2-1イランとヒズボラ、イスラエルに報復宣言と萩生田 【後編】
2024/09/20
//www.youtube.com/watch?v=ZWC_E6vL9m4&t=1536s
レバノンで起こったあの通信機器連続爆発事件について続きをお話ししたい。今回の事件は通信テロとでも言えるが、今回の件に限らず両陣営の紛争は根深く、対立は長く続いている。今回、3000人以上の負傷者、そして10数名の死者も出ている。被害に遭われた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げたい。
今回の連続通信機器爆発事件の後、イスラエルはさらにヒズボラの拠点100箇所以上を攻撃し、それに対してヒズボラは報復宣言をし、続いてイランも報復宣言を出した。ますます悪化していく状況の中、中東危機が起これば日本はエネルギー危機に遭う可能性が非常に高い。
藤和彦氏の『大油断』にも書いてある通り、これだけ問題が大きくなり、さらに飛び火して中東の海峡が封鎖されたりするような事態になってしまえば、エネルギー危機が起こるのは実は日本である。日本はその石油のほとんどを中東から仕入れているため、実は日本の危機に繋がっていく。然るに一体日本は何をしているのだと言われているわけである。
さて、「イスラエル、台湾製ポケベルに爆発物仕掛けたか、米報道、レバノンでの爆発」という、死傷者3000人以上を出した非常に凄惨な事件である。あのヒズボラが特殊なルートで手に入れた台湾製のポケベルが突然爆発、それだけではなく日本の「アイコム」というメーカーの製品も突然爆発した。さらに家庭用ソーラーパネルも突然爆発するという事件があった。全部ファーウェイ関連企業ではないのか。今、東京都の条例で太陽光パネルを張りまくっているところだが、突然爆発しないのか心配である。
どうして普通のスマホを使っていないのかと疑問に思われた方もいると思うが、それはヒズボラの指導者が今年の2月、イスラエルがスマホや携帯電話を通じて、ヒズボラや反イスラエル派の動きを全部把握しているため、普通のスマホや通信機器を使ってはいけない、アメリカと仲がいいところからは買ってはいけないということで、特殊なルートで入手した通信機器を使うことにしたからである。
そういうわけで、ポケベルとかトランシーバーの利用を推奨したわけだ。これらの通信機器をどういうところから購入していたのかといえば、台湾や日本のメーカーだ。トランシーバーは日本のメーカー「アイコム」で、ポケベルは台湾のメーカー「ゴールドアポロ」という会社が作った。どうやらブルガリアの会社が仲介をし、ハンガリーの会社から購入したようだ。
ただ、台湾はハンガリーにライセンスをしたから台湾は関係ないという風に言ったり、ブルガリアは台湾から買ったから台湾のものだと言ったりして、お互いに責任をなすり付け合っている。
とにかくこれまでの経緯を見ると、ヒズボラはイスラエルに盗聴されることを恐れていた。アメリカ製の通信チップにはバックドアがついていて、アメリカの諜報機関に情報が漏れるというリスクがあるからだ。それは私たちも同じで、どこの国の通信機器を使おうとも、どこかの政府に監視されているので、盗聴されるリスクがあるかもしれない。そう考えるともう通信機器は使うのをやめて、フェイストゥフェイスで話すしかないという時代になってしまったとも言える。
ヒズボラもアメリカからの盗聴を恐れていた。そしてなぜか台湾や日本は大丈夫だろうと、台湾と日本の製品を信頼して入手していたのである。
台湾や日本が、こういったヒズボラとかイラン、北朝鮮であるとかの、アメリカが言うところのアメリカの敵、ならず者国家のように捉えている国家から信頼されて、いろんな製品を供給している。
お互いに言い分があるので、本当はどちらが悪いのかは分からない。アメリカがテロリストだと言っているからといって、本当にその現地の人たちがテロリストだと思っているかどうかは分からないし、アメリカがこの人が正当なる指導者だと言っても、現地の人はそれはアメリカの傀儡だと言うだろう。
従って、何が正しいか、どちらの言い分が正しいとかにはここでは立ち入らないが、台湾や日本がそういうアメリカの敵に通信機器を提供していることは、アメリカのインテリジェンス・コミュニティは把握していた。
日本と台湾は親米を装いながら実際は中国の言いなりになり、中国が仲良くしておけというところには通信機器を出して、アメリカはボンクラだから見つからないだろうと高をくくっていたということがこの背景にあると思われる。
アメリカにとって反米国家との取引は、なかなか見つからないだろうとは思っていても、実は泳がせられているのだ。それをアメリカがウォッチしているということが結構ある。アメリカは必ずしもすぐさまリーガルアクションを取るわけではない。制裁するとか法的アクション、法的措置を取るということは必ずしもない。中国の手口は、法的措置を取ろうとすると、今回の件のように様々な複数の企業を経由してどこが本当の犯人か分からないようにするとか、お互いに責任をなすりつけ合ったりする。こういうことはこの世界ではよくあることだ。従って法的措置を取るよりも強行なアクションに出てくることが時にはある。
日本の歴代の首相というわけではないけれども、政府要人が突然自殺したり殺されたりすることがあるが、あれも背景には何かがあるのだろうということだ。今回アメリカはTSMCの裏切り、台湾、ファーウェイ、浙江財閥の動きを実は把握していて泳がせているのである。彼らがアメリカを裏切っている、中国を助けようとしている、裏でキングメーカーになろうとして反米国家を助けているということはアメリカも十々承知だ。
なぜか今回の通信企業を狙った連続爆破事件があったわけだが、こういう企業の電化製品には大体チップが入っていて、浙江財閥の影響下にある。電化製品、通信機器というのは必ずチップが必要であり、そのチップの製造権は台湾がほぼ支配しているし、中国製のチップも浙江財閥の一員であるあのSMICが大手になっているので、ほぼ浙江財閥が中国で作るのか台湾で作るのかという差になってくる。
イスラエルが浙江財閥のそういうデバイスに入り込むことができたのは、今回はイスラエルの諜報能力によって、実はTSMCや浙江財閥がすでに敵に回っている可能性について、彼らはもう理解しており、ファーウェイ、TSMCの内部に浸透済みということだろう。
通信機器の内部には通信チップが入っているが、その通信チップの設計もファーウェイが強く、チップの製造はTSMC、SMIC、UMCなど浙江財閥系企業がほぼ牛耳っている。そして電子基盤、チップを乗せるあの緑の板などもほとんど浙江財閥が牛耳っている。
特にウィンボンド、新唐科技の創業者である焦佑鈞が、電子基盤のかなりの割合を支配している。私の会社も被害にあったことがある。電子基盤の設計や製造を外注して妨害されるということが繰り返し何度もあった。このような浙江財閥の支配が及んでいないだろうと思われる会社をなんとか探し出して選んでも、取引を始めて数ヶ月すると忍び寄ってきていつの間にか買収されているといったことがある。
それぐらい裏での彼らの工作活動というのは強いし、資金的にも彼らは強い。基盤製造というのは本当に儲からない仕事で大概は皆さんお金がない。だから、やはりこういう大手からの資金が入ってくると受け入れざるを得ないという状態になっているわけである。
従って、今キングメーカー気取りの浙江財閥はチップ製造を支配し、親米国家と反米国家の間に立って、こちらを向く時は「私はアメリカが大好きだ」、あちらを向く時は「私はアメリカが大嫌いだからあなたの友達だ」というダブルフェースで世界を手玉にとって取引をしているわけである。
もちろん両者ともに半導体がなかったら何にも作れない。今はほとんど全ての製品にチップが入っているため、チップが入手できなければ何も作ることができないのだ。兵器も通信機器も当然そうである。そうなってくると半導体チップを供給してくれる台湾、浙江財閥が、アメリカが勝つのか反米国家が勝つのかを決めることができる状態である。
アメリカもそういうTSMCの玉虫色の態度にイライラ来ていたが、ヒズボラ、イラン、ハマスの味方であるはずのファーウェイや浙江財閥が作った製品が次々とイスラエルにハッキングされて爆発している。ここでヒズボラにとって謎が残る。今回ファーウェイがヒズボラを裏切ってイスラエルを助けたのか、それともファーウェイが知らない間にイスラエルに浸透されていたのかということである。
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