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【総裁選】高市早苗議員を支えるキングメーカー〇〇

2024/09/08

//www.youtube.com/watch?v=wghVrtjBObo&t=28s

自民党総裁選を前にして高市氏の論評を何度かしたが、では誰ならいいのだと怒りだす方だけでなく、筆者が河野太郎氏や小泉進次郎氏推しだと書く人までいて呆れている。そんなことは一言も言っていないし、推してもいない。

問題は11人いる総裁選候補者のラインナップである。青山氏はたぶん推薦人が集まらないと思うので、結局11人になるのだろうが「全員がグローバリストだ」という事は冷静に見た方がいいと思う。

候補者によって愛国風味、リベラル風味と色々な味付けはしているが、根本的に候補者みんなが向いている方向は大体同じで、誰を選んでも地獄だよ、地獄の味わいがちょっとずつ違うだけだよ、という話をしているわけである。

繰り返すが別に河野太郎氏がいいなどと言ったことは一度もないし、そもそも河野氏のXでは筆者もブロックされている。進次郎氏のことも政治家としては別に評価していない。ルックスがいいと言ったのは単なる外見の評論である。コバホーク(小林鷹之氏)や進次郎氏のルックスがいいと言っても、それは候補者11人のラインナップ内で比較すれば、見栄えがするだろうというだけの話だ。

それなのにルックスがいいと言っただけで、その人が好きなのだと思ってしまう人がいるのが不思議である。ルックス、綺麗な顔立ちと言うだけなら、リベラルの山尾(現・菅野)志桜里氏も綺麗だし、蓮舫氏もやはりルックスはきちんと綺麗にしている。そういう、綺麗にしているというだけの話を、いちいち好きとか嫌いとかに振り替えてしまう思考はどこか単純というか、そういう方の脳味噌こそ大丈夫なのかと思ってしまう。ルックスはルックスとして、中身は中身としての評価なのであり、さらにはそのバックに何がいるのか、本当は何をしようとしているのかという性格など、色々なところを見ていくのが常識的な思考だと思うのだが。

たとえば小泉進次郎氏は、見ての通り演説をしたらボロが出てくるであろう。河野氏は既にそもそも評判が悪い。その点高市早苗氏はすごく評判が良くて好感度や支持を伸ばしてきているわけだが、では彼女が総裁になったら日本は良くなるのだろうか。残念ながら筆者は悲観的である。過去に彼女が何をやってきたのか、なぜエルピーダを潰しておいて知らんぷりしているのか、なぜNTT法廃止に反対しないのか。なぜ彼女は自民党憲法改正案での緊急事態条項を主導したのか。そしてアクティブなサイバー防衛と言いつつ、実質的には憲法違反の検閲をすると彼女は言い出しているが、それはかなりの暗黒社会と言えるのではないか。一見いいことのように見えて、ちゃんと内容を考えたら、実は私たち国民のためになっていないという事実を、我々は冷静に見ていかなければならないと思う。

それでもなお、総裁戦は誰がよいのかと問うのなら筆者の答えは「誰もよくない」だ。もはや私たちは「どの毒を飲んでいくのか」という考えで対策を打つしかないのである。

前段が長くなったが、いよいよ本題の「高市早苗議員を支えるキングメーカー」に入る。まずはこんな事件があった。

NHKの報道によれば、台北駐日経済文化代表処(事実上の台湾大使館)の代表(事実上の台湾大使)であった謝長廷氏が8月に突然退任し、新しく李逸洋という方が任命され、9月に着任とのこと。この李逸洋氏は元々民進党の幹事長であり、陳水扁氏をかなり支えてきた、いわば氏の子飼いである。

さてここで、事実上首になった謝長廷氏のほうであるが、なんとこの方はあの金美齢氏と喧嘩、それも公開空間のネット上で罵り合うという前代未聞の醜態を見せていたのだ。何が喧嘩の背景にあったのか。

元々台湾利権の窓口は金美齢氏だった。だから菅元首相のフィクサーだった銀座の大樹総研社長も、金美齢氏のためならヘコヘコと子飼いのようにお仕事をし、金美齢様が「愛国台湾独立運動家」としてあたかも一生懸命頑張っていたかのようにブランディングする書籍もお膳立てしてきた。何もかも捨てて日本に逃げてきた筈の金美齢氏は、いつの間にか大金持ちになっていて、ものすごい豪邸にお住まいになり、人前に現れる時はどこから手配されるのかいつもSP同伴、そして故安倍元首相の「ばあや」的存在でもあった、色々とすごい方なのである。そんな金美齢氏は、TSMCが日本に来る時もやはり立役者だったのだ。

金美齢氏にゴマをすって自民党に入った長尾たかし氏は議員時代に、台湾プロジェクトチームに加わっていたのだが、なんとライブで喜び勇み「TSMCの誘致に成功しました」とか自慢してしまう失態を犯してしまった。なぜ失態かと言うと、公金を入れるのだから、本来はパブリックに広くあまねく国民に対して公募し、向こうから応募してくるべきものである。それを自ら台湾へ行って「この金流すからよろしく」と段取りをつけておいて「誘致に成功しました」と自慢したら「え、お前が招いたの?」「裏でずっと繋がり話し合い裏取引してきたことを自白しちゃっていいの?」みたいにツッコみたくなるではないか。だから失態と思ったのである。普通の感覚ならそう思うだろう。そう思わない人はちょっとおかしいのではないか。

台湾代表処の謝長廷氏と金美齢氏の戦いに戻ろう。この喧嘩は安倍氏が亡くなられた時に起った。当時副総統だった頼清徳氏が来日し、安倍氏のお葬式の弔問に向かう時、なんと金美齢氏はお寺のところで待ち構えていた。そして頼清徳氏が到着した瞬間にパーっと走り寄り「私が頼清徳を連れてきたのよ、安倍洋子(故安倍氏の母・現在は故人)さんとかに紹介するわ」みたいな感じで取り仕切ろうとしたのである。それを謝長廷氏が不快に思い、ちょっと文句を言ったら、金美齢氏はさらに怒り「お前は何の仕事をしているのだ、頼清徳副総統が日本に来られるというのにちゃんとお出迎えもせず、お前がちゃんと仕事してないのじゃないか」みたいな感じで大喧嘩になったのだが、実はこの喧嘩の背景こそが「TSMC利権の窓口をどちらがやるか」というバトルだったわけである。しかしこのバトル、一回は謝長廷氏の勝ちで終わった。「あ、謝長廷が勝つのだ。これで金美齢氏も日本の台湾窓口として大きい顔できなくなっちゃうのかな」と私は感心していたのだが、そうはならなかった。

それが先程ご紹介したNHKニュースで、なんと謝長廷氏が失脚し、新たな駐日代表として李逸洋氏が来るという展開になってしまったのである。じつはこの李逸洋氏の仲間内というのが今、台湾で力をつけてきており対日工作の中心となっているのだ。その辺の事情を台湾のネットメディア「上報(UpMedia)」の記事などからご紹介しよう。(注:台湾語の記事原文をDeepL翻訳に通して参照するため、一部誤りがあるかもしれない。予めお断りしておく)

「上報」の独占ニュースとして「頼清徳は馬永成、邸義仁を対日工作の二重核として任命した」というタイトルの記事が出ている。

(以下記事大意)頼清徳政権発足から4ヶ月、国家安全保障の運営は蔡英文の路線の継承かどうか国内外から繰り返し検証されてきている。台湾の対外関係においてアメリカに次ぐ重要国である日本との関係について頼清徳は民進党のシンクタンク副主席に就任した邸義仁に頼るほか、2024年の総統戦を戦う頼清徳を支えてきた馬永成国家安全保障顧問に重責を託し、日本の要人が来台した時は、馬さんに面会するように呼びかけている。政界に復帰した邸義仁と馬永成は、陳水扁時代から国防組織に関わってきた古くからのパートナーであり、頼政権の対日工作のダブルコアとも言えます。(大意ここまで)

というニュースだが「これまためっちゃすごい人出してきたなあ」と、筆者が思わず関西弁に戻るほどインパクトのある人選だったのだ。この馬永成氏は、なぜか日本の政府要人が一番会いたい人なのである。何故だか分からないがそこには多分色々とカラクリがあるのだろう。

同記事によれば馬永成氏は国家安全保障チームの中心人物で、これまで対米作業チームだったが、対日工作の方に移ってきた。そして去年秋には、日華議員懇談会の古屋圭司議員に会いに行っている。これは当時頼清徳氏が「総統選を控えた副総統」という微妙な公職にあり、自ら会いに行くわけにいかなかったため、陳水扁時代からの子飼いだった馬永成氏を名代として日本に送り込んだわけだ。しかも馬氏は古屋議員だけでなく訪台した野田元総理にも会っているという。

つまり、かなり台湾浙江財閥の窓口みたいな人物なのだが、同時に彼は台湾政界のキングメーカーでもあり、なぜか日本の国会議員のキングメーカーでもあるという、謎の立ち位置の人なのである。こんどは台湾版Wikiを参考に、もう少し馬永成氏のプロフィールを見てみよう。

【馬永成】1965年生まれの59歳。中華民国の政治家で台北市出身。福建省福州市出身の台湾外省人二世。中華民国総統府副秘書長を経て、現在は国家安全保障会議顧問。(筆者注:NSCの顧問ということ。日本なら以前の北村氏のようなポジション)政界入り後は陳水扁のスタッフを長く務め、同じく陳水扁に重用された羅文嘉と並び「羅馬」 (ローマ・パートナー)と呼ばれた。台湾土地開発公司インサイダー取引事件で辞職し、その後国費詐欺事件で起訴され一審で懲役20年、二審で無罪となる。文書偽造事件では懲役8ヶ月、執行猶予3年の判決を受けた。

以上これだけでも結構香ばしい人なのだが、それだけではない。弊社レバトロンのジェイソンがまだ台湾でF35チップ開発の仕事をしていた頃、これまで筆者がたびたび名前をあげてきた焦佑鈞、パナソニック半導体を買収した新唐科技(ヌヴォトン)のCEOであり浙江財閥の今のトップである焦佑鈞氏に技術を盗まれたことがある。その後ジェイソンには色々な人から脅迫電話が来たのだが、その内の一人がこの馬永成氏だった。ジェイソンが立法府まで呼び出されて行ったところ「焦佑鈞にもう降伏せよ、これ以上焦佑鈞に逆らうな」と言ってきたのがこの馬永成という人物であり、F35軍事技術流出事件の立役者の一人だったのである。ここで再度台湾版Wikiに戻ろう。

2009年9月11日、台北地方裁判所は馬永成に対し国費詐欺事件、陳水扁一家マネーロンダリング事件、南港展覧館事件、龍潭土地購入事件などに関し、汚職取締り条例に基づき「官職を利用して不正に財産を取得」「公有財産の横領」「文書偽造」などの罪で禁錮20年の一審判決を言い渡した。

となっている。ただし二審では無罪となり、彼は勝っている。

こうした経歴の馬永成氏と李逸洋氏らは、いわば金美齢氏の弟子みたいなものなのである。馬永成氏が2009年にマネーロンダリング事件で台北検察にやられたその中身は「陳水扁のお金をマネーロンダリングしたのは誰か」という捜査だった。陳水扁のマネーロンダリングに関わり「誰かが」台湾の銀行から大量の裏資金を送金したのだが、ここで「送金の受け取り先の一つが金美齢氏だった」という報道が台湾で出たのだ。

するとその直後、あんなに台湾を愛していて、台湾国籍を絶対捨てたくないとずっとおっしゃっていた金美齢氏はあっさり「私は馬英九(総統)嫌いだから台湾国籍もういりません。日本に帰化します」と言って日本人になってしまった。これで台湾の警察権は及ばなくなり、指命手配とかもできなくなったわけだ。

やはり愛国ブランドはすごいなと思う。今その金美齢氏と共に、台湾対日工作の立役者として馬永成氏らが、高市早苗議員を推しているのである。


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