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三谷幸喜の傑作「12人の優しい日本人」を生で観た。

 ゴールデンウィーク最終日は三谷幸喜の前期代表作である「12人の優しい日本人」の読み合わせライブ配信を観た。発起人は俳優の近藤芳正だという。
 企画の勝利という感じ。もともとが密室劇なので、zoomに向いている。
 録画する手もあっただろうに、出演者一同(主要登場人物だけで12人)が自宅で戯曲を読み、YouTube Liveで生配信するという「生」にこだわった作品になった。
 戯曲は1990年に書かれた、なんでもなあなあで済まそうとする日本人が議論の場に巻き込まれるコメディである。最初は「被告がかわいそうだから」という感情論で「無罪」になりそうになるが、ぎりぎりで決断を翻す2号(相島一之)のおかげで無罪と有罪の合間を行ったり来たりする。なんでもノートに記録している5号(吉田羊)は一見論理的にみえるが、自分の意見がない。無罪がだんだん有罪に傾いていくサスペンス。理知的ってなに? という余韻を残して芝居は終わる。
 傑作戯曲は、zoomという限定された空間で演じられてもやはり傑作だった。

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深川岳志
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