短文バトル「コーヒー」2はじめてのコーヒー
小学生の頃、家ではコーヒーを禁じられていた。それがふつうであった気がする。
ところが、友だちの家で一軒だけ、コーヒーを出してくれる家があった。私はコーヒー目当てにその家に通った。公園の横を通り、米屋と小さなスーパーの前を通り過ぎててくてくと歩いて行く。
コーヒーを飲んだこと以外、その家でなにをしていたかは忘却の彼方にある。黒い液体にミルクが混ざっていく映像だけははっきりしているのに。
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