンポコやらないほうがいいんですよね、親のツモ番が増えちゃうから。親が何回でもツモれるじゃないですか。
で、西家と北家が大体飛ばされるでしょ。そうすると、自分の手も進むけど、もう一人手が進むのは親なんですよ。結果親との一騎打ちになるっていうね。
なかなか嬉しくない構図が出来上がるんで、ほんとは北家はなるべくポンはしないほうがね、なんならホンイツもあんまりしないほうがいいんですよ。西家が弱い手だと切りづらくなるでしょ、オリちゃうじゃないですか。
結果、南家が頑張ってくれたらいいけど、南家もオリちゃったら結局親との一騎打ちでしょ。やってないそんなのね。
だけど、調子に乗って、ポンポコポンポコやったら親の黒沢さんにリーチリーチと言われて、あっという間に大トップやられましたね。それはちょっと反省してますけど」