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DeepSeekショック! 中国AIでエヌビディア時価総額が91兆円消失!? 

2025/01/28

https://www.youtube.com/watch?v=E6uPubTVhhI&t=34s
 

今、フジテレビ問題で色々な話題が吹き飛んでいる状況であるが、さすがにそれを超える話題が登場した。DeepSeek(ディープシーク)と呼ばれる中国発のAI企業が非常に低コストのAIを開発したことで株式市場が暴落したのである。日本経済新聞のニュースによると、DeepSeekショックで米AI株が急落し、NVIDIA(エヌビディア)の時価総額が91兆円消失した。
 
日経新聞の記事によると『中国の人工知能(AI)企業であるDeepSeek(ディープシーク)が低コスト生成AIモデルを開発したことを受け、米金融市場が揺れている。AI半導体大手エヌビディアの株価は27日に17%安となった。1日の下落率として新型コロナウイルスの感染拡大初期である2020年3月中旬以来、約5年ぶりの大きさを記録した。AI関連は総じて大幅安となった。アルファベットは4%安、マイクロソフトも2%安で引けた。米半導体大手ブロードコムは17%安、ナスダック上場の英半導体設計アーム・ホールディングスも1割下落した』というものである。
 
ナスダック上場企業全体では3%下落し、時価総額が約1兆ドル(154兆円)以上消失した。エヌビディアだけをみても時価総額で約5900億ドル(91兆円)が消えてしまったのだが、これは全て中国が仕組んできたことである。中国のAI企業が10分の1のコストでAIができるというだけで、なぜエヌビディアの株価が暴落するのかと言うと、これにはからくりがある。
 
生成AIで演算を早くしようとすると、エヌビディアのハイスペックチップがたくさん必要になる。この1年以上、半導体市場はAI需要で牽引されてきた。エヌビディアの株価も基本的にはこのAI需要で上昇してきた。その後ろ支さえになっているのが生成AIである。OpenAI(オープン・エーアイ)社のChatGPT(チャットGPT)やその他の生成AI企業が先を競ってエヌビディアのGPUを購入し、そのGPUを使ったソリューションが生成AIだ。
 
この生成AIを作るためにGPUをそれほど必要とせず、10分の1のコストで済むということは、大まかに言えばエヌビディアが最も得意とするAI用のGPUのニーズが10分の1になる。それでエヌビディアの株価が暴落した。
 
AIを動かすためにGPUが10分の1で済むと、サム・アルトマンのオープンAI社やイーロン・マスクのxAI(エックスエーアイ)社はディープシーク社にコストで勝てなくなる。xAIのGrok(グロック)やオープンAIのChatGPTが高価なGPUを多量に必要とする一方で、ディープシークのようにGPUをあまり必要としない会社が出てくると、価格で競争ができなくなる。
 
価格競争ができないので、GPUをたくさん使うAIは売れなくなるのではないかというイメージが先行して、エヌビディアの株価が暴落し、それにつれて半導体関連の株価も共に下がったという流れになっている。
 
エヌビディアといえば、浙江財閥の最先端企業なのだが、エヌビディアが90兆円もの時価総額を失ったことは浙江財閥の敗北を意味するのかというと、実はそうではない。おそらく仲間の企業がエヌビディア株を空売りしていたのではないかと私は推測している。なぜなら、中国の企業は私たちが考えているような会社ではない。自分の会社は損をしてもよい、その代わりに他の仲間の会社に花を持たせて、仲間のどこかが儲ける。
 
エヌビディア、AMD、TSMC、フォックスコンなどはみんな血縁関係にあり、三代前から100年以上にわたり、家族付き合いや友達付き合いをしている仲間内の企業なのである。その中で、誰に勝たせて、誰に花を持たせるのかを決めて、利益はみんなで分け合う。
 
たとえばファーウェイなどが別の会社を使ってアメリカや日本の企業の技術を盗み、中国に持って帰り、別の企業にその技術を移転する。そして、他のメーカーがその技術を活用したサービスやものを作って市場に投入する。盗んだ人間と使った人間の関連が一度切れているので、被害者がこの両者の関係を立証しなければ「あなたはうちの会社の技術を盗んだ」とクレームをつけられず、法廷でも勝てない。浙江財閥はこのように法の抜け穴を使い、ずっと助け合ってきた。
 
私はこれまで浙江財閥のバックにはずっと中国共産党がついているという話をしてきた。ディープシークも人民解放軍とかなり深い関係にある企業で、ここが勝つことにより、アメリカも日本も世界中のAI企業が台頭する中国企業に負けたということを宣伝できる。彼らとしては、中国がいかに偉大な国であるのかということを世界に知らしめることができたので、収支としては合っているのである。
 
彼らは様々な形で中国の力を借りて資金を調達しており、多少時価総額が下がったとしても、トータルでは痛くも痒くもない。「浙江財閥全体でプラスであればよい」という考えなのである。エヌビディアが91兆円の時価総額を消失したといっても、おそらくどこか仲間のファンドが空売りを仕掛けているのではないか。そして、利益が出るとみんなで分け合うのである。
 
時価総額が減るということは別にキャッシュが出ていくわけではなく、現金を 失うわけではない。膨らんだバブルが少し萎んだだけであり、それほど痛くはない。逆に空売りをして、儲かればラッキーだったと考えるわけである。
 
今回、エヌディビアは中国発のAI企業ディープシークにより90兆円以上の時価総額を失ったのだが、おそらく彼らにとってはく痛くも痒くもない。逆に「中国はすごい、中国は素晴らしい、中国には勝てないのだ」という宣伝材料に使っていくのではないかと思われる。


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