トヨタのファーウェイ化で空洞化する日本
2024/04/09
https://www.youtube.com/watch?v=HsGDiNrRgr0
■ ファーウェイに取り込まれるトヨタ
今日のニュース。みなさんにお送りしたいのは、こちらのニュースです。
「トヨタ自動車、スマート運転ソリューションでファーウェイ、Momentaと連携か」
深田萌絵テレビをご覧になっている人は、結構前から知っていたかもしれないが、トヨタがファーウェイのソリューションを使い自動車を開発していると、以前から言われていた。
中国メディアは7日、消息筋から入手した情報として、トヨタ自動車の世界向けモデルのスマート運転ソリューションに「トヨタ+ファーウェイ+Momenta」の3社連携モデルが採用されると報じた。
三社連携モデルは中国企業ファーウェイとMomentaがそれぞれハードウェア、ソフトウェアのソリューションを担う。
ファーウェイはハードウェアもやっている。勿論、ファーウェイ製の5Gのスマートフォーンなども出しているので、単なる基地局の会社というだけではなく、半導体関連の技術、半導体製造工場を持っている八一ドウェアサプライヤーとしての地位を高めてきている。
アメリカが、ファーウェイの5G通信基地を禁止してから、ファーウェイは業態転換を大きく図ってデータセンタービジネスとか、EV車、自動車ソリューション、自動車のAIの部分のだけではなくて、いろんなハードウェア、センサーの部分、センサーフュージョン、AIのプラットフォーム、そして車体以外の全てをOEMで受けられるように工場を作っている。
そして実はもうOEM工場でファーウェイの名前ではないが、実際に稼働して物が出荷されているという話も結構出ている。
こちらのニュースを見ると、確かにファーウェイの自動車ソリューションが売れているという様子が見える。
「中国ファーウェイ、利益2.4倍の1兆8000億円 2023年、スマホと車で増収」という産経のニュース。
中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)が29日に発表した2023年12月決算期は、最終利益が前期比約2.4倍の1兆8000億円と、売り上げは9.6%増の7041億円で、米国の制裁を受ける中で復活を目指すスマホ事業や、自動車関連などが増収に貢献した。」
スマホの事業の売上高は17.3%増、あとはAIを使ったAIクラウド事業が22%増、そして国内メーカーと組んだ自動車関連は約2.3倍となっている。
ファーウェイ自体は、車の車体の外殻以外の車の中身、つまり車のエンジン部分であるとか、その他の機構を他の国内の自動車メーカーと作って、ファーウェイのAIプラットフォームとかファーウェイAIで使えるセンサーシステムをセットにして作りOEMで出して、いろんな自動車メーカー側は自分の好きな車体を載せてオリジナルっぽさを出しているというモデルをやっているらしい。
確かに伸びている。2.3倍なのでかなりの伸び率だ。基本的にファーウェイは、ファーウェイ製の自動車というものは売らない。ファーウェイのその製品や部品、プラットフォームなどを使ったソリューションを提供することで、自動車業界向けに3つのビジネスモデルで展開する。
ひとつ目は、ライダーとかAR、あとヘッドアップ・ディスプレイと呼ばれるもの。最近の新しい車はハンドルがあると、この辺に映像が浮かび上がるように出てくる。それをヘッドアップ・ディスプレイというが、そういうソリューション、自動車部品を提供しているのがひとつ目のビジネスモデル。
2つ目のビジネスモデル。自動車メーカーと共同開発した自動運転のソフトウェアを提供する、ファーウェイinsideというIntel insideのパクリのようなソリューションを出すビジネスモデル。
そして3つ目は、自動車メーカーが作るコンセプト。どんな車を作るかのコンセプトから共同で参画して、完成した車をファーウェイの販売チャンネルで自動的に売る、スマートセレクションという日本メーカーとかが好みそうなモデルである。いろんな国の企業は、ファーウェイと組めば自動的に中国国内の販売チャンネルに乗って行けることで、結構これも人気のモデルである。
■ ガソリン車のサプライチェーンが弱体化
こういった三つの選択肢があるというビジネス展開を行っている。中国国内の話では、トヨタがファーウェートと結構ガッツリ組んでいると言う。トヨタがファーウェイ化し始めたのだ。その背景にあるのがやはりTSMCで、半導体不足の時期もトヨタは何となく半導体の調達ができていた。もちろんトヨタ自身の努力もあるが、トヨタがかなりTSMCとの関係が密接になり、確実に半導体が調達できる思惑でTSMCと深く組んでいた。
こうなるとTSMCとファーウェイは表裏一体の関係なので、ファーウェイ化にズブズブ進んでしまう。特に最近の中国ではTSMCの人たちが、もうトヨタは自分たちの手中に落ちたと自慢して回っている。それほど彼らは自信満々なのだ。
トヨタが中国の手に落ちてしまうとなると、我々日本の労働者はどうなるのか。自動車産業の労働人口は550万人いる。そのうちの多く、全部とは言わないが、かなりの数がトヨタで占められている。これが徐々に、あちら系の労働者に切り替えられていくと、日本人は今後苦労する危惧がある。
ドイツの自動車メーカーは、EVの分野でかなり遅れていると報じられている。しかし、最近EV化は進んだが、やはりEV自動車の問題点がかなり指摘されるようになり、ようやく中国にハメられて、自分たちのビジネスを失っていることに気が付いた。それでEV化からガソリン車、内燃機関車へ回帰現象が始まっている。
ただし、今更中国にはめられたことに気が付いて、急に内燃機関車に戻ろうとしても、EV車に切り替え続けた何年かの時間の間に、自動車のサプライチェーンが弱体化している。特に中小企業だ。内燃機関車というのはEV車よりも3倍ほど部品数が多い。小さなメカニカルな構造の部品が沢山あって、そういったものをサプライチェーン内の小さな工場が一生懸命作ってきた。そういった小型部品のサプライヤーのメーカーはかなり苦境に立たされていたり、倒産寸前で中国の大手に買われてしまった。
ドイツですらサプライチェーンの構造変化が、今後ドイツの自動車工業に打撃を与えると言われていて、国内の雇用の問題、貿易収支全体にも深刻な影響を与えると言われている。
こうやってEVから内燃機関車に戻ろうという流れが欧米で始まってはいるものの、すでに自動車のサプライチェーンが痛んでいる。それは日本も同じだ。サプライチェーン内にいた内燃機関車の小型部品のサプライヤーはもう弱体化して撤退していたり、身売りをしていたりして、サプライチェーンが途切れている。
そうなっている状態から今、トヨタがファーウェイ化し始めているという現状に直面して、急にEVからエンジン自動車に戻ろうと言っても、すでに途切れてしまったサプライチェーンをすぐに復旧することは難しい。
そういうことを自動車産業の人たちが、もっと声高に政府に抗議をしてくれたらと思うが、この分野で一番戦っているのは加藤康子さんだ。EV推進によって日本の自動車メーカー弱体化する、そのことによって労働市場も550万人の雇用が確保できなくなるかもしれないと警鐘を鳴らしている。
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