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ほわっとちゃんと黒ガトちゃん

「なになに」
 というのが口癖の女の子がいました。彼女はほわっとちゃんと呼ばれていました。
 ほわっとちゃんがあまりにもたくさん質問すると、お母さんも疲れ果ててしまいます。
 そんな時、お母さんはケーキを焼くのです。
 おいしいケーキを食べているときだけは、ほわっとちゃんも黙ってしまうのでした。
 今日のケーキは、チーズとチョコの二層でできた黒ガトーショコラでした。とてもみっちりして、甘いケーキでした。
「これ、お父さんみたい」
 とほわっとちゃんは言いました。
 工事現場で働いているお父さんの顔は、たしかに真っ黒でした。
「黒ガトちゃんだね」
 とお母さんも笑っています。
 ふたりで笑っている時に、黒ガトちゃんが帰ってきました。
「なにを笑っているんだい」
「内緒だよー」
 と言って、二人はお父さんに黒ガトーチョコラを差し出しました。

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深川岳志
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