【衝撃の展開】イーロン・マスク 自動運転衝突事故報告義務「撤廃」へ
2024/12/27
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2024年12月13日付けロイター
「自動運転車の衝突報告義務、米政権移行チームが撤廃勧告 テスラに有利か」のタイトルで報道があった。
[13日 ロイター] -トランプ次期米大統領の政権移行チームは、先進運転支援技術や自動運転技術を搭載した車両の衝突事故の報告を義務付ける米道路交通安全局(NHTSA)の指令について、撤廃を勧告した。「過剰な」データ収集だと主張している。
ロイターが入手した文書で明らかになった。
トランプ氏に多額の献金をしてきた実業家のイーロン・マスク氏が経営する電気自動車(EV)大手テスラ(TSLA.O)は、この指令に反対しており、撤廃されれば同社が特に恩恵を受けるとみられるが、運転支援技術を調査・規制する政府の能力が低下する恐れもある。
この勧告の作成にマスク氏が関与していたかは不明。撤廃が実現するかも明らかではない。
テスラを除く大手自動車メーカーが加盟する米国自動車イノベーション協会も、この指令の負担が重すぎると批判していた。
ロイターの分析によると、10月15日までにNHTSAに報告された死亡事故45件のうち40件はテスラの車両だった。
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この記事中にある自動運転車による事故の多さにつては、我が社のオフィスがあるシリコンバレーで日常的に話題にのぼる。その原因の一つには、「自動運転」ではないのにもかかわらず、商標名の影響でそう誤認させる側面があるという点だ。正確には「運転支援」レベルの機能を「オートパイロット(自動運転)」と呼ばせ、それによりあたかも運転手に代わり自動で運転をナビゲートするかのような印象を与えているのである。
数ヶ月前、赤ちゃんを乗せていた車に中央線を越えてきた対向車が正面衝突した事故があり、その赤ちゃんが亡くなったという痛ましいニュースが報道された。対向車の運転手は、自分の車をオートパイロット(自動運転)だと思っていたため、自分がハンドルから手を離しても白線を越えずに運転してくれるだろうと、車中で服を着替えたり、靴を履き替えたりしていたらしいのだ。
これが「オートパイロット」という商標名が我々ユーザーを誤認させた結果なのである。運転支援機能付き車の良心的なメーカーの場合、その辺りのフォローが丁寧で、きちんと「運転手がハンドルから手を離したら危険」と説明してくれるのだが、そうでないとこうした事故は後をたたないだろう。
実際、先のロイターのニュースで報じられた「NHTSAに報告された死亡事故45件のうち40件はテスラの車両だった」という件は、それを物語る。
更に問題なのは、事故が起こり一旦車体が燃え始めると誰にも止める事ができないというダブルで危険な車両という点だ。自動車メーカーの絶大な影響力であまり周知されず、こうした欠陥がある情報はほとんど外には出ないのが現状である。
そんな中、改善できる点があるとすれば、「オートパイロット(自動運転)」という商標を適切な名称に変え、一般ユーザーの誤認識を少なくすることだ。
しかし、イーロン・マスク氏はこの意見に対し、「誤認する方が悪い」と主張しており、こうした態度がさらなる悲劇を招く可能性は否定できない。加えて、この「衝突事故の報告義務を撤廃」という主張も問題だ。これはテスラだけでなく、米国自動車イノベーション協会に所属する他メーカーも賛同するのかもしれないが、それでも報告義務の撤廃はおかしい。一般的な車の運転手が関与する事故も、保険の利用時に報告が求められるのだから、事故データは収集されるべきなのだ。
一方、日本では、デジタル庁が「自動運転の事故では刑事責任を問わない」という提案をしている。これが実現すれば、大袈裟でなく日本は「殺人国家」になる危険性がある。AIによる自動運転で人が死亡しても責任が問われないとすれば、ハッキングによって政府要人を狙うといった犯罪が容易に可能になるということなのだ。こうした状況を考慮し、政治家は慎重に対応すべきだ。
また、1週間前の報道によると、自動運転車の認識レベルに依然として課題があることが明らかになった。自動運転車が「天下一品」の看板と「進入禁止」の標識を未だに区別できないという。この問題は2015年から指摘されており、8年以上経過した今なお解決されていない。人間の目には明らかに違う「天下一品」の看板と「進入禁止」の標識を区別できない現状で「自動運転」と言われても、信頼を寄せるのは難しい。
信号機や標識を通信で認識させる技術が進めば良いかもしれないが、そのためにスマートシティ全体で対応するとなると電力消費量など別の問題が浮上するだろう。そうしたことを鑑みると、「自動運転」の技術レベルはまだまだと言わざるを得ない。
ところが、米アルファベットの子会社、自動運転開発企業で無人運転タクシーを運営するウェイモ(Waymo)が、自動運転車の事故率が人間の運転より低いというレポートを出した。しかし、このデータは4270kmの走行の結果に基づくというだけで、他の詳細な条件は不明だ。試験走行の経路が単調である可能性が高く、複雑な道路状況を走行する人間の運転データと単純比較するのは適切ではない。
日本でも時速20kmから40kmに制限した自動運転バスの実証実験が行われている。このような低速走行の自動運転車と、高速道路や山道を含む多様な条件で走行する人間の運転データを同じ基準で比較するのはやはり疑問が残る。それでも、2025年にはウェイモの無人タクシーが東京都内で実証実験を開始する予定だ。これが一般に開放されれば、私もぜひ利用してみたいと思っている。
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