甘利明の半導体『１０兆円自慢』の裏にブラックロックの影とラピダス危機
2024/11/22
ダイヤモンドオンラインのニュースを見て非常に驚いた。有料会員向けの記事のため無料公開部分のみを共有する。このニュースは、半導体に関する１０兆円支援の裏話や、落選後の甘利明氏の動きについての内容である。
『半導体のドン甘利明・前議員が落選後に初激白、「半導体支援１０兆円死守の舞台裏」と「自身の出処進退」』
要点は、甘利氏が半導体支援の１０兆円予算を確保したと主張しているが、その実態に疑問が残る。特に７兆円をＮＴＴ株を担保にして調達するという話が中心となっている。しかし、この方法には重大な問題がある。
日本政府はＮＴＴ株の三分の一以上を保有しなければならないというＮＴＴ法第４条があるが、ＮＴＴ株を担保に金を借り、万一返済不能になれば株が取られる可能性がある。それを分かりながら、しかも総務大臣の許可を取らずに行われるという点も法的に問題がある。これが「悪質」と批判される所以だ。これは本当に騙し討ちだ。
ＮＴＴ株を担保とする国債が発行される場合、それを引き受ける可能性のある投資家としてブラックロックのような外資系金融機関が挙げられる。
万一プロジェクトが失敗した場合、ＮＴＴ株が外資に渡る懸念がある。過去には、株を担保にすることで企業が乗っ取られた雪国まいたけの事例もあるため、非常にリスクの高い行為だ。自社株を担保に銀行から借り入れたところ、期日前に銀行が勝手にその株式を売却して大儲けをした。
プロジェクト資金の担保に株式を担保に入れ、そのプロジェクトが失敗すれば、株式は取られてしまう。それを知っていながら、甘利氏が「１０兆円死守」とは何を言っているのか。
ラピダスのプロジェクトが上手く行けばお金は返せからと言うが、
『半導体のラピダスはこのままでは９９．７％失敗する』と慶応大学大学院教授の小畑績氏は述べている。
「またしても、日本政府は『必ず失敗するプロジェクト』に４兆円以上とも言われる資金を投入しようとしているようだ。最先端の半導体量産を目指すラピダスだ。」
写真は石破首相だが、これは萩生田・甘利ネタである。
このプロジェクトのための電力供給が現状の北海道では不足している。北海道の総発電量６００万ｋｗに対してラピダスが必要とするのは６０万ｋｗ、そしてラピダスはクリーンエネルギーを要求しているが、それに応えるためには電子力発電所を新設しなければならないから不可能だ。
技術的にも日本の半導体産業が必要とする基盤技術やエンジニア層が不足しており、プロジェクトの成功可能性は低い。
さらに、ＩＢＭから供給される２ナノの技術が本当に儲かるのであれば、日本に渡さずにアメリカのインテルがやる。
日本には９世代前の技術しかないのに、２ナノを製造するのは、幼稚園生が大学受験をするようなものだ。おまけに２ナノの需要が無い。いったい誰に売るつもりなのかと日経新聞にも叩かれている。これでは失敗しないはずはない。
いま日本が不足しているのは４０ナノ（ＴＳＭＣはこれを２８ナノと偽装）だ。
日本のエレクトロニクス産業の過去を振り返ると、過剰なスペックの製品を作り需要が見込めず失敗するケースが多かった。ラピダスも同様の問題を抱えている。最先端のチップを開発する顧客や用途が不明瞭であり、市場ニーズに応えるものとなるか疑問が残る。
チップである半導体はキラーアプリがあればこその部品である。中国に負けている家電に２ナノは不要である。スマホもほぼ中国で作っているので要らない。だから２ナノを作ったはよいが、どのデバイスに使うのかをまったく考えていないのだ。ラピダスは売り先も無いのに作ろうとしている。
萩生田・甘利が主導したとされるこのプロジェクトは確実に失敗に終わる。彼らは失敗しても構わない。金を撒くだけ撒いて、電力が足りないことも知っている。勝手にしろ１０兆円だけよこせ。国債発行の担保にして、プロジェクトがつぶれれば、ＮＴＴ法を廃止しなくても、ＮＴＴ株式を外資に渡す。というシナリオが動いている。
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