日本サッカー“ジャパンズウェイ”を考える。①(『ザッケローニのベストイレブン』『自分たちのサッカー』考)
森保ジャパン、オーストラリア戦勝利おめでとうございます♡
選手のクオリティは日本が上なんだから、スカウティング無効化すればやっぱり競り負けないんだよ。
ただ、選手のクオリティが上とは言っても、スカウティングで対策されたら負ける程度の差だってことですよね。
アジアもナメたらあかんってことやぁ〜〜
ま〜、でもサッカーは勝てば官軍。
ここでも書いたけど、とりあえずW杯は絶対絶対出て欲しい!
ヨーロッパではアジアの試合は観られないから、うちの子どもたちもすっごく楽しみにしてるし。(オリンピックの日本代表戦はいくつか観られたので喜んで観てた♡)
ザッケローニ監督の選ぶ日本代表ベストイレブンが面白い
先日、元日本代表監督のザッケローニさんの選んだ日本代表ベストイレブンという記事があったのですが、随所にイタリアらしいカルチョ観が出ていて
「う〜〜ん、イタリア〜〜〜ン!!!」
って思ったので今日はザッケローニ監督のイレブンとイタリア人のサッカー観について書きたいと思います。
ザッケローニ監督の選んだベストイレブンまとめ
フォーメーション:4-2-3-1(?)
4バック、アンカー、ボランチ、トップ下、センターフォワードとオマケって感じだった。
GK;該当なし。
右SB:内田篤人(ポジションへの忠実さ、カバーリングの巧さ、正確さなどを評価)
左SB:長友佑都(走力とスタミナ、攻撃面での貢献を評価。元インテル)
CB1:吉田麻也(セリエAでプレイしていること、ポジショニングセンスや空中戦の強さを評価。現サンプドリア)
CB2:今野泰幸(ACミランのレジェンド、フランコ・バレージみたい。冷静で正確なこと、ディフェンスラインからのビルドアップが出来ることを評価)
MF1:遠藤保仁(どのポジションでプレイしてもゲームメイク出来るアンドレア・ピルロのようなレジスタ。)
MF2:長谷部誠(とにかく聡明で闘志に溢れる中盤のフランツ・ベッケンバウアー。)
MF3:本田圭佑(スター性とタイミング、フィジカルを備えたパーフェクトなトレクアルティスタ(トップ下)。スピードがなかったのが残念だった。元ミラン)
CF:岡崎慎司(ゴールビジョンを明確に持った、フィリッポ・インザーギのようなフィニッシャー。フィジカル・ヘディングはインザーギより強い。戦う魂を持った真の戦士。)
オマケ:
レジェンド枠1:中田英寿(テクニック、フィジカル、闘争心、スタミナ、戦術眼を持った前線の選手。必ずスタメンにする。元ローマ)
レジェンド枠2:三浦知良(ゴール嗅覚に優れた天性のセンターフォワード。スター性あり。ビッグクラブでの方が生きそう。元ジェノア)
ギリギリ枠:香川真司(スピード、テクニックはあるが、ゴールに結びつかない。クロサー。)
ザッケローニの評価ポイント
基本的に、
・ポジショニングやタイミング、役割など、戦術眼のある選手
・フィジカルのある選手
・闘争心のある選手
・カリスマのある選手
・セリエAでプレイしたことのある選手
が評価されていると思います。
ザッケローニ監督はセリエAでビッグクラブ(インテル・ユベントス・ミラノetcetc)を率いて実績を出したイタリア人なので、
・ある程度のクオリティのある選手を用いて
・勝算のある相手に
・確実に勝つ
ということに長けた『戦術家』であると言えると思います。
このエントリー↓でエメルソン・パルミエリ選手(ブラジル出身のイタリア代表選手)のインタビューを引用したんだけど、
イタリアの『カルチョ』ってすごく
「戦術!戦術!戦術!」
って感じで、ザッケローニ監督も実家のペンション経営からの監督業進出だけど、サッリとかいう、サカオタ戦術厨の元銀行員が売れっ子監督だったりするらしい。
長谷部選手を『カイザー』こと、フランツ・ベッケンバウアーに例えたのも面白いと感じました。
現役時代はリベロ(攻撃に参加するスイーパー)システムを確立させ名声を得た人物
スイーパーというのは、
特定のマークを持たず、ストッパーの選手が抜かれた時や、相手フォワードに対してストッパーの選手を競らせた隙にボールを処理、あるいは2列目から飛び出してきたMFの選手に対する守備など、カバーリング関連を行うポジション
ベッケンバウアーさんはディフェンダーとしてスイーパーと攻撃参加をしていたけれど、長谷部選手はボランチだから一列前になったと表現したわけか。
さらに、他の選手はみんな例えとして出されるのがイタリアの選手なのに、長谷部選手のところだけドイツ人を例に出すのも興味深いですよね!長谷部選手はずっとドイツで活躍されているから、プレイスタイルが(イタリア人から見て)どことなくドイツ風なんだろうなーと。
ベッケンバウアーさん、人種も年齢も違うけど、キリっとしたお顔がどことなく長谷部選手に似ていますよね?
「『自分たちのサッカー』が出来なかった」の意味
ザックジャパンはW杯で予選敗退したらしく帰ってくるときに
「『自分たちのサッカー』が出来なかった」
と言ったらしい。
結果論だけど、
ザックの戦術:
ゴールに向かうストラクチャーを形成し、ゲームメイクをする:
こっちがボールを持てる相手の場合しか通用しない
わけで、ザックジャパンがアジアカップ優勝できたのも、W杯で迷走したのも結構納得するんだよね。
格上が相手なら、
「『自分たちのサッカー』をさせてもらえなかった」
ってなりますわ。
通訳日記に見る『自分たちのサッカー』崩壊の一因
通訳日記によると、(覚えてる範囲で書きます)
ザックジャパンは人気があったけど海外組が中心だったから、
代表人気に便乗してJリーグを盛り上げようと、W杯直前に日本サッカー協会から前年度Jリーグ得点王を招集するように要請があった
らしい。
それで、ザックさんは迷った挙句に要請を飲んだんだって!
(そこは突っぱねて岡崎慎司LOVEを貫けよ〜〜〜)
彼(Jリーグの得点王)は確かに優れたFWで調子も良かったが、元々いた代表のメンバーとは全くタイミングが合わなかった。
彼は狭いスペースでも自分がゴールに近づけたタイミングでクロスを欲しがったが、W杯レベルの相手では、クロスの失敗は即、相手のカウンターに繋がる。それを恐れた代表の他の選手はボールを出せなかった。
彼は「何故ボールを出さない」と憤慨し、チームの雰囲気は悪くなった。
みたいなこと書いてある記事読んで気分悪くなっちゃった。
協会のゴリ推しのせいでチームが崩壊してるじゃないか…。
但し、そもそも協会が招聘するときに、そういう条件で呼んできたのではという考察もあります。
またパーソナリティについても、親日的(ただし日本語は話せない)、協会やスポンサーに協力的、愛されキャラ、そして頑固、といった類似点を見ることができる。いささか穿った見方かもしれないが、これらの特徴は、むしろ人選にあたって協会が重視した条件だったのかもしれない。
『自分たちのサッカー』とは。
――本書にもたびたび出てくるように、ブラジルW杯では「自分たちのサッカー」が一つのキーワードになっていたように感じます。矢野さんはどう感じていらっしゃいましたか。
矢野:「自分たちのサッカー」って何なの? 本当にあるの? と思われていた方は多いかもしれません。ひと言で説明するのは難しいんです。4年という歳月をかけて作り上げ、根付かせてきたものですから。でも、この本を読んでいただけたら、それが何なのか、明確になると思います。そして、選手たちの間に、確かに浸透していたことを理解いただけると思います。
ザッケローニ監督の考えによれば、「自分たちのサッカー」をするのは、「祈るよりも勝つ可能性を高めるため」です。引いて守るよりも、積極的に仕掛けるサッカーをするほうが勝つ可能性が高まるから、選択したのです。つまり「自分たちのサッカー」と「勝ち」は、あのチームにとっては両立するものでした。
ザッケローニ監督の本田圭佑愛がすごい記事を見つけたのですが、多分、これだろうなぁと思いました。
ザック氏は、現在のボローニャには自身が日本代表で指導した頃のMF本田圭佑を彷彿とさせる選手がいると主張。30歳のイタリア代表MFロベルト・ソリアーノの名前を挙げた。
「彼は攻撃の要であり、あらゆるボールをさばいて前線へと送り込み、FWが相手を背負わずにシュートを打てるような状況を作り出す。正しいタイミングで正しいパスを送れる選手だよ。彼を見ているとホンダを思い出す。私が日本代表で指導した本物のホンダをね」
つまりザックの理想とする『自分たちのサッカー』というのは
本田圭佑=トレクアルティスタ(トップ下):
攻撃の要であり、あらゆるボールをさばいて前線へと送り込み、FWが相手を背負わずにシュートを打てるような状況を作り出す。正しいタイミングで正しいパスを送れる選手
を中心にした、ポジショニングの優れた右SBとCB、ビルドアップの出来るCB、レジスタ、頼れるボランチ、攻撃参加する左SB、岡崎慎司ワントップのストラクチャーのしっかりした攻撃的なサッカー
なんだろうなと。
ただ、ザックジャパンは実際にはワントップが協会人事のJリーガーになった他にも、アディダス香川選手がトップ下をやりたがった(自分の能力とか適性と分かってたのかな?)ので、それは実現しなかったらしい。
ギリギリイレブンの裏を読むと、
香川真司はテクニックとスピードがあり、本来ならWG(ウインガー)。
ドリブルは出来るが自分で突破することはしないので、クロサーであるべきだが、クロスは下手だし、闘争心がない。(*これはハリルホジッチ監督も言っている)
しかも、何故かスポンサー都合(アディダス案件)で本来本田のポジションであるトップ下に置かせられた。
ということになります。
まあ、ザッケローニさんは協会に従順だったから、こういう形で皮肉るんだなぁと( ^ω^ )
『戦術家』は自意識の強い選手を敬遠する
『戦術家』タイプの監督(欧州のクラブレベルの監督は多分このタイプが多い)にとって、選手は戦術を理解し、実行する『駒』なので、
戦術意識がないのに自意識の強いタイプの選手は、多少技術があっても使いにくいので敬遠される
と思う。
日本人では一番世界の大舞台での経験がある戦術家だと思う岡田元代表監督も大体同じような意見なので、これは多分洋の東西を問わないと思う。
松井大輔「なんで俺を使ってくれたんですか?」
岡田武史「戦える奴が欲しかったから。真司は『オリンピックでドリブルしかけまくって世界と勝負してやる』って勝負して、全然通用しなくて、今回ドイツに行って成長したからもう一回世界と勝負したいと息巻いていた。日本代表が勝つよりも自分の力を試したい気持ちが勝っていると感じた。日本がドイツ代表みたいな強いチームだったらそれでもいいけれど、日本はそれじゃ戦えないと思った」
選手の特徴によって最適なクラブも違う
ザッケローニ監督が
「私のホンダを見ているようだ」
と言った選手の所属チームが、ボローニャ(セリエA中堅)であること。
「ホンダはスピードがないためにミランでは右サイドで起用され、ポテンシャルを発揮できなかった」
と言っていること。
三浦和良選手に
「素晴らしいストライカーだが、ジェノアはチームが小さすぎた。ミランやインテル、ユベントスなら彼も力を発揮出来ただろう」
と言っていることから
・本田選手のようなポリバレントな選手(ボランチからワントップまで出来る)はビッグクラブだと層が厚いので適性ポジションに付きにくい。
・三浦カズ選手のように特化した選手(純粋なストライカー)は、ある程度大きなクラブで適性ポジションに専任出来るところでないと活躍しにくい。(層の薄いところでは非適性ポジションをさせられるが出来ないので)
という傾向もあるかなと思います。
自意識の強い(戦術意識の薄い)技術のある選手は海外に行くなら、ブラジルとかの戦術的にざっくりした国(でも自分より巧い選手もたくさんいる)で修行するか、アジア圏とかのフィジカルが強くないタイプのフットボール後進国(アメリカとかはフットボール後進国だけど荒くてスポーツ強度は高めらしい)で個人技で無双するのがいいんじゃないかと思う。
本田選手が、自分の適性ポジションにつけるレベルの国の、さらに強豪を選んで移籍してるのは結構賢いと思うんだよね。
『自分たちのサッカー』っていうのは、そういうシチュエーションが一番実現出来るわけだから。
「そんなん、ケイスケホンダしか得せえへんやん!」
って思うかもしれないけど、彼は
(ザッケローニ監督的には)セリエAのボローニャレベルならトップ下で活躍出来るくらいの戦術的にも技術的にもフィジカル的にも優れた『パーフェクトな』選手
なので、海外リーグでやってきた助っ人として来てもらえれば、学べることもあると思ってオファーするチームもあっておかしくないと思う。
(ただ、そういう気持ちがあって、さらに財政面でも折り合いのつくチームというのは多くないとは思う。本田さんも病気もされているからワンシーズン全部出るのは無理だろうし。)
ザッケローニのアンチ・カテナチオ
イタリア代表のサッカーって、
カテナチオ:堅守速攻
一点取ったら勝つ。(取られたら負ける)
のイメージが強いけど(俺のマンチーニのアレは総レジスタ制サッカーとでもいうのかな?)、ザックさんはアンチ・カテナチオの戦術で身を立てた人なのかもしれないと思いました。
先程の8年サイクルの記事からですが、
協会の人選という意味では、両者共に前任者のアンチテーゼからスタートしているという点も見逃せない。ジーコの場合、それまで管理主義的かつ協会と対立することも少なくなかった、トルシエ時代への否定が前提だったという説が有力。
一方のザッケローニは、イビチャ・オシム時代からの「日本的なサッカーの構築」「攻撃サッカーの追求」という路線の継承ではあったものの、岡田前監督が本大会直前に突然「弱者のサッカー」に方向転換したこともあり、その意味ではやはり前任者のアンチテーゼであると言えた。
かくして、協会から三顧の礼をもって迎えられた両監督には、さらにもうひとつ重要な共通項があったことを指摘しておきたい。それは耳あたりの良いキャッチフレーズである。ジーコの「自由と(選手の)自主性」。
そしてザッケローニの「自分たちのサッカー」。それらのフレーズは、監督はもちろん選手からも、あるいは協会関係者、メディア、そしてサポーターに至るまで人口に膾炙していたものの、それがW杯の本大会で実現することは、残念ながらなかった。
岡田ジャパンの『弱者のサッカー』というのは『カテナチオ』に近くて、それが協会のお目に留まったんでしょうね。
協会の代表監督の選定は基本的に前任者の逆張り
そして何よりの違いは、今回のザッケローニの招聘が、行き当たりばったりでもトップの鶴の一声でもなく、技術委員会主導による前回大会の検証と、今後4年間の方向性を見据えて人選が行われた結果であることだ。そこがジーコ招聘のプロセスとは明らかに異なるところで、ようやくわが国でも真っ当な代表監督選びができたことについては、純粋に評価されるべきであろう。
問題は、今大会の問題点がきちんと検証されること、そしてその検証を踏まえて次期監督を招聘することだ。なぜ4年間の積み重ねが本番で発揮されなかったのか。采配以外の問題点はなかったのか。そして、今後も日本代表が攻撃サッカーを志向する場合、新監督に求められる条件は何なのか。それらがしっかり検証されない限り、新監督の就任発表はあり得ないと考える。
ところが最近の報道によれば、すでに協会はメキシコ人指導者のハビエル・アギーレと交渉を進めており、間もなく正式発表の運びだという。もしそれが事実なら、8年前のオシム招聘と、実は状況が変わっていないと言わざるを得ない。
なぜ、検証よりも先に人事が動いているのか。優秀な人材をできるだけ早く囲い込みたいという心理も理解できるが、新監督就任の祝賀ムードで現状をリセットしたいのではないかという邪推のひとつもしたくなる。
次期代表監督の決定に関して、協会はその手順を誤ってはならない。ここで禍根の残すことになれば、その影響は4年後のロシア大会ではなく、8年後のカタール大会できっと露わになることだろう。そろそろ日本サッカー界も、8年周期の挫折のサイクルから脱却すべきではないかと考える次第だ。
日本贔屓なザックさんは郷に入ってはでスポンサーに折れたけれど、ハリル監督はスポンサーの意向に納得しなかったから解任(まあ、人柄的にあんまり合ってなかったとは思うから解任自体は否定しないけど)して、結果的に
ジャパンズウェイ!→日本人監督
だということですね。
そう考えてみると、ここで言う『ジャパンズウェイ!』っていうのは戦術やスタイルは関係なく、
スポンサー絶対主義のこと
なのでは?と思います。
W杯に出られなかったらスポンサーも困るので、監督解任になるかどうかはさておき、いざとなれば技術委員会がアドバイザーつけたりして絶対W杯に出られるようにはすると思う。
なんだかんだ言ってサッカーって興行だからスポンサーも人気も大事だし、スポンサー意向汲みすぎて弱くなって人気がなくなったら困るから、また調整されると思う。(思いたい)
――良いチームであったことを知れば知るほど、W杯の結果に胸が詰まります。この4年間を踏まえて、これからの日本代表に必要なものは何だとお考えですか。
矢野:ザッケローニさんは「歴史が足りなかった」と言われました。たとえばイタリアにはW杯の優勝経験があるから、次も優勝できると選手も国民も腹の底から思って、試合に臨んでいる。成功体験が多いほど、より自信をもって臨めるのです。日本のサッカー文化はまだ20年足らずで、100年の文化がある国との数字上の差というのは、永遠に埋まらない。だからこそ、意図的に成功体験を積み上げていくことが必要だと思います。
失敗したり成功したりしながら、これから日本のサッカーの歴史が作られていくってことだよね。
ただ一つ、あくまで代表に関しては世界と戦うので、ガラパゴスじゃマジで行き詰まると思う。
ザックさんって『日本贔屓』な『イタリア人』(つまり、とことんイタリア的な視点から日本を見ている)って感じで本当に面白いなぁと思いました。
次海外の監督を招聘するときは、ザックさんほどじゃなくても、ある程度は日本贔屓な方か日本での経験のある方がやりやすいだろうね。
イニエスタ、頼む。
花璃。