短文バトル「コーヒー」サイフォン
「アルバイトをさせてください」とインタープレイハチのマスターに頼み込んだのは大学生のときだった。
最初に教えてもらったのは、サイフォンの使い方だった。フラスコを熱し、蒸気圧を利用してロートにお湯を押し上げ、コーヒー粉と混ぜて抽出する。
コツはお湯とコーヒーを混ぜるへら使いにあるようだった。同じ条件でやっても、マスターと私ではまるで味が違うのだった。
私はとうとう最後までお店で出せるコーヒーを抽出することはできなかった。いまでも憬れが残っている。
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