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ヒカルVSホリエモン「財務省解体デモ」論争について。堀江さん、それは違うでしょ

2025/02/27

https://www.youtube.com/watch?v=S07YN8uX6mg

ヒカルVSホリエモン「財務省解体デモ」論争について。堀江さん、それは違うでしょ。 (2025.02.27) No.951
最近、財務省解体デモがあった。しかし、その件を大手メディアは全く報道しなかった。この件について、ヒカルが大きく取り上げた。ヒカルは登録者数が500万人ほどいる大人気のYouTuberである。年齢は30代前半くらいで、若く、恐らくイケメンで、金色と黒色に髪を染めている人物という認識だ。

非常に人気のあるYouTuberであるヒカルが、「大手メディアが財務省解体デモを報道しないなら、自分の動画で取り上げる」と発言し、その動画はすでに200万回以上再生され、大きな反響を呼んでいる。それに対して、実業家の堀江貴文(ホリエモン)氏が反論しているというニュースが話題になっている。

ニュースによると、堀江貴文氏は2025年2月26日に自身のYouTubeチャンネルを更新し、財務省解体デモに言及した。そして、ヒカルが2月23日に公開したデモを紹介する動画について批判した。
ヒカルはその動画の中で、「食料品などの生活必需品には減税し、贅沢品には増税すべきだ」という自身の考えを語り、大きな反響を集めた。一方、ホリエモンは26日に公開した動画で、「財務省解体デモについて話す」と題し、ヒカルの主張に対して持論を述べた。ホリエモンは、「もともと消費税導入以前には、贅沢品に課税する物品税があったが、それが消費税に一本化された」と説明した上で、「そもそもどこまでが食料品なのかという線引きが問題になる」と疑問を呈した。

さらに、ヒカルが「マスコミが財務省解体デモを報道しないなら、自分が広める」と主張したことについて、ホリエモンは「減税を実現するには、まず投票に行って、減税を掲げる政党の政治家に投票するべきだ。政治家を動かすには、デモではなく、直接政治家に働きかける必要がある。デモをやっても意味はない」と反論した。そして、「ヒカル君の言う税制改革は愚策だ」と痛烈に批判した。

これに対し、ヒカルは自身のX(旧Twitter)で、「堀江さんは頭がいいが、大衆の気持ちが分かっていないように感じた」と反論した。こうしたやり取りが、ネット上で大きな話題となっている。

個人的な意見を述べるならば、ホリエモンの主張はやや弱いと感じた。なぜなら、政治家に訴えかけても、彼らにとって利権にならない限り動かないのは明白だからだ。それをホリエモンも理解しているはずだ。それにもかかわらず、「ちゃんと投票に行こう」といった発言をするのは、社会の裏側を知り尽くしている堀江らしくないと感じた。

さらに、「デモをやっても意味はない」というホリエモンの主張にも異論がある。デモは効果がある。デモが行われると、政府側にとっては無視できないプレッシャーになる。極端な行動ではあるが、強く押し通せば、相手側が折れることもある。日本政府もそこまで強硬な態度を取り続けるわけではない。デモには意味があり、決して無駄ではないのだ。

なぜなら、消費税は過去に一度、世論の反発によって頓挫した歴史があるからだ。それは戦後の1950年代、当時は「消費税」という名称ではなく、「付加価値税」として導入が試みられた。議会で決議が通ったものの、この法律が施行されて税金を徴収しようとした際、民衆が激しく反発した。その結果、法律自体は成立していたにもかかわらず、実際には税を徴収することができず、事実上、施行が頓挫したのだ。

つまり、デモはやればやるほど効果がある。むしろ、投票するよりも直接的な影響力があると考えている。投票に全く意味がないと言うつもりはないが、正直、投票だけでは法律や政策を大きく変えるのは難しい。もちろん、選挙で意思表示をすることは重要だが、それだけでは十分ではない。むしろ、デモのように直接声を上げ、日本中で世論を動かす方が、結果を出すまでのスピードは早いと感じる。

加えて、堀江氏の議論は弱いと感じた。消費税は基本的に「外国人優遇」の税制だからだ。先日、「越境3.0」の石田和康氏が、原口議員が参加する「グローバリズムと戦う議員連盟」でこの問題に言及していた。それによると、消費税は外国人が日本でビジネスを行い、日本で商品を購入した後にそれを海外に輸出すると、「戻り税」が発生する仕組みになっている。輸出時に支払った消費税分が還付されるため、企業はその書類を銀行に持ち込むことで融資を受けることができる。そして、その資金を利用して2億4000万円ほどを引き出した後、とんずらして姿を消すケースも実際に3件ほど確認したという話があった。

このように、消費税は輸出企業にとって有利に働く税制だ。では、輸出企業とはどのような企業か。それは、日本に進出している外国企業であったり、グローバルに取引する大企業であることが多い。つまり、実質的には輸出をメインとする大企業が、下請け企業が支払った消費税を「戻り税」という名目で受け取る構造になっているのだ。

こうなると、「消費税を財源にして社会保障を充実させる」といった主張は建前に過ぎない。この税制は、実際には中小企業から搾取した資金を、大企業の輸出促進のための補助金として活用する仕組みに他ならない。決して公平な税制ではない。
さらに、消費税は労働環境にも影響を与えている。企業が消費税を支払う際、「仕入れ税額控除」という制度がある。派遣社員に支払う賃金はこの税額控除の対象になるが、正社員の賃金は控除の対象外だ。そのため、企業にとっては正社員を雇うよりも、派遣社員を雇う方がコストを抑えられる仕組みになっている。結果的に、人材派遣会社——たとえばパソナなど——が利益を得る構造になっているのだ。

このように、「消費税は公平な税制だ」と主張する人々に対しては、私は疑問を抱かざるを得ない。税金というものは、本来「応能負担の原則」に基づくべきである。つまり、支払う能力のある人がより多くの負担をするという考え方だ。実際、所得税はこの応能負担の原則に従って設計されている。しかし、消費税はこの原則から外れており、むしろ弱者に負担を強いる不公平な税制だと言わざるを得ない。

大企業は「応能負担の原則」に反し、実質的に中小企業から消費税を搾取しているのも同然である。本来、より儲かっている企業が多くの税を負担すべきだが、現実には儲かっていない中小企業を下請けとしていじめ、その消費税を吸い上げている。これのどこが公平なのか、どこが公正なのか、私は強い疑問を抱いている。

また、景気刺激策として消費税減税は非常に効果的だと考えている。なぜなら、日本のGDPの約半分は個人消費が占めているからだ。つまり、消費税が高ければ個人消費は冷え込み、結果としてGDPの成長を阻害する。したがって、消費税をなくすことで個人消費が活発になり、景気が刺激される。

ここで、「インフレが進んでいるのに減税の話をするのはおかしい」という反論がある。しかし、私がそれでも消費税を廃止してもよいと考える理由は、今の日本が「コストプッシュ型インフレ」に直面しているからだ。現在は、需要が拡大して物価が上がる「ディマンドプル型インフレ」ではなく、原材料費や輸送コストの上昇などによって物価が上がるコストプッシュ型インフレである。この状況をディマンドプル型のインフレへと転換することで、経済を正常な状態に戻すことができる。それが、より健全なインフレの形だ。

今は収入が増えないまま物価だけが上がるという、非常に厳しい状況にある。それにもかかわらず、首相が経団連に対して「次の春闘で賃金を何%上げなさい」と要請し、経団連がそれに応じたところで、その賃上げ分は結局税金として回収される。こんなことをしても全く意味がない。むしろ「お前ら国民に喧嘩を売っているのか?」と言いたくなるような政策である。

それよりも、需要を刺激してGDPを成長させることが重要だ。たとえインフレになったとしても、GDPが成長すれば自然と賃金を上げることができる。それが本来あるべき姿である。

この点について、日銀の元審議委員・原田泰氏も、「分配率を上げて給料を引き上げるには限界がある。給料が伸びている国は、GDPが成長しているからこそ自然に賃金も上がっている」と述べている。では、GDPを成長させるには何が必要か。それは、GDPの半分を構成する個人消費を刺激することだと私は考えている。消費税の減税や廃止は、その最もシンプルで効果的な手段だ。

こうした経済の議論に関連して、YouTuberのヒカルが最近、視聴者に関するある投稿に反論している。X(旧Twitter)で27万人以上のフォロワーを持つインフルエンサーのゆな先生が、「青汁王子などのYouTuberが財務省解体デモを取り上げているのは、納税していなさそうな底辺層を主な視聴者としているからだ。一方、堀江貴文氏の視聴者層は、所得税や住民税をしっかり取られているサラリーマンが多いから、消費税引き下げに反対する。非常にわかりやすい構図だ」と分析した。

これに対し、ヒカルは自身のチャンネルの視聴者が「納税していなさそうな底辺層」と揶揄されたことに対し、「僕個人ではなく、ヒカルチャンネルの視聴者を馬鹿にするのは本当に失礼ですね」ときっぱり反論した。

正直、このゆな先生の投稿は普通に失礼だと思う。私はヒカルの動画を頻繁に見るわけではないが、彼のビジネスの一端については知っている。ヒカルは自身の会社で120億円ほどの売上を上げており、YouTubeでさまざまな商品を販売し、それがしっかり売れているからこそ、その収益が成り立っているのだ。

そして、その商品を購入している視聴者がいる以上、彼らにはそれだけの購買力があるということになる。つまり、ヒカルの視聴者は仕事をして収入を得ており、当然、納税もしているはずだ。視聴者を一括りにして「底辺層」と決めつけるのは、どう考えても無礼である。

このように、ゆな先生の投稿はヒカルに対しても、その視聴者に対しても失礼であり、ヒカルが反論したのは当然だと感じる。

そもそも、視聴者層に関する根拠のない決めつけには疑問を感じる。たとえば、「ヒカルの視聴者は納税していない底辺層だ」といった投稿もあったが、こうした発言には事実に基づく裏付けがない。

過去にも、ガーシーの視聴者について「若者ばかりだ」という指摘があったが、実際には30代、40代、50代の視聴者も多いという話も出ている。外から見ただけでは、視聴者の年齢層や経済状況などは分からないはずだ。このような根拠のないレッテル貼りは、単なる偏見に過ぎないと思う。

次に、財務省解体論についても触れたい。財務省を解体しても意味がない、という意見があるが、私はそうは思わない。

一部では、「財務省の官僚たちは、民間で働けば年収2000万〜3000万円を稼げる能力があるのに、わざわざ年収800万円ほどで働いているのだから偉い」というような投稿も見かけた。しかし、これも現実を見ていない発言だと感じる。

今の時代、年収2000万〜3000万円を稼げる能力がある人は、そもそも官僚にはならない。年収800万円程度で働くというのは、自分自身がそれ以上の収入を得る自信がない、あるいは別の理由で公務員という道を選んだ結果である。もちろん、年収800万円は立派な収入だが、2000万円、3000万円を稼ぐには、熾烈な競争を勝ち抜く民間企業で働き、英語を駆使し、早朝から深夜まで働くような覚悟が必要だ。私自身も外資系証券会社にいた経験があるため、その現実は理解している。
だからこそ、「民間なら2000万稼げるような人が官僚になってくれている」という考え方は甘い。むしろ、「年収800万円が妥当だ」と考えて官僚を選んだ人たちがほとんどだろう。

さらに、官僚の収入は年収800万円だけではない。エリート官僚になればなるほど、給料以外の「フリンジベネフィット」(給与以外の特典)を得ることができる。財務官僚であれば、国の予算をコントロールする力を持つ。たとえば、国会議員に「あなたの地元に予算をつける代わりに、こちらの提案に協力してください」と交渉することもできる。そして、もし議員が逆らえば、国税局を使って税務調査を行い、圧力をかけることすら可能だ。

投票で1票を入れる一般市民よりも、予算や税を武器に政治家を動かせる官僚の方が、はるかに強い権力を持っている。それによって、財務官僚は単なる年収800万円以上の価値を手にしているのだ。さらに、官僚の天下り先では、年収が2億円、3億円に達することもあると森永卓郎氏も指摘している。もちろん、全ての財務官僚がそうだとは言わない。真面目に職務を全うしている人もいるだろう。しかし、一部の官僚が権力を乱用していることは事実だと考えている。

私自身も、過去に財務省による理不尽な対応を経験している。2000億円の資金洗浄の容疑でアメリカの国税庁(IRS)に追われる事態になったが、そもそも私の口座に2000億円など入っていないことは財務省も分かっていたはずだ。それにもかかわらず、「この人物は200ビリオン円を持っている」と根拠のない報告をし、日米租税条約に基づいてアメリカ側に書類を提出した。この経験から、私は財務省の官僚たちが「真面目で清廉潔白な人ばかりだ」という考え方には賛同できない。

だからこそ、財務省解体論は意味があると考えている。財務官僚たちは「アメとムチ」を駆使して政治家を動かしている。ムチの部分が国税局であり、国税局を使って議員に圧力をかける一方で、「予算を付けるからこちらに協力してくれ」とアメをちらつかせる。

たとえば、親から1000万〜2000万円の子ども手当を受け取っている元総理の一族などは、国税局による調査を恐れるはずだ。そこに目をつけて財務官僚が圧力をかければ、政治家を思い通りに操ることができる。それだけでなく、財務省や国税局を批判するインフルエンサーに対して税務監査を入れ、資産を差し押さえて潰すこともできる。

さらに、財務省は予算の配分を決める権限も握っている。どの地域にいくらの予算をつけるかを決める力を持つことで、官僚は一層の影響力を行使することが可能だ。

こうした現状を踏まえると、財務省に権力が集中しすぎているのは明らかだ。財務省の権力を分散させることで非中央集権化を進めることが、より民主的な政治を実現するために必要であると考えている。


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