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ゴールドマンサックスが円安警鐘。一ドル150円でアジア通貨危機の再来!?

2022/06/12

https://www.youtube.com/watch?v=K5F1Fm84tmE

■ 円安で日本の製造業は復活するか

ゴールドマンサックスが円安に警鐘を鳴らしているという、ブルームバーグのニュース。

一ドル150円ならアジア金融危機再来も 円安終了は近いか。オニール氏
円が一ドル150円まで下げた場合、1997年のアジア金融危機なみの規模で混乱を引き起こす恐れがあると、ゴールドマンサックスで会長を務めたジム・オニール氏は指摘した。オニール氏は先月のインタビューでこうした規模の下落があれば、中国は脆弱な国内経済を守るため、外国為替市場介入を決意するかもしれないとし、中国にとって、それは全く理にかなうだろうと述べた。

同氏は今月9日、こうした見解を確認した。円安が続いた場合、中国はこれが競争上で不当な優位だとみなすだろう。アジア金融危機との類似点は至極明白だとし、中国はこうした通貨安で自国経済が脅かされることを望まないだろうと指摘した。
ただしジム・オニール氏は、円安基調は終わりに近づいている可能性があるとも指摘した。
 

確かにロシアのウクライナ侵攻以降、ロシアに制裁をしているはずの日本の円安が、めちゃくちゃ進行しているという現象が起こっている。

この円安進行が進むことで、日本の輸出産業は伸びるのじゃないのか。そうしたら中国製品が売れなくなってしまうから、中国は脅威だと思うというのが、ジム・オニール氏の見解なのだが、円安が進行して日本の輸出が儲かって良かったという単純な展開には恐らくならないと思う。
 

なぜかと言えば製造業は、もうかなりアジアの近隣諸国に移転をしていて、特に日本企業も工場は中国に置いていることが結構多い。

だから中国から日本に戻ってくるだろうか。基本的に日本国内だと環境規制、脱炭素利権の為に、工場の運営が非常に難しいという側面もあるので、円安だから、中国の工場を日本に呼び戻して、日本から売ろうというシンプルな展開にはならないと思う。


■ 日本企業買収の絶好のチャンス


 私が懸念しているのは、今回の円安進行で、外資がさらに日本企業を安く買えるチャンスが到来している状態になってくると思う。今もう130円でめちゃくちゃ安い。輸出企業はそれで恩恵を受けている企業もちろんあると思うが、基本的にコロナで弱った日本企業を外資が買いにくる。クロスボーダーのM&Aが進行する絶好のチャンスがやってきたわけだ。
 

経済安全保障の概念というのが、昨年ぐらいからかなり浸透してきていて、小林隆幸経済安全保障大臣がその辺りのことを熟知されているので、中国からの日本企業の買収なんかにはストップをかけていくだろう。
 

そうすると、中国は直接日本企業を買えないという状態にあるので、いま半導体不足でお金に余裕がある台湾を窓口として、日本の企業をバンバン買いにくる展開が予想される。

すでにもう起こっている。日本の家電メーカー、シャープも台湾に買収されている。日本の半導体の工場も台湾企業に買収されている。自動車関連企業もフォックスコンなどに買収されている。そういった展開がこの5年ぐらいずっときている。それが加速する可能性がある。
 

台湾は親日だからいいという発想なのかもしれないが、実のところこれまで台湾に買収された企業とは傘下のサプライチェーン、日本国内にあったローカルの中小企業達の事業を、台湾や中国の会社が横取りをして行くことが横行している。
 

サプライチェーン企業の生態系エコシステムの中で、メーカーというトップを取られると、メーカーは完全なエンド商品を作っているが、サプライチェーンの中にある企業はパーツしか作っていない。
そういうパーツの会社は、そのエコーシステム内の大企業のメーカーが外資に変わるだけで、確実に弱る。

日本国内のローカル産業が打撃を受けるだけではなくて、東アジア圏、アジア圏のサプライチェーンの中に、いろんな日本の大企業に物を収めている企業、外資系の企業もある。

今後その台湾を装い、台湾を経由した中国からの買収で日本だけではなく、アジア諸国にある日本のサプライチェーンの中にあるメーカーが買収されることで、いろんな国が、中国台湾以外のほかの国の経済が弱体化することは、確実にあり得るだろう。


■ 国民生活を無視する日銀


 二週間ぐらい前のニュースでちょっと面白いものを見つけた。ミスター円榊原氏、円は1990 年以来の一ドル150円に下落もという5月20日ブルームバーグのニュース。


ミスター円の異名をとる榊原英資元財務官が、日米の金融政策の方向性の差異が広がるに伴い、円相場が90年以来の水準まで下落する可能性があるというふうに述べている。
 

今アメリカは利上げで、FRBのタカ派ムードがもう高まってきているので、利上げで金利が向こうは上がっていく。ところが日本はデフレと戦わないといけない。日本は緩やかなインフレ2%目指すことを建前にしているので、緩和をやっているわけなのだ。

そうするとドルのほうが金利が高いので、必然的に円を売ってドルを買うという相場のトレンドが形成されている。このまま行ったらドル円150円まで行くという結論になっても当然だろう。
 

特に私たちの生活物価、生活して日々感じている物価が上がったという感覚と、政府発表の統計のインフレ指数とが、けっこう乖離がある。
その乖離がなぜ起こっているのかと言えば、消費者物価のコアの指数が、生鮮食品とエネルギーという私たちの生活に直撃するこの二つの数字が省かれている。その割には通信費用が入っていて、携帯電話の料金を引き下げたので、それがデフレ要因となって、消費者物価指数の数値に現れて来ていない。
 

そういう現実を日銀はもちろん判っている。判っていて物価が上がっているが、その分携帯代安くしたから、まだ日本はデフレだ。じゃぶじゃぶ緩和してしまえ、物価が上がることはいいことだ。家計は物価上昇を受け入れているからというのが日銀の言い分なのだ。

果してそれでいいのか。国民の実生活という実態を無視しながらの政策を、引き続き日銀はやっている。
 

日銀の調査統計局 が6月2日に発表したマネタリーベースの資料を見ていても、緩和が引き続き行われているが、日本国内の貨幣の流通高が2月からマイナスになっている。貨幣の流通高は、日本国内でお金をじゃぶじゃぶ刷って、お金をたくさん日本に流していると言うのが日銀の言い分なのだが、それが貨幣の流通高が上がってくると、お金が沢山流れてきてよかったという状態なのだ。

貨幣の流通量は、前年比2月-0.2、3月-0.7%、4月が-1.2%、5月が-1.7%で、緩和が続いているのに減っている。
これも恐怖で、緩和していて貨幣の流通量は減っている。日本国内に流れているお金の量はどんどん減っているのに、物価が上がっている。今この状態を本当に放置していていいのか。
 

お金の流通量が減っていたらデフレというのは判るが、お金の流通量は減っているのにインフレ基調だ。その様な時に単純に緩和をするだけ、インフレ指数、消費者物価指数が携帯電話料金抜いたら絶対に物価がめちゃくちゃ上がっているのに、その携帯電話料金要素を無視して、デフレだからしょうがない。
日本はデフレという病にかかっているので、金融緩和で緩やかなインフレを目指しているという言い分が、もう嘘臭すぎて、ちょっと有り得ない。


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