ホンダ日産統合協議開始で下請け9000社が危機的状況に!?
2024/12/25
//www.youtube.com/watch?v=G9ACInqbJWk
ここ数日報道されているニュースで、ホンダと日産が統合に向けた協議を開始することを23日に発表した。これが大きな物議を醸している。ホンダと日産が統合すると、両者を合わせたサプライチェーンは4万社に上る。その中で9200社が重複しており、この重複した9200社の売上が突然減少する可能性があるのだ。
なぜこのような事態が予想されるのか。それは、ホンダと日産の技術的な強みや市場での立ち位置が重なる部分が多いからである。例えば、日産は二輪車を持たないが、ホンダは二輪車で強みを発揮している。その二輪車が強いのも、ガソリン車でのエンジン技術に優れているからであり、決してEV(電気自動車)が得意というわけではない。一方、日産もEVで突出しているわけではなく、「取り組んでいます」という程度の状態だ。このため、ホンダと日産が統合しても、EV分野での優位性は確保できず、むしろコスト競争で中国車に押されているのが現状である。
さらに、ホンダがキャッシュフローがマイナス4600億円の状態にある日産を吸収するとすれば、単なる「罰ゲーム」になるだけである。加えて、日産もホンダもソフトウェア分野で強みを持っているわけではなく、統合によるシナジーも見込みにくい。その上で、日産は自らを大企業と認識しているが、ホンダが18万9千人の社員を抱える一方、日産は13万人規模である。このため、統合後には社員間でのポジション争いが発生し、混乱が予想される。その結果、ホンダにとってはほとんどメリットがない統合となるわけだ。
23日の発表以降、識者たちもようやく「ホンダにメリットがないのではないか」と指摘し始めた。誰も声を上げなければ、ホンダも日産に引きずられて共倒れし、日本の自動車産業全体が縮小を余儀なくされる可能性があるからだ。そうなれば、フォックスコンのような企業が、弱体化したホンダや日産、さらには三菱までを丸ごと買収する事態にもなりかねない。これが現実するとなれば、日本の自動車産業は壊滅的な影響を受けるだろう。
私はここで改めて警鐘を鳴らしたいと思う。EVに舵を切る必要はない。EVを選択すれば、コスト競争で中国に敗北するだけだ。11月に発売した私の著書『EVの終焉とエネルギー利権の戦い』でも述べたように、EVは車として優れているどころか、逆に危険性が高い。昨日の23日、アメリカの高速道路でEV車が発火する出来事があったのだが、EVは燃えてしまえば完全に燃え尽きるまで消火ができない。その間、警察や消防が対応できず、高速道路が完全に封鎖される事態も起きている。これはエコや利便性を訴えるEVが抱える致命的な問題の一つである。
また、中国が自動運転技術で進んでいるという報道も、言論統制の中で事故が報道されていないだけの可能性が高い。こうした幻想を振りまき、「ソフトウェアディファインドビークル(SDV)」の時代だとする報道には疑問を抱かざるを得ない。自動車はソフトウェアだけではなく、安全性や信頼性が求められるものである。ソフトウェア技術者の視点では、この点が抜け落ちている場合が多い。
現実的には、ソフトウェアで車を定義する時代が来るとしても、それは遠い未来の話である。スマホやパソコンもハードが劣化すれば買い換えるが、一番初めに劣化 するのはバッテリーだ。 バッテリーが劣化する問題を解決せずにソフトウェアの時代が来ると煽るのは時期尚早でありソフトウェアにも限界がある。人間の運転は反射神経による部分が大きく、現在のコンピューターではこれに対応するのは難しい。IT企業が作る自動運転のソリューションではやはり事故が多く自動運転が求める安全性能の設計思想が、自動車メーカーとソフトウェア企業とでは大きく異なるためだ。
さらに、EVがエコだという考え方自体が正しいとは言い切れない。電力供給が火力発電に依存している場合、EVがエコであるとは言えない。むしろ、日本の軽自動車の方が、ライフサイクル全体で見ればはるかにエコである。イギリスでも軽自動車が注目されている状況を踏まえ、日本は得意でもないEVに注力するのではなく、自国の産業を応援する為にもハイブリッド車や内燃機関車に力を入れるべきである。
ITはもはや民間が軍事を超え、IT技術を制する者が世界を制すという国際マフィアと国際政治の世界。
深田萌絵メルマガ「世界とITのヤバい話」では、日米中のニュースを中心に、IT起業家と元アナリストの視点から多角的に解説。
他にも、紙面ではなかなか取り上げられにくい幅広いお話ができればいいなと思っています。
よろしければ、ぜひご購読ください。
■ 深田萌絵ブログ
http://fukadamoe.blog.fc2.com/
■ X(旧:Twitter)
https://twitter.com/Fukadamoe
■ Facebook
https://www.facebook.com/moe.fukada.35
■ youtube
https://www.youtube.com/channel/UCJD2JwJNPzi1qcLizxmxbJA
■ 深田萌絵note
https://note.com/fukadamoet